Wise、為替の上乗せでフィリピンから年500億ペソが失われていると試算
KEY POINTS
- ニュースの要点
- 国際送金の[Wise](https://wise.com/)のフィリピン法人が、同国の個人と企業が2024年に為替レートへの上乗せで500億ペソ(約1,300億円)を失ったとの自社試算を示した。内訳は個人100億ペソ、企業400億ペソ。
- この動きの意味
- 同社は新しい規制ではなく、既存のBSP通達952号(2017年)の徹底を求めている。手数料そのものではなく、レートに紛れ込む上乗せが見えないことを問題としている。
- 今後の注目点
- BSPが開示の運用を厳格化するか。銀行側が表示方法を変えるか。フィリピンは海外就労者送金が家計を支える国であり、上乗せの可視化は消費者の手取りに直結する。
国際送金のWiseのフィリピン法人が、記者向けの説明会で自社の試算を示した。フィリピンの個人と企業が2024年に、為替レートへの上乗せ(マークアップ)によって 500億ペソ(約1,300億円) を失ったという。内訳は個人が100億ペソ(約260億円)、企業が400億ペソ(約1,040億円)である。
国境をまたぐ送金にかかるコストは平均で3〜5%。同社は自社の水準を約0.5%としている。
問題は手数料ではなく、レートに紛れる上乗せ
利用者が支払うコストには2種類ある。明示される送金手数料と、為替レートに上乗せされる分である。後者は表示されないことが多い。
Wiseフィリピンのカントリーマネージャー Areson I. Cuevas 氏によれば、上乗せが含まれうることを知っているフィリピン人は21%にとどまります。
「フィリピンの銀行が、顧客が送金するたびに透明なレートを示すようにするには、どうすればよいか。BSP(中央銀行)と踏み込んだ議論をしている」(Cuevas氏)
求めているのは新しい規制ではない
同社が求めているのは、新しい規制の導入ではなく、既存の規則を実際に守らせることだ。
名指ししたのは BSP通達952号(2017年) である。中央銀行の監督下にある金融機関に対し、国内送金の手数料を前もって提示し、送金人に適切に開示することを求めている。銀行向けの第298条、ノンバンク向けの第251-Q条も、手数料・為替レート・上乗せの開示を義務づけている。
「BSPは非常に前向きだ。送金時に金融機関が開示すべき項目を、たしか7つ挙げている。ルールはすでにある。あとはそれを実施し、業界がその存在を知っているようにするだけだ」(Cuevas氏)
通達そのものに不備があるかを問われると、Cuevas氏は規制当局と協働中であることを理由に言及を避けた。
この働きかけは同社グループ全体の取り組みで、他の進出市場でも同じことをしているという。
円換算は2026年8月21日時点のレート(1ドル=159円、1ペソ=2.6円)による目安です。
SOURCES / 出典
- The Philippine StarメディアWise flags hidden forex markups in remittancesphilstar.com
- BusinessWorldメディアWise pushes for transparency in remittance costsbworldonline.com
同じカテゴリーのNews
RELATEDこの動きを読み解くInsights
INSIGHTS三井住友は、なぜフィリピンの同じ財閥に5年で4回も出資したのか
日本の三井住友グループが、フィリピンで5年に4回、同じ企業グループの会社に出資しています。銀行に3回、そのリース会社、そして風力発電会社。フィリピンでは外国企業が銀行を100%買えるのに、三井住友は4分の1弱で止めています。買い取るつもりがないなら、何を狙っているのか。会社そのものより、その財閥が持つ顧客基盤でした。
600社が使ったSalariumは2023年にサービスを無期限停止、倒産も解散もしていない
フィリピンで勤怠から給与の振り込みまでを1つで担っていたSalariumは、2019年時点で約600社が使い、2021年までに2万社へ広げると語っていた会社でした。2023年8月に利用企業が資金を引き出せなくなり、12月31日にサービスを無期限で停止します。ただし倒産も解散もしていません。法人はいまも登記に残ったままです。何が起きたのかをたどります。
2025年のフィリピン最大の資金調達は5億円。それを超えるお金が国外から来る理由
Forbes Asiaの「100 to Watch」に、フィリピンから2社が入りました。並べてみると、フィリピンで大きな資金を集めた会社には共通点があります。お金を出しているのが、ほぼ全部フィリピンの外の投資家です。理由は起業家の考え方ではなく、国内のベンチャーファンドの大きさにありました。



