PHILIPPINES STARTUP
NEWS規制・法制度日本 × フィリピン

三菱UFJ銀行マニラ支店がユニバーサルバンクに、9月1日から業務開始

KEY POINTS

ニュースの要点
フィリピン中央銀行が三菱UFJ銀行マニラ支店の免許を商業銀行からユニバーサルバンクへ引き上げました。金融政策委員会の承認が5月21日、認可証の交付が6月5日で、9月1日に業務を始めています。
この動きの意味
ユニバーサルバンクは投資銀行の業務ができ、銀行業以外の事業にも出資できます。融資と貿易金融が中心だった支店が、資本市場に近い手段を自分の免許で扱えるようになります。
今後の注目点
実際にどの業務から始めるか。Security Bankとの役割分担がどう変わるか。他の日系銀行の現地拠点が同じ動きを取るか。

フィリピン中央銀行(BSP)が、三菱UFJ銀行マニラ支店の免許を 商業銀行からユニバーサルバンクへ引き上げました。同支店は 9月1日 に新しい免許で業務を始めています。

手続きは半年以上前から進んでいました。

日付出来事
2026年5月21日中央銀行の金融政策委員会が引き上げを承認
2026年6月5日ユニバーサルバンクとしての認可証を交付
2026年9月1日新免許での業務を開始
2026年9月8日中央銀行が通達で公表

通達にはBSPのArifa Ala総裁補が署名しています。

商業銀行と何が違うのか

フィリピンの一般銀行法は、銀行を免許の種類で分けています。ユニバーサルバンクは、その中でいちばん広い権限を持ちます。

商業銀行ユニバーサルバンク
預金・融資・貿易金融できるできる
投資銀行(インベストメントハウス)の業務できないできる
銀行業以外の事業への出資できないできる(法定の上限あり)

投資銀行の業務とは、証券の引受けや発行の手配など、企業が市場から直接資金を取るときに銀行が担う仕事です。これまでマニラ支店は、融資・貿易金融・為替・資金管理といった商業銀行の業務を扱ってきました。顧客企業が債券や株式で資金を取りにいく場面では、自分の免許の外にいたことになります。

中央銀行の通達は、マニラ支店が具体的にどの商品やサービスから始めるかまでは示していません。

1953年の駐在員事務所から73年

三菱UFJ銀行のフィリピンでの歩みは長いものです。

三菱UFJ銀行のフィリピンでの免許の変遷
  1. 1953年駐在員事務所

    東京銀行として代表事務所を開く

  2. 1977年オフショア銀行業務

    非居住者向けの取引を扱う資格を得る

  3. 1995年フル免許

    中央銀行から銀行業務の免許を取得

  4. 2016年Security Bankに出資

    20%を取得

  5. 2026年9月ユニバーサルバンク

    免許が最上位の区分に

フィリピン中央銀行の通達と同行の公表にもとづく。

マニラ支店はマカティ市アヤラ通りにあり、複数通貨での融資、預金、貿易金融(送金やサプライチェーン金融を含む)、為替、資金管理、シンジケートローンとプロジェクトファイナンスを扱っています。

2016年には、当時の東京三菱UFJ銀行が大手商業銀行 Security Bank の株式20%を 369億4,000万ペソで取得しました。この出資が実務でどう使われているかは、Security Bank自身が8月に示した3か年計画で具体的に語られています。日系企業に対応するJapan Deskを足がかりに、多国籍企業へのサービスを取りにいくという形です。

369億4,000万ペソに円換算を付けていない理由

2016年の取引で、当時と現在では為替が大きく違います。いまのレートで換算すると規模を誤って伝えるため、円の目安を併記していません。

日系企業にとって何が変わるか

支店側の説明はこうです。カントリーヘッドのMasami Yoshitake氏は、今回の認可によって「グローバルで培った知見をフィリピンの顧客にもっと届けられる」と述べています。副カントリーヘッドのMarie Diana Lynn Singson氏は、広がった権限が顧客の「成長に向けた意欲を支える」としています。

実務としては、同じ銀行に持ち込める相談の幅が広がるという話です。これまで融資で組み立てるしかなかった案件に、資本市場を使う選択肢が加わります。フィリピンではペソ安と高い金利が続いており、8月のインフレ率は6.1%、ペソは1ドル62ペソ台の史上最安値圏にあります。調達の手段が1つ増えることの意味は、平時より大きくなります。

ただし、この免許は日系企業だけのものではありません。ユニバーサルバンクへの移行は、マニラ支店がフィリピンの大手企業に対しても同じ土俵に立つという意味を持ちます。どちらを主戦場に置くかは、これから出てくる案件の中身で見えてきます。

換算の基準は1ドル155.9円、1ペソ2.49円(2026年9月4日時点)です。

SOURCES / 出典

  1. PhilSTARメディア
    MUFG Manila starts universal banking operationsphilstar.com
  2. radarメディア
    Japan's MUFG Bank gets Universal Bank license in PHradar.ph
  3. 三菱UFJ銀行企業公式一次情報
    MUFG Bank Manila Branchbk.mufg.jp

SHARE

#三菱UFJ銀行#MUFG#BSP#銀行#ユニバーサルバンク#Security Bank#日系企業

同じカテゴリーのNews

RELATED

この動きを読み解くInsights

INSIGHTS

三井住友は、なぜフィリピンの同じ財閥に5年で4回も出資したのか

日本の三井住友グループが、フィリピンで5年に4回、同じ企業グループの会社に出資しています。銀行に3回、そのリース会社、そして風力発電会社。フィリピンでは外国企業が銀行を100%買えるのに、三井住友は4分の1弱で止めています。買い取るつもりがないなら、何を狙っているのか。会社そのものより、その財閥が持つ顧客基盤でした。

フィリピンの法人税ゼロは、もう大手日本企業の得になっていない

フィリピンの経済特区に入ると数年間は法人税がゼロになります。ところが日本は2024年4月から、税負担の軽い海外子会社の分を親会社に課税し始めました。フィリピンには自国で先に取る制度がないため、免除された分は日本に納めることになります。下院の調査によれば、売上上位1%の法人の実効税率の中央値は5〜6%しかありません。