美容室を装ったオンラインカジノ、中央銀行が加盟店8,000件を閉じた
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピン中央銀行(BSP)が、違法なオンラインカジノにつながるとみられる加盟店の口座8,000件超を閉鎖しました。美容室、パン屋、個人商店などを名乗りながら、深夜から早朝にかけて50ペソ前後の小口決済を大量に処理していたものです。
- この動きの意味
- 決済事業者が加盟店の実態を確認していないと、賭博の資金が普通の小売の決済として流れます。BSPは規則案で、加盟店の実質的な所有者や許認可まで確認することを義務づけ、違反を繰り返した事業者の免許を取り消せるようにします。
- 今後の注目点
- 規則案がいつ正式に発効するか。決済事業者の対応にかかる負担。合法の事業者が占める比率がさらに上がるか。
フィリピン中央銀行(BSP)が、違法なオンラインカジノにつながるとみられる 加盟店の口座8,000件超を閉鎖しました。
手口は「別の商売を名乗る」
BSPが監視で見つけたのは、次のような取引の形でした。
| 名乗っていた業種 | 美容室、パン屋、個人商店など |
| 決済の金額 | 1件 50ペソ前後(約125円)以下 |
| 決済の時間帯 | 深夜から早朝 |
| 件数 | 小口が大量に |
書類の上では普通の小売、動きを見ると賭けの入金という状態です。真夜中に美容室で50ペソの決済が何千件も立つことはありません。
BSP副総裁のMamerto Tangonan氏は、こう述べています。
「消費者をオンラインの詐欺と違法行為から、そしてマネーロンダリングの担い手からも守りたい」
「違法行為があって、それを止められないのなら、あなたに責任がある」
そして「成長のために安全を犠牲にすべきではない。そこに二者択一はない」としました。
規則案が求めるもの
BSPは決済システム規制の改正案を示しています。決済事業者に課される主な義務は次のとおりです。
- 加盟店の情報を厚く集める(実質的な所有者、許認可を含む)
- 資金の流れを、実際の加盟店まで追える状態にする
- 仲介業者が入る形の契約は、すべての仲介者を承認する
- カジノや賭博の事業者は、直接契約のみとする。仲介を挟むことを認めない
- QRコード加盟店の全国データベースを作る
- 既存の契約は、規則の発効から 6か月以内に見直し、さらに6か月以内に不備を直す
違反を繰り返した事業者は、免許を取り消されうるとされています。
「層を挟む」ことが問題だった
要点は、仲介業者を挟んだ契約(layered merchant arrangement)にあります。
決済を受け付ける事業者と、実際に商品やサービスを売る加盟店のあいだに別の業者が入ると、決済事業者からは末端の加盟店が見えなくなります。その隙間に、別の業種を名乗る事業者が入り込んでいました。
取り締まりの効果は出ている
BSPは2025年に電子財布からのリンクを外す措置を取っており、その結果、フィリピンのオンライン賭博の 合法の事業者が占める比率は25%から50%へ上がったとされています。
裏を返せば、いまも半分は違法な事業者によるということでもあります。
フィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)のAlejandro Tengco会長は「残念ながら、我々にはそこを統制する手立てがない」と述べています。
決済大手の Maya と電子マネー事業者協会は、決済の仕組みの健全性と安全性を強めることに賛意を示しました。
日系企業にとっての読みどころ
読みどころは、加盟店として決済を受ける側にも負担が来るという点です。
規則案は、決済事業者に対して加盟店の実質的な所有者や許認可の確認を求めます。つまり、フィリピンで決済サービスを使う事業者は、これまでより厚い書類の提出を求められる方向になります。既存の契約も6か月以内に見直されます。
中央銀行は9月にも金融機関へFATFの相互審査に向けた協力を求めており、資金の出どころと行き先を追える状態にするという方向は一貫しています。現地法人の口座や決済の契約を持つ企業は、書類の整備を前倒しで進めておくほうが摩擦が少なくなります。
換算の基準は1ペソ2.49円(2026年9月4日時点)です。
SOURCES / 出典
- Fintech News PhilippinesメディアOnline Casinos Disguised as Salons Prompt BSP Payment Crackdownfintechnews.ph
- ASTIGメディアBSP tightens payment rules after casinos posed as salons to take betsastig.ph
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