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世界銀行「フィリピンはAIの波に乗り切れていない」。鍵は企業の導入とBPOの高付加価値化

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KEY POINTS

ニュースの要点
世界銀行のアジア担当チーフエコノミストであるFranziska Ohnsorge氏が、フィリピンを東アジアの「例外」と呼びました。エネルギー価格の上昇で他国より打撃を受け、AI関連の国際的な供給網への組み込みがベトナムやマレーシアより薄いためです。2026年の成長率見通しは3.7%に据え置き、2027年は5.6%から5.2%へ下げました。
この動きの意味
同氏は、最大の利益はAI関連の財を売ることではなく「現在使っていない8割の企業」に使わせることから出ると述べています。フィリピンのIT・ビジネスサービスは輸出のおよそ27%を占め、140万人を雇っており、ここを高付加価値へ動かすのが現実的な道筋だという見立てです。
今後の注目点
政府がデータ保護と安全の規則をどう明確にするか。BPOがデータ分析や法務・金融の業務へ動けるか。世界のAI投資が減速した場合の電子部品輸出への影響。

世界銀行が、フィリピンと人工知能(AI)の関係について二つのことを言っています。ひとつは「今の恩恵は薄い」、もうひとつは「伸びしろは別のところにある」です。

なぜ「例外」なのか

同行のアジア担当チーフエコノミストである Franziska Ohnsorge 氏は、10月6日に出た東アジア・太平洋地域の経済見通しに関する記者説明で、こう述べました。

フィリピンは東アジアの例外だ

理由は2つです。

  • 世界的なエネルギー価格の上昇で、他国より大きな打撃を受けた
  • AI関連の国際的な供給網への組み込みが、ベトナムやマレーシアより薄い

同氏は「世界的な追い風からは恩恵を受けず、世界的な向かい風にはしっかり痛めつけられている」とも表現しています。

項目世界銀行の見通し
2026年の成長率3.7%(8月から据え置き)
2027年の成長率5.2%(5.6%から下方修正)
2026年の物価上昇率5.8%

2026年の3.7%は、政府目標の3.5〜4.5%の範囲には入るものの、2025年の4.4%は下回ります。

本当の伸びしろは「導入」にある

Ohnsorge氏はBusinessWorldの単独取材に対し、フィリピンがAI関連の財で得ている恩恵は地域の中位程度だとしたうえで、こう述べました。

最大の利益は、AIを導入し、現地の条件に合わせ、現在使っていない8割の企業に生産的な使い道を見いださせることから出る可能性が高い

世界銀行の調査では、企業のAI導入率に大きな差があります。

世界銀行の企業調査AIを導入済み、または導入中の企業の割合(単位:%)
米国
43
インド
23
タイ
12

フィリピンの数値は今回の出典に記載がない

さらに、タイの企業のおよそ70%、インドの企業のおよそ80%が「AIで生産性は上がらない」と見ています。

導入を阻んでいる最大の要因は何か。Ohnsorge氏の答えは一つです。

すべての新興国、そして米国でもある程度、はっきり出ている型がある。AIの導入を妨げているのは費用だ

安価なAIモデルが出てきたのは1年から1年半前です。新興国の企業には、試して使い道を見つける時間がまだ足りていない、という見立てになります。

BPOをどこへ動かすか

世界銀行のフィリピン担当上級エコノミストであるJaffar Al-Rikabi氏は、同国の強みから入る道筋を示しました。

指標数字
IT・ビジネスサービスが輸出に占める割合およそ 27%
同部門の雇用およそ 140万人

同氏は、この部門が公共投資の弱さとエネルギー価格の高さの影響を和らげてきたと述べたうえで、機会は「BPO部門をより高付加価値のサービスへ動かすこと」にあるとしました。

挙げたのは次の領域です。

  • データ分析
  • 金融・法務のサービス
  • 医療事務の管理
  • 複雑な顧客対応
  • AIを使った後方事務

AIを使えるBPOになることで、フィリピンが価値の階段を上がれるようにしたい。すでに国が持っている強みの上に積む話だ

つまり、AIで人を置き換えるのではなく、今ある仕事の中身を上げるという整理です。

裏側のリスク

Ohnsorge氏は、世界のAI投資が減速した場合の危険も挙げました。経路は2つです。

経路何が起きるか
金融先進国の株式市場が下げ、新興国への資金の出入りに波及する
貿易AI向けの需要が落ち、電子部品の輸出が減る

「それは危険だ。我々の基本の筋書きではないが、危険ではある」と同氏は述べています。

外国の短期資金はすでに8月に流出超へ転じました。金融の経路は、すでに一部が現実になっている形です。

日本企業が見るところ

フィリピンのBPOは、日本語対応の拠点としても使われてきました。世界銀行の見立てが正しければ、今後の交渉の論点は単価と人数ではなく「どの業務まで任せられるか」に移ります。

一方で、国内側の条件整備は追いついていません。政府の役割として挙げられたのは、データ保護と安全に関する規則を明確にすることでした。知財庁がAI作品の登録指針案を出した段階であり、AI基盤の国家計画も構想の途上にあります。

本記事は比率と見通しを扱い、金額の記載がないため為替換算を行っていない。

SOURCES / 出典

  1. BusinessWorldメディア
    Wider AI use could lift Philippine productivity, growth — World Bankbworldonline.com
  2. The Manila Timesメディア
    PH 'outlier' in East Asiamanilatimes.net

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#世界銀行#AI#BPO#生産性#輸出#経済見通し

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