PHILIPPINES STARTUP
INSIGHTS市場分析

フィリピンの物価は日本の3分の1?牛乳もクルマも日本より高い【2026年9月】

PHILIPPINES STARTUP編集部の私は、マニラに住んでいたことがあります。週2回外食して、プール付きのマンションに住んだら、生活費は東京とほとんど変わりませんでした。むしろ高い月もありました。100品目を東京と比べたら、「日本の3分の1」に当てはまったのは19品目だけ。牛乳もガソリンもクルマも日本より高い。日本人が住むBGCとマカティの家賃、必要な月額、そして物価上昇がいま企業に何を起こしているかまで書きました。

INSIGHTS市場分析

英語と安さで選ばれたフィリピンの画面に、世界の口座と診療記録が映っている

フィリピンのコールセンターが選ばれてきた理由は、英語が通じて安いことです。業界団体自身の資料がそう書いています。ところがそこに届いているのは、世界の銀行と医療のユーザーからの問い合わせでした。選ばれた理由と任されている中身が噛み合っていません。2年で2度、オーストラリア企業の顧客情報がマニラを経路に抜かれ、アナリストは「顧客はリスクを拠点の所在地で値付けする」と言います。

INSIGHTS日本 × フィリピン

フィリピンの法人税ゼロは、もう大手日本企業の得になっていない

フィリピンの経済特区に入ると数年間は法人税がゼロになります。ところが日本は2024年4月から、税負担の軽い海外子会社の分を親会社に課税し始めました。フィリピンには自国で先に取る制度がないため、免除された分は日本に納めることになります。下院の調査によれば、売上上位1%の法人の実効税率の中央値は5〜6%しかありません。

フィリピンのテック・スタートアップを中心に、企業・資金・技術・政策などの最新動向を届ける。

  • 首都圏の74%が配車アプリを利用、公共交通の穴を利用者が自費で埋める

    配車アプリのinDriveの調査で、マニラ首都圏の74%が直近3か月に少なくとも1回は配車アプリで移動していた。利用頻度は週3回。理由の上位は「急いでいるとき」「悪天候のとき」「夜間の安全」で、いずれも本来は公共交通が担う機能である。同社はフィリピンで2025年に完了乗車が8倍に伸び、手数料10%という価格で7都市に広がっている。

    inDriveGrabLogistics
  • 政府・政策

    EV業界が優遇措置の2040年までの延長を要望、対象にハイブリッドも

    フィリピン電気自動車協会(EVAP)が、電動車の優遇措置を2040年まで延ばすよう求めている。輸入関税をゼロにする大統領令62号は2028年、EV産業振興法の非課税以外の優遇は2030年が期限である。対象は電気自動車だけでなくハイブリッド車とプラグインハイブリッド車も含む。上院では有効期間を8年から12年へ延ばす法案が出ている。

    Electric Vehicle Association of the PhilippinesACMobility
  • 事業拡大

    アボイティスの3空港、中国・ベトナム・台湾の短距離路線に活路

    マクタン・セブ、ボホール・パングラオ、ラギンディンガンの3空港を運営するAboitiz InfraCapitalが、中国・ベトナム・台湾を伸びしろのある市場と位置づけ、短距離のアジア路線を各航空会社と組み立てている。3空港合計の2025年の旅客数は1,617万人。Canilao社長は、イランでの戦争が始まったときの想定より悪化していないと述べている。

    Aboitiz InfraCapitalInc.
  • 提携

    1965年創業のTropical Hut、12店舗をレイテの地熱電力に切り替え

    1965年創業のファストフード「Tropical Hut」が、12店舗と本社の電力を地熱由来に切り替える。供給するのはロペス財閥系のFirst Genで、レイテ島の地熱発電所からの電力を使う。必要な容量は合計750キロワット以上。フィリピンでは需要家が電力の供給元を選べる制度があり、外食チェーンがこれを使って再生可能エネルギーに移る例が続いている。

    Tropical Hut Food MarketInc.
  • M&A・Exit

    GCash上場はテック企業の上場を呼ぶのか、市場では見方が割れる

    GCash運営会社Myntの上場について、正反対の見方が出ている。RCBCのRicafort氏はハイテク・デジタル関連の上場や資金調達を促すきっかけになりうるとする一方、Trading EdgeのAcoba氏は短期的には市場にとって弱材料だとした。最大923億2,000万ペソを1社が吸い上げるため、機関投資家が他の銘柄を売って資金を作る必要があるという理屈である。

