東芝がHDD生産を3年かけて拡張、CREATE MORE法の優遇を活用
KEY POINTS
- ニュースの要点
- 東芝が、フィリピンでのニアラインHDD(データセンター向けの大容量ハードディスク駆動装置)の生産を今後3年かけて広げる方針を示しました。活用するのはCREATE MORE法の優遇措置で、「極めて望ましい投資」向けの支援策も求めています。
- この動きの意味
- 拠点はラグナ州の2つの経済特区、ラグナ・テクノパークとカルメレイ工業団地です。どちらもルソン経済回廊の中にあります。生産品目はHDDのほか、企業向けSSD、ヘリウム封入の高度なHDD、設計・技術サービス、基板の再加工などです。
- 今後の注目点
- 投資額が公表されるか。3,000人の雇用がどの時期に実現するか。CREATE MORE法の支援策が実際にどこまで認められるか。AI向けの記憶装置の需要が続くか。
東芝のフィリピンでの増産について、枠組みが見えてきました。
期間は 3年。対象はニアラインHDD、つまりデータセンター向けの大容量ハードディスク駆動装置の製造です。AIとクラウドの処理を支える製品です。
税制優遇を使う
今回はっきりしたのは、何を当てにしているかです。
東芝が活用するのは CREATE MORE法の優遇措置です。加えて「極めて望ましい投資(highly desirable investments)」向けの支援策も求めているとされています。
この話を仲介したのはPEZA(フィリピン経済区庁)でした。長官のTereso Panga氏が、東芝の経営陣と財務長官のFrederick Go氏、官房長官のRalph Recto氏との面談を設定し、貿易長官のCristina Roque氏も支援に回っています。議題は拡張計画と、法に基づく優遇の内容でした。
Go財務長官は「東芝の拡張計画は、我々の産業基盤を強め、電子機器と技術産業の生態系を築く機会だと見ている」と述べています。
拠点は2つの経済特区
東芝情報機器フィリピン(TIP)は、ラグナ州に2つの生産拠点を持ちます。
| 拠点 | 位置づけ |
|---|---|
| ラグナ・テクノパーク特別経済区 | 1995年にPEZA登録、1996年から操業 |
| カルメレイ工業団地特別経済区(カランバ) | 従来からの拠点 |
どちらも ルソン経済回廊の中にあります。この回廊には200を超える経済区があり、輸出志向の企業が1,000社以上入っています。
作っているのはHDDだけではありません。企業向けのソリッドステートドライブ(SSD)、ヘリウムを封入した高度なHDD、設計・技術サービス、再加工とプリント基板の実装も手がけています。
上級執行役副社長で最高執行責任者の池谷光司氏は拡張への意欲を改めて示し、「フィリピン人従業員の技能と献身」に支えられているとしました。
投資額はまだ出ていない
3,000人の雇用という数字は10月4日の時点で官房長官が示していたもので、今回それが 3年の計画であることと、2拠点での拡張であることが加わりました。
一方、投資額は今回も公表されていません。GMAは「数十億ペソ規模(multibillion-peso)」と報じていますが、具体的な金額はどちらの出典にも示されていません。
文脈
この動きは、PEZAの数字とも重なります。1〜9月の承認投資は2,971億ペソで前年同期の92%増、年間目標3,000億ペソにほぼ届いています。
8月の輸出では電子製品が全体の68.1%を占め、半導体が73.5%伸びました。AI向けの需要が、半導体の後工程と記憶装置という2つの領域でフィリピンに流れ込んでいる形です。
ただしCREATE MORE法の優遇をどこまで受けられるかは、これから決まります。最低税率15%の上乗せ課税(QDMTT)が2027年から始まるなかで、優遇の実質的な価値がどうなるかという論点も残ります。
本記事は投資額が公表されていないため為替換算を行っていない。
SOURCES / 出典
- GMA NewsメディアToshiba eyes multibillion-peso investment to expand PH hard drive productiongmanetwork.com
- The Manila TimesメディアToshiba to expand PH disk drive productionmanilatimes.net
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