PHILIPPINES STARTUP

9月の失業率が5.4%に上昇、働き手の増え方に雇用が追いつかない

BPO

KEY POINTS

ニュースの要点
フィリピン統計庁(PSA)が11月6日に発表した9月の失業率は5.4%で、8月の5.3%、前年同月の3.8%から上がりました。失業者は286万人で、1年前より約90万人増えています。
この動きの意味
仕事が減ったというより、働きたい人の増え方に雇用が追いついていない形です。労働力は1年で163万人増え、うち99万人は15〜24歳でした。業種で見ると、公共工事の減速で建設が27万人減り、外食・宿泊が83万人増えています。
今後の注目点
年末に向けて増えた外食の仕事が年明けも残るか、建設の雇用が公共工事の再開とともに戻るかが判断材料です。事務職の減少のうちコンタクトセンター関連が約29万人を占めており、BPO(業務の外部委託)の雇用の動きも見ておく必要があります。

フィリピン統計庁(PSA)が11月6日に発表した労働力調査によると、9月の失業率は 5.4% でした。8月の5.3%からわずかに上がり、前年同月の3.8%からは1.6ポイント高くなっています。失業者は286万人で、前年同月の196万人から約90万人増えました。

働き手は163万人増え、仕事に就いたのは72万人

失業率が上がった主な理由は、仕事が減ったことではなく、働く意思のある人が雇用より速く増えたことです。

項目2025年9月2026年9月増減
労働力人口5,156万人5,319万人+163万人
就業者4,960万人5,032万人+72万人
失業者196万人286万人+90万人
失業率3.8%5.4%+1.6ポイント

増えた働き手の中心は若い世代です。PSAのDennis Mapa長官によると、労働市場に入ってきた人は1年で15〜24歳が98万8,000人と最も多く、BusinessWorldによれば、この年齢層の労働参加率は31.6%から34.1%に上がりました。Rapplerによると、15〜24歳で新たに仕事に就いたのは60万6,000人にとどまります。

一方、不完全就業率(働いているが、もっと長く働きたい、または別の仕事を探している人の割合)は11.0%で、8月の11.9%、前年同月の11.1%から改善しました。

建設が減り、外食が増えた

業種ごとの増減ははっきり分かれています。

業種前年同月比の増減
宿泊・飲食+83万4,000人
運輸・倉庫+25万4,000人
その他のサービス+17万4,000人
芸術・娯楽-16万3,000人
建設-27万1,000人

最も増えたのは宿泊・飲食で、Mapa長官は、レストランや移動販売、食堂の雇用がクリスマス商戦を前に伸びたと説明しています。

最も減ったのは建設です。8月と比べても41万6,000人減っています。Mapa長官は「建設、とくに公共工事が落ち込んだ」と述べ、政府の工事の減速と、住宅の修繕などに使う資材の値上がりを理由に挙げました。建物の建設だけで約32万9,000人減ったとしています。

職種で見ると、事務職が前年同月から58万2,000人減り、主な職種のなかで最も大きく落ちました。Rapplerの質問にMapa長官が答えたところでは、このうち約28万9,000人がコンタクトセンターの案内係で、BPO(コールセンターなど業務の外部委託)の従業員の一部を含む職種です。

今月の数字の読み方

9月は製造業の景況も悪化に転じた月です(製造業PMIは9月に49.6、10月に49.1)。中央銀行の企業景況調査では、1年先に人を増やす計画が8月の半分以下になっていました。今回の統計は就業者そのものは増えていることを示していますが、前年と比べて増えたのは年末に向けた外食が中心で、公共工事に頼る建設は減っています。8月と比べると卸売・小売が54万6,000人増えており、年末商戦の採用が数字を支えている面があります。

SOURCES / 出典

  1. ラップラー(Rappler)メディア
    Unemployment edges up to 5.4% in September 2026rappler.com
  2. ビジネスワールド(BusinessWorld)メディア
    Philippine unemployment rises as labor force expandsbworldonline.com

SHARE

#失業率#雇用#労働力調査#フィリピン統計庁#建設#BPO#経済統計

同じカテゴリーのNews

RELATED

この動きを読み解くInsights

INSIGHTS
市場分析

英語と安さで選ばれたフィリピンの画面に、世界の口座と診療記録が映っている

フィリピンのコールセンターが選ばれてきた理由は、英語が通じて安いことです。業界団体自身の資料がそう書いています。ところがそこに届いているのは、世界の銀行と医療のユーザーからの問い合わせでした。選ばれた理由と任されている中身が噛み合っていません。2年で2度、オーストラリア企業の顧客情報がマニラを経路に抜かれ、アナリストは「顧客はリスクを拠点の所在地で値付けする」と言います。

市場分析

フィリピンの平均年収は約67万円。職業別の給料ランキングTOP10と最低賃金【2026年版】

フィリピンの平均年収は約67万円。日本の478万円と並べると7.1倍の差がある。ただしこの平均は、日本企業が採用する層の給料ではない。フィリピン統計庁の2024年調査から、職業別の給料ランキングTOP10、産業ごとの相場、日本を上回る速さで進む最低賃金の引き上げを整理する。

トレンド

フィリピンの電気代が東南アジアで一番高い、直撃するのは半導体と精密電子の工場

フィリピンの平均電力価格が2026年6月に1キロワット時12.43ペソとなり、シンガポールを抜いて東南アジアで最も高くなりました。この高さが最も重くのしかかる日系企業は、半導体と精密電子の製造業です。単価が原価に乗るうえ、停電が頻発する地域では自家発電を持たされ、製造コストがさらに上がります。しかも影響は、進出をやめた素材・部品産業という形でも現れています。