メラルコが26.4億ペソの返金を申請、料率改定の遅れで取りすぎ
KEY POINTS
- ニュースの要点
- メラルコが、配電料金の取りすぎ分26億4,000万ペソを800万超の需要家に返金する案をエネルギー規制委員会(ERC)に申請しました。対象は2026年1〜6月です。
- この動きの意味
- 原因は料率改定(レートリセット)の手続きの遅れです。この期間の実績加重平均料率は1キロワット時1.5537ペソでしたが、後に確定した配電料金は1.3522ペソでした。差額を返します。
- 今後の注目点
- ERCが仮認可を出す時期。家庭用の0.0828ペソが実際にいつから請求書に載るか。別途進行中の95億ペソの返金との重なり。第1規制期間の配電料金2.34ペソ/kWhの申請がどうなるか。
メラルコが、配電料金の取りすぎ分をエネルギー規制委員会(ERC)へ申請しました。返す額は 26億4,000万ペソ(約65億7,000万円)、対象は800万を超える需要家です。
返金の中身
| 区分 | 返金率(1キロワット時あたり) |
|---|---|
| 全需要家の平均 | 0.0487ペソ |
| 家庭用 | 0.0828ペソ |
家庭用で月200キロワット時を使う世帯なら、およそ 16.56ペソ(約41円)の減額になります。返金は12か月かけて行われ、全額を返し終えるまで続きます。請求書には別の項目として表示されます。
メラルコは「本申請の最終承認までの間も、仮認可が出れば需要家はただちに恩恵を受けられる」としています。
なぜ取りすぎたのか
原因は手続きの遅れです。
ERCは配電会社の費用・投資・実績を定期的に審査し、その規制期間に課してよい上限料率を決めます。これがレートリセットです。この手続きが完了するまでの「ラプス期間」、メラルコは従来の料率で徴収を続けていました。
結果として差が出ました。
| 項目 | 1キロワット時あたり |
|---|---|
| 実績加重平均料率(AWAT) | 1.5537ペソ |
| 後に確定した配電料金 | 1.3522ペソ |
差額の0.2015ペソ分が、返金の原資です。
これが初めてではない
メラルコは現在、別の返金も実施中です。2025年1〜12月のラプス期間に取りすぎた分として 95億ペソを、1キロワット時0.3448ペソの率で返しています。こちらは来年1月まで続く予定です。
今回の0.0487ペソと比べると、桁が違います。2025年のずれのほうがはるかに大きかったということです。
この先の料金
ERCは昨年10月、第1規制期間(1RP)を定める規則を出しました。期間は2026年7月1日から2030年6月30日です。民間配電会社の料率決定の枠組みを変える一環でした。
この1RPについて、メラルコは配電料金 1キロワット時2.34ペソを申請しています。2030年までに5,321億3,000万ペソの投資計画を支えるためという説明です。
1〜6月の実績1.5537ペソと比べると、申請値は5割ほど高い水準になります。返金が進む一方で、次の規制期間の料率は上を向いているということです。
9月のメラルコの総合料金は、1キロワット時14.7424ペソでした。8月の14.7833ペソから0.0409ペソ下がっています。
同社は首都圏とブラカン、カビテ、リサール、およびラグナ、バタンガス、パンパンガ、ケソンの一部で810万超の需要家に供給する国内最大の民間配電会社です。並行して2031年以降のベースロード電源900メガワットの調達も始めています。
換算は1ペソ=2.49円(2026年9月4日時点)で計算した目安である。1キロワット時あたりの単価は円に直すと小数以下になり判断の助けにならないため換算していない。
SOURCES / 出典
- BusinessWorldメディアMeralco seeks approval for P2.64-B refundbworldonline.com
- PhilSTARメディアMeralco seeks ERC nod for P2.64 billion refund schemephilstar.com
同じカテゴリーのNews
RELATEDこの動きを読み解くInsights
INSIGHTSフィリピンの電気代が東南アジアで一番高い、直撃するのは半導体と精密電子の工場
フィリピンの平均電力価格が2026年6月に1キロワット時12.43ペソとなり、シンガポールを抜いて東南アジアで最も高くなりました。この高さが最も重くのしかかる日系企業は、半導体と精密電子の製造業です。単価が原価に乗るうえ、停電が頻発する地域では自家発電を持たされ、製造コストがさらに上がります。しかも影響は、進出をやめた素材・部品産業という形でも現れています。
600社が使ったSalariumは2023年にサービスを無期限停止、倒産も解散もしていない
フィリピンで勤怠から給与の振り込みまでを1つで担っていたSalariumは、2019年時点で約600社が使い、2021年までに2万社へ広げると語っていた会社でした。2023年8月に利用企業が資金を引き出せなくなり、12月31日にサービスを無期限で停止します。ただし倒産も解散もしていません。法人はいまも登記に残ったままです。何が起きたのかをたどります。
フィリピンの物価は日本の3分の1?牛乳もクルマも日本より高い【2026年9月】
PHILIPPINES STARTUP編集部の私は、マニラに住んでいたことがあります。週2回外食して、プール付きのマンションに住んだら、生活費は東京とほとんど変わりませんでした。むしろ高い月もありました。100品目を東京と比べたら、「日本の3分の1」に当てはまったのは19品目だけ。牛乳もガソリンもクルマも日本より高い。日本人が住むBGCとマカティの家賃、必要な月額、そして物価上昇がいま企業に何を起こしているかまで書きました。



