飲食店の共同オーナー権と暗号資産、SECが2件の勧誘を止めた
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピンSECの執行・投資家保護部が、Nego Food Solution Corp.とUptrade Allianceに対して停止命令(CDO)を出しました。いずれも登録のない有価証券を公衆に販売していたと判断されています。
- この動きの意味
- 1件目は日本料理チェーン『Takoyadon』を運営する会社が売っていた店舗の共同オーナー権、2件目は5日で12%という利回りを謳う暗号資産の取引勧誘です。形は違いますが、SECはどちらも同じ基準で有価証券だと判定しました。
- 今後の注目点
- 関係者の刑事責任がどこまで問われるか。同種の『共同オーナー権』を売る事業に波及するか。金融消費者保護法にもとづく処分の運用がどうなるか。
フィリピン SEC(証券取引委員会)の執行・投資家保護部が、2つの投資勧誘に 停止命令(CDO)を出しました。対象は Nego Food Solution Corp. と Uptrade Alliance です。
あわせて、勧誘に使われた預金口座の資金の移動も止めるよう命じています。
1件目:飲食店の共同オーナー権
Nego Food Solutionは、日本料理チェーン Takoyadonを運営する会社です。
売っていたのは 店舗の共同オーナー権でした。仕組みはこうです。
| 投資家が払う額 | 99万ペソ(約247万円)の一時金(返金されない) |
| 払い先 | SMNV Project Food Corp.(運営を担う) |
| 投資家の役割 | 資金を出すだけ。経営には関わらない |
| 追加の負担 | 月の総売上の3%(運営管理料)、4%(システム・販促料) |
| 受け取るもの | 四半期ごとの収益の分配。損益は共同で負担 |
SECは、この仕組みを 未登録の有価証券の販売だと判断しました。判定に使われたのが Howeyテストです。米国の判例に由来する基準で、次の4つが揃えば有価証券とみなされます。
- 金銭の出資がある
- 共同の事業に投じられる
- 利益への期待がある
- その利益が 他人の努力から生まれる
SECは「投資家は経営に一切関わらず、ただ投資するだけで収益を得ていた」としています。勧誘はSNSを通じて公衆に対して行われていました。
命令には、Noel B. Andres氏、Mark(Marko)Marquez氏、Jocelyn(Celyn)Manzanero氏の名前が挙がっています。
2件目:5日で12%
Uptrade Allianceのほうは、より分かりやすい形です。
- 投資額は 300ペソ、500ペソ、1,000ペソから
- 約束していた利回りは 5日で12%、10日で35%、15日で60%
- 紹介した投資家の資金に応じて最大5%の紹介料
- 暗号資産の取引プラットフォームを 無許可で運営
同社はそもそも法人としてもパートナーシップとしてもSECに登録していませんでした。
5日で12%は、年利に直せば桁が変わります。この水準を保証する事業は、現実には存在しません。
法的な位置づけ
SECは、2件とも 証券規制法(SRC)第8条と第28条に違反するとしています。第8条は有価証券の登録義務、第28条は仲介業者の登録義務です。
さらに、2つの仕組みは 金融商品・サービス消費者保護法のもとでの 詐欺的行為にあたるとも判断されました。
日系企業にとっての読みどころ
読みどころは、「共同オーナー権」という売り方が規制の対象になったという点です。
フランチャイズや店舗への出資という形で資金を集める事業は、フィリピンにも数多くあります。今回SECが示した線引きは明快です。出資者が経営に関わらず、他人の努力で生まれる利益を期待するなら、それは有価証券である。登録が要ります。
飲食や小売でフィリピンに出るとき、現地パートナーが資金をどう集めているかは確認しておく価値があります。SECは資本市場の制度改革を進めており、投資家保護をめぐる規制は全般に強まる方向にあります。
換算の基準は1ペソ2.49円(2026年9月4日時点)です。
SOURCES / 出典
- PhilSTARメディアSEC shuts down bogus investment companiesphilstar.com
- BusinessMirrorメディアSEC halts Nego Food Solution operationsbusinessmirror.com.ph
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