銀行間送金が1〜8月で22.1兆ペソ、件数は58億件に膨らんだ
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピン中央銀行(BSP)のデータで、1〜8月のInstaPayとPESONetを通じた送金額が22兆1,000億ペソ(約55兆円)、前年同期比44%増となりました。件数は58億件で142%増です。
- この動きの意味
- 伸びの主因は手数料です。BSP通達1238号が7月4日に発効し、他行あて手数料を自行内あてと大きく変えられなくなりました。大手行と電子ウォレットの多くが、個人向けを無料にしています。
- 今後の注目点
- 件数が142%増に対し金額は44%増という差。1件あたりが小さくなっており、少額の送金が新たに動き始めたことを示しています。
フィリピン中央銀行(BSP)のデータで、電子的な銀行間送金が急速に膨らんでいます。
数字
| 2026年1〜8月 | 前年同期比 | |
|---|---|---|
| 合計の送金額 | 22兆1,000億ペソ | +44% |
| 合計の件数 | 58億件 | +142% |
| InstaPay の額 | 11兆1,000億ペソ | +61% |
| InstaPay の件数 | 57億件 | +148% |
| PESONet の額 | 11兆ペソ | +31% |
| PESONet の件数 | 8,710万件 | +15% |
22兆1,000億ペソは約55兆円にあたります。
InstaPay は1件5万ペソ(約12万円)までの即時送金、PESONet は大口をまとめて処理する仕組みです。
件数と金額の伸びが違う
件数は142%増、金額は44%増。この差が今回の要点です。
件数の伸びが金額の3倍以上ということは、1件あたりが小さくなっているということです。1〜7月の時点では1件あたりの平均が6,785ペソから3,851ペソへ43%下がっていました。8月もその方向が続いています。
伸びを引っ張っているのはInstaPayです。件数は57億件で148%増。PESONetの8,710万件とは桁が2つ違います。
手数料の規則が効いている
背景にあるのは BSP通達1238号です。7月4日に発効しました。
骨子はこうです。
- 銀行と決済事業者は、実際の原価にもとづいて手数料を決める
- 他行あての送金手数料を、自行内あてより大きく高くしてはならない(交換機関に払う実費分を除く)
- 個人間の送金は、差し引きなしで全額受け取れるようにする
- 電子決済の手数料は、窓口や紙の手続きより安くする
- 小規模加盟店への支払いは無料のまま
発効後、国内の大手銀行と電子ウォレットの多くが、個人向けのInstaPay・PESONet手数料を無料にしました。
財務長官の Frederick Go 氏は、1件あたり10〜50ペソかかっていた費用を2〜5ペソまで下げたい意向を示しています。ただしこれは、交換機関の手数料が1.50ペソ程度まで下がることが前提です。
ATMを抜いた
InstaPayは、件数でも金額でもATMの引き出しを上回っています(2020年以降)。
現金を下ろして渡す、という行動が、画面の上の操作に置き換わりました。
日系企業にとっての読みどころ
フィリピンで事業を営む企業にとって、実務上の変化は3つです。
集金。少額でも銀行振込が使えるようになりました。代引きや現金回収の必然性が下がります。
支払い。給与や業者への支払いを、手数料の負担なしに電子化できます。
与信。振込の履歴が残るということは、取引先の入出金が記録として蓄積されるということです。信用情報の材料が増えます。
注意点は、無料化が規制によって起きていることです。電子ウォレット各社は手数料規制に反論しており、交換機関の手数料が下がらないまま無料が続けば、どこかで負担の付け替えが起きます。無料が恒久的な前提だとは考えないほうが安全です。
1ペソ=2.49円で換算しています(2026年9月4日時点)。
SOURCES / 出典
- ASTIG.PHメディアInstaPay and PESONet transfers hit a record P22.1 trillion as fees fallastig.ph
- TechnobaboyメディアBSP ends freeze on InstaPay, PESONet fee hikestechnobaboy.com
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