    Mynt Inc.RCBCFinTech
  • 1〜7月の輸出が549億ドルと統計開始以来で最高、貿易赤字は29%拡大

    フィリピンの2026年1〜7月の輸出額が549億2,000万ドル(約8兆5,600億円)となり、統計庁が現在の集計を始めた1991年以降で最も高い1〜7月の実績になった。前年同期比12.9%増で、輸出の増加は19か月連続。ただし同じ期間の貿易赤字は29%広がって373億4,000万ドルになった。輸出の58.8%を占める電子製品が、部品を輸入に頼る構造による。

    Philippine Statistics AuthorityDepartment of Trade and Industry
DATABASE

フィリピンの企業を、産業と資本で引く

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868
収録企業
12産業
産業グループ
261
上場企業
173
VC・PE出資

資金の出どころは産業でまるで違います。エネルギー・通信53社のうち37社が上場企業なのに対し、人材・ビジネスサービス81社のうち0。フィリピン経済の古い層と新しい層が、同じ表の中に並んでいます。

上場VC・PE出資非公開・不明

InsightsINSIGHTS

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フィリピン市場で起きている変化を整理・分析し、その背景と可能性を読み解く。

三井住友は、なぜフィリピンの同じ財閥に5年で4回も出資したのか

日本の三井住友グループが、フィリピンで5年に4回、同じ企業グループの会社に出資しています。銀行に3回、そのリース会社、そして風力発電会社。フィリピンでは外国企業が銀行を100%買えるのに、三井住友は4分の1弱で止めています。買い取るつもりがないなら、何を狙っているのか。会社そのものより、その財閥が持つ顧客基盤でした。

企業分析

ジョリビーとは?値段・メニューと、日本に店舗が無い理由【2026年版】

フィリピンでいちばん店が多いファストフードはマクドナルドではなく、赤い蜂が看板のジョリビー。国内1,600店超で本家の倍近い。ただし世界1万341店のうち、いちばん店数が多いブランドはフライドチキンではなく韓国のコーヒーチェーンである。値段とメニュー、そして日本に店が無い理由を整理する。

企業分析

600社が使ったSalariumは2023年にサービスを無期限停止、倒産も解散もしていない

フィリピンで勤怠から給与の振り込みまでを1つで担っていたSalariumは、2019年時点で約600社が使い、2021年までに2万社へ広げると語っていた会社でした。2023年8月に利用企業が資金を引き出せなくなり、12月31日にサービスを無期限で停止します。ただし倒産も解散もしていません。法人はいまも登記に残ったままです。何が起きたのかをたどります。

市場分析

フィリピンの平均年収は約67万円。職業別の給料ランキングTOP10と最低賃金【2026年版】

フィリピンの平均年収は約67万円。日本の478万円と並べると7.1倍の差がある。ただしこの平均は、日本企業が採用する層の給料ではない。フィリピン統計庁の2024年調査から、職業別の給料ランキングTOP10、産業ごとの相場、日本を上回る速さで進む最低賃金の引き上げを整理する。

2025年のフィリピン最大の資金調達は5億円。それを超えるお金が国外から来る理由

Forbes Asiaの「100 to Watch」に、フィリピンから2社が入りました。並べてみると、フィリピンで大きな資金を集めた会社には共通点があります。お金を出しているのが、ほぼ全部フィリピンの外の投資家です。理由は起業家の考え方ではなく、国内のベンチャーファンドの大きさにありました。

企業分析

マニラで見つけた課題を4か国に広げたKitaが、シードで約7億円を集めた理由

新興国の貸し手向けに与信審査を自動化するKitaが、シードで450万ドル(約7億円)を調達しました。創業者はマニラ出身で、フィリピンの貸し手と働くなかで課題を見つけています。ただし会社はサンフランシスコにあり、稼働しているのはフィリピン・インドネシア・メキシコ・米国の4市場。公開されている顧客6社のうち、フィリピンの貸し手は1社です。この設計の違いが、値段の付き方を変えています。