製造業の景況指数が10月は49.1、2か月続けて50を下回り東南アジアで下から2番目
KEY POINTS
- ニュースの要点
- S&Pグローバルの調査で、フィリピンの製造業PMIは10月に49.1でした。9月の49.6からさらに下がり、2か月続けて改善と悪化の境目の50を下回っています。
- この動きの意味
- 東南アジアの平均は53.1に上がっており、周りの国が持ち直すなかでフィリピンの製造業だけが沈んでいます。受注の減少が深まり、人員も減らしているため、物価高と利上げで国内の需要が冷えている影響が工場にも表れています。
- 今後の注目点
- 1年先の見通しは2年ぶりの高さで、完成品の在庫も積み増しています。11月の調査で新規受注が下げ止まるか、12月4日に出る統計局の10月の生産統計が同じ方向を示すかが次の判断材料です。
S&Pグローバルが11月3日に発表したフィリピンの製造業PMI(購買担当者景気指数)は、10月に 49.1 でした。9月の49.6からさらに下がり、2か月続けて50を下回っています。PMIは約400社の製造業者への調査をもとにした指数で、50を上回れば前月より事業環境が改善、下回れば悪化を示します。
| 月 | PMI |
|---|---|
| 2025年10月 | 50.1 |
| 2026年4月 | 48.3 |
| 2026年8月 | 54.9 |
| 2026年9月 | 49.6 |
| 2026年10月 | 49.1 |
10月の49.1は、4月の48.3以来、半年ぶりの低さです。8月には54.9と2016年12月以来の高さをつけていたので、2か月で6ポイント近く下げたことになります。
東南アジアで下から2番目
BusinessWorldによると、10月のフィリピンの数字は、比較した東南アジア各国のなかでミャンマーに次いで低いものでした。域内の平均は53.1で、9月の52.1から上がっています。周りの国が持ち直すなかで、フィリピンだけが沈んだ形です。
S&Pグローバル調べ。50が改善と悪化の境目。BusinessWorldの報道にもとづく。
受注が減り、人も減らしている
S&Pグローバルの内訳を見ると、崩れているのは需要の側です。
- 生産:減少。ただし9月より減り方は緩やか
- 新規受注:減少が9月より深まった。国内も海外も弱い
- 原材料などの購入:大きく減り、11か月で最も速い減少
- 雇用:2か月続けて減少。主に自己都合の退職による
- 仕入れ先の納期:11か月続けて長くなった。資材の不足が理由
- 投入コスト:上昇は続くが、伸びは8か月で最も緩やか
需要が弱い理由として、一部の企業は暑さを挙げています。回答のなかには、これをエルニーニョ現象(太平洋の海水温が上がり、フィリピンでは高温と少雨をもたらす)と結びつける声もありました。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスの主任エコノミストSiân Jones氏は、生産と受注の落ち込み自体は小幅だとしつつ、「購入の減り方が大きく、人員の削減も続いていることから、製造業者は需要の弱さを前に慎重になっている」と述べています。
先行きの見方だけは2年ぶりの高さ
一方で、1年先の生産見通しは2年近くぶりの高さに戻りました。企業は新しい案件や顧客が生産を押し上げるとみています。完成品の在庫も4か月ぶりに増えており、これも生産の回復を見込んだ動きです。
ただJones氏は、この楽観が受注や雇用の回復にはまだつながっていないと指摘しています。中央銀行(BSP)が10月に政策金利を0.5ポイント引き上げて5.5%にしたことで、借入の負担が増え、需要と投資をさらに抑える可能性があるとしています。
9月の輸出は半導体の伸びで過去最高の98億ドルでした。RCBC(大手銀行)のMichael Ricafortチーフエコノミストは、AI向けの電子部品の輸出は一部の製造業者にとって明るい材料であり続けるとみています。輸出が伸びても、製造業全体の景況は悪化している。9月に続き、10月もこの2つが同時に起きました。
政府の統計局(PSA)による10月の製造業の生産統計は、12月4日に公表される予定です。
本記事は指数と比率のみを扱うため、為替換算は行っていない。
SOURCES / 出典
- ビジネスワールド(BusinessWorld)メディアPhilippines' manufacturing PMI shrinks in Octoberbworldonline.com
- フィリピン・スター(PhilSTAR)メディアFactory activity stays in contraction in Octoberphilstar.com
- GMAニュース(GMA News)メディアPH factory activity contracts for 2nd straight month in Octobergmanetwork.com
- マニラ・タイムズ(The Manila Times)メディアPH manufacturing activity fallsmanilatimes.net
同じカテゴリーのNews
RELATEDこの動きを読み解くInsights
INSIGHTSフィリピンの電気代が東南アジアで一番高い、直撃するのは半導体と精密電子の工場
フィリピンの平均電力価格が2026年6月に1キロワット時12.43ペソとなり、シンガポールを抜いて東南アジアで最も高くなりました。この高さが最も重くのしかかる日系企業は、半導体と精密電子の製造業です。単価が原価に乗るうえ、停電が頻発する地域では自家発電を持たされ、製造コストがさらに上がります。しかも影響は、進出をやめた素材・部品産業という形でも現れています。
フィリピンの物価は日本の3分の1?牛乳もクルマも日本より高い【2026年9月】
PHILIPPINES STARTUP編集部の私は、マニラに住んでいたことがあります。週2回外食して、プール付きのマンションに住んだら、生活費は東京とほとんど変わりませんでした。むしろ高い月もありました。100品目を東京と比べたら、「日本の3分の1」に当てはまったのは19品目だけ。牛乳もガソリンもクルマも日本より高い。日本人が住むBGCとマカティの家賃、必要な月額、そして物価上昇がいま企業に何を起こしているかまで書きました。
フィリピンの法人税ゼロは、もう大手日本企業の得になっていない
フィリピンの経済特区に入ると数年間は法人税がゼロになります。ところが日本は2024年4月から、税負担の軽い海外子会社の分を親会社に課税し始めました。フィリピンには自国で先に取る制度がないため、免除された分は日本に納めることになります。下院の調査によれば、売上上位1%の法人の実効税率の中央値は5〜6%しかありません。



