BSP、銀行の緊急資金支援の手続きを簡素化へ。提出書類は取締役会決議のみに
KEY POINTS
- ニュースの要点
- 中央銀行(BSP)が、銀行が一時的な緊急資金を受けられる「ディスカウント・ウィンドウ(DWF)」の利用要件を緩める通達案を示した。銀行規制マニュアル281条・282条の改正で、既存の事務手続きの大半を廃し、電子提出する署名済みの取締役会決議だけで申請できるようにする。
- この動きの意味
- 資金繰りに詰まった銀行が中央銀行から借りるための窓口を、平時のうちに使いやすくしておく整備である。BSPが3会合連続で利上げし、市場の資金が細りやすい局面に入っていることと無関係ではない。備えの仕組みは、必要になってから作るのでは間に合わない。
- 今後の注目点
- 通達が最終化される時期。合併直後の銀行に認める暫定枠が実際に使われるか。同時に進んでいる大手銀行への流動性ストレステストの導入と、どう組み合わされるか。
フィリピンの銀行が、資金繰りに詰まったときに中央銀行から借りやすくなる。
中央銀行(BSP)が示した通達案は、ディスカウント・ウィンドウ(DWF) の利用要件を緩めるものである。DWFは、銀行が一時的な緊急資金を中央銀行から受けられる仕組みを指す。
BSPは声明でこう説明した。「この仕組みの実効性を高めるというBSPの継続的な取り組みに沿い、銀行規制マニュアル第281条および第282条の改正案は、DWFの利用しやすさを高め、運用上の準備態勢を促し、必要なときに流動性支援を適時に届けることを目的とする」
出す書類は取締役会決議だけになる
改正案の中心は、申請手続きから既存の事務要件の大半を外すことである。
銀行が電子的に提出するのは、次を含む署名済みの取締役会決議だけになる。
- 申請と利用の承認
- 資産の担保差し入れについての取り決め
- 署名権限者を2人以上指定すること
枠の承認や更新は、リスクベースの自己資本比率と最低資本の要件を完全に満たしていて、既存のDWF契約で債務不履行がない銀行であれば受けられる。
合併・統合したばかりの銀行には特例がある。中央銀行の公式な報告を待つあいだ、調整後自己資本の50%を上限とする暫定枠を180日間 使える。要件を満たせば、さらに180日まで更新できる。
一方で、国債や中央銀行証券を担保にした借入については条件が付く。不良債権比率が業界平均を上回る銀行、預金債務に対する所要準備を2週連続で満たしていない銀行、BSPの当座預金残高がプラスでない銀行、そして役員・株主らへの延滞債権の比率が5%を超える銀行が対象になる。
利上げ局面での備え
この整備は、金融政策の局面と切り離せない。
BSPは4月から3会合連続で利上げし、政策金利を5%にしている。金利が上がると市場の資金は細りやすくなる。備えの仕組みは、必要になってから作るのでは間に合わない。
BSPは並行して、大手銀行に対する流動性のストレステストの導入も進めている。片方で緊急時の窓口を開けやすくし、もう片方で銀行の耐性を測る、という組み合わせになる。
フィリピンの銀行預金は3月末時点で22兆400億ペソ(1ペソ=約2.6円で約57兆円)に達し、前年同期比9.8%増えている。資金そのものは集まっているが、それが必要なときに必要な銀行にあるとは限らない、というのが流動性の問題である。
SOURCES / 出典
- BusinessWorldメディアBSP looks to ease banks’ access to discount window facilitybworldonline.com
- Philippine Daily InquirerメディアBSP wants easier rules on banks’ liquidity facilitybusiness.inquirer.net
- The Philippine StarメディアBSP plans liquidity tests for big banksphilstar.com
参考(本文の補足)
- Bangko Sentral ng PilipinasBangko Sentral ng Pilipinas(中央銀行)
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