証券取引委員会、売買を厚くするための改革へ。証券会社の最低資本金も見直し
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピン証券取引委員会(SEC)のFrancis Lim委員長が、次の改革案を示した。上場銘柄のマーケットメイク制度、信用取引の規則見直し、債券と株式で開示要件を分けること、SEC登録だけで事業を始められる仕組みなどが並ぶ。証券会社の最低資本金1億ペソ(約26億円)の引き上げも検討している。
- この動きの意味
- 並んだ施策の多くが、売買の薄さに直接効くものである。当媒体が前日に取り上げたとおり、フィリピンの株式市場は上場企業の退出が続き、2026年は8月まで新規上場がゼロだった。取引所がシステムを入れ替えるのと並行して、規制側は流動性そのものに手を付け始めている。
- 今後の注目点
- マーケットメイク制度が実際に導入されるか。証券会社の最低資本金がいくらになるか。世界銀行と進めている債券・株式の開示要件の分離がいつ形になるか。
フィリピン証券取引委員会(SEC)が、次の改革案を示した。Francis Ed. Lim 委員長が就任1年の総括として記者団に語ったもので、株式市場の売買を厚くすること に主眼が置かれている。
流動性に直接効く3つ
| 施策 | 内容 |
|---|---|
| マーケットメイク制度 | 上場銘柄に常時の売買の相手方を置く仕組み。証券取引所(PSE)およびPhilippine Dealing and Exchange Corp. と共同で枠組みを作る |
| 信用取引の規則見直し | 流動性を高める別の手段として、規則を精査している |
| 債券と株式で開示要件を分ける | 世界銀行と組み、公募の枠組みを組み直す。証券の種類とリスクに見合った開示にすることで、資金調達をしやすくする |
このうちマーケットメイク制度は、買いたい人と売りたい人が同時にいなくても取引が成立するようにする 仕組みである。売買が細い銘柄ほど効く。
当媒体は前日、3年で10社が上場廃止になり、2026年は8月まで新規上場がゼロだったことを書いた。売買の薄さは、企業が上場をやめる理由として繰り返し挙げられてきた。取引所がシステムを入れ替えるのと並行して、規制側は流動性そのものに手を付け始めている。
会社を作った日に事業を始められるようにする
もう一つの柱が、事業を始めるまでの時間の短縮である。
One Business Start Date と呼ぶ案では、SECの登録などの主要な許可を取った時点で事業を開始できるようにする。ほかの官庁の許認可は並行して進める形にして、登録から実際の営業開始までの期間を縮める。
SECはすでに、申請手続きの電子化と内部の処理期限の設定を進めている。定められた期間を過ぎた申請は承認されたものとみなす という運用も導入した。
このほか、個人型の退職貯蓄制度(PERA)を勤め先と従業員の双方にとって使いやすくする見直しも検討している。
証券会社の最低資本金は「2001年の数字」
Lim委員長は、証券会社に求める最低資本金 1億ペソ(約26億円)の引き上げも検討していると述べた。
1億ペソという引き上げも考えているかもしれない。1億ペソは2001年の数字だから。
見直しの背景には、資本の小さい証券会社をめぐる過去の問題がある。委員長は「不正を働いた業者は資本が小さかった、というデータが出ている」と述べたうえで、資本が小さいことが不正を意味するわけではない と念を押した。
そのうえで、証券会社の役割を「売買の仲介だけではない」と説明する。規制対応の担当者を置き、投資家教育を行い、市場の発展に貢献するには資本が要る、という主張である。
この見直しは証券取引所(PSE)の取り組みと並行して進む。PSEが規則を定めるにはSECの承認が要るため、両者はほぼ同じ方向を見ているという。
円換算は2026年8月21日時点のレート(1ドル=159円、1ペソ=2.6円)による目安です。
SOURCES / 出典
- BusinessWorldメディアSEC eyes raising stockbrokers' P100-million capital requirementbworldonline.com
- The Philippine StarメディアSEC pushes next wave of capital market reformsphilstar.com
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