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ERCがビサヤとミンダナオの卸電力に地域別の上限、8月分にさかのぼる

KEY POINTS

ニュースの要点
エネルギー規制委員会が9月10日付の決定で、卸電力スポット市場の二次価格上限をルソン・ビサヤ・ミンダナオの地域ごとに判定する方式へ変えました。8月の取引分にさかのぼって適用されます。
この動きの意味
これまでは全国平均で上限の発動を判定していたため、ルソンの安い価格がビサヤとミンダナオの高騰を打ち消し、実際には上限が働いていませんでした。仕組みの欠陥を規制側が自ら認めた形です。
今後の注目点
9月の請求で試算どおりに下がるか。市場監視委員会による発電事業者の入札の調査がどこへ行くか。ルソンでも同じ判定の見直しが起きるか。

フィリピンの エネルギー規制委員会(ERC)が、9月10日付の12ページの決定で、卸電力スポット市場(WESM)の二次価格上限を地域ごとに適用すると決めました。8月の取引分にさかのぼり、9月の請求に反映されます。

WESMは発電事業者と需要家が時間ごとに電力を売買する市場で、二次価格上限(SPC)は価格が一定期間高止まりしたときに自動で頭を押さえる安全弁です。

安全弁が働かなかった

問題は、その発動をどこで判定していたかでした。

判定は全国平均で行われていました。ルソンの価格が安ければ全国平均も下がり、ビサヤとミンダナオがいくら高くても上限が発動しません。8月の数字を並べると、その構図がはっきりします。

系統8月のWESM平均価格7月から
ルソン1kWhあたり4.80ペソ(約12円)
ビサヤ1kWhあたり18.59ペソ(約46円)11.29ペソから 64.9%上昇
ミンダナオ1kWhあたり19.56ペソ(約49円)10.39ペソから 88.2%上昇

ERC委員長のFrancis Saturnino Juan氏は、こう述べています。「こうした価格の急騰をとらえるための安全装置が、ビサヤ・ミンダナオの高い価格をルソンの安い価格が覆い隠していたためにとらえられていない。自分たちのデータがそれを示したので、ただちに、はっきりと動いた」

地域別にすると半分になる

ERCの試算では、8月に地域別の上限を当てていた場合の下がり方はこうなります。

系統実際の8月平均地域別の上限を当てた場合下げ幅
ビサヤ1kWhあたり18.59ペソ1kWhあたり 8.47ペソ(約21円)54%
ミンダナオ1kWhあたり19.56ペソ1kWhあたり 8.69ペソ(約22円)56%

背景には供給の逼迫があります。8月のビサヤ系統では、レッドアラートとイエローアラートが合わせて 652時間発生しました。ミンダナオ系統は89時間です。イエローは予備力が細くなり発電所が1基止まれば停電の恐れがある状態、レッドは供給が需要に足りず輪番停電の恐れがある状態を指します。8月のWESM価格が全国で過去最高を更新したのも、この時期です。

市場運営者の IEMOP(独立電力市場運営者)に対して、地域ごとに別々に上限を当てるよう指示が出ています。

発電事業者の入札も調べられる

価格が上がった理由が供給の制約なのか、それとも発電事業者の入札のしかたによるものなのかは、まだ決着していません。フィリピン電力市場公社の市場監視委員会が、電力産業改革法にもとづいて調べることになっています。

ERC自身も市場支配力の監視を強める方向に動いてきました。今回の決定は、価格の抑制と調査の2本立てになります。

日系企業にとってどこが効くか

効き方は、電力をどう買っているかで変わります。

  • WESMから直接買っている需要家:8月分にさかのぼって効きます
  • 小売供給契約(RCOA)で電力会社から買っている需要家:契約の価格が優先されるため、直接は効きません
  • 配電会社から買っている需要家:配電会社の調達コストの一部にWESMが入るため、間接的に効きます

ビサヤ・ミンダナオに工場を持つ企業にとっては、8月の請求が高すぎた分が9月に戻るという話になります。ただし今回の措置は価格の頭を押さえるもので、フィリピンの電気代が東南アジアで最も高いという構造そのものを変えるものではありません。

換算の基準は1ペソ2.49円(2026年9月4日時点)です。

SOURCES / 出典

  1. PhilSTARメディア
    ERC orders price cap on Visayas and Mindanao spot power ratesphilstar.com
  2. BusinessMirrorメディア
    ERC shifts WESM price cap to regional basisbusinessmirror.com.ph

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#ERC#WESM#電力#ビサヤ#ミンダナオ#価格上限#IEMOP

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