Mayaが銀行と決済の統治をひとつの枠組みに、深層偽造も想定
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピンの決済・デジタル銀行大手Mayaが、リスク管理と法令順守の体制を One Maya Governance Framework として整理しました。銀行事業と決済事業で別々だった基準・統制・報告の道筋を揃えるものです。
- この動きの意味
- Maya Bankと Maya Philippines は別の免許を持ち、取締役会の責任も規制上の義務も別です。それを統合するのではなく、リスクの基準だけを揃えるという設計になっています。
- 今後の注目点
- 深層偽造を使った本人確認の突破にどこまで耐えるか。金融機関・通信会社・技術基盤の連携が実際に進むか。中央銀行の規制強化にどう対応するか。
フィリピンの決済・デジタル銀行大手 Maya が、リスク管理と法令順守の体制を整理しました。One Maya Governance Frameworkという枠組みです。
何を揃えたのか
Mayaは2つの事業体を持ちます。Maya Bank(デジタル銀行)と Maya Philippines(決済)です。
| 免許 | 別々 |
| 取締役会の責任 | 別々 |
| 規制上の義務 | 別々 |
| リスクの基準・統制・監督の道筋 | 揃える |
組織を統合するのではなく、リスクの物差しだけを合わせるという設計です。免許が別である以上、法人を一体化することはできません。そのうえで、判断の基準がばらばらになることを防ぐ形になります。
最高リスク・法令順守責任者の Julie Reyes 氏は、リスクと法令順守が「開発の段階で事業の判断に入るべきで、最後に出てくるものであってはならない」としています。
統制は「線」ではなく「層」
不正対策の置き方も示されました。対象となる場面は次のとおりです。
- 口座開設(オンボーディング)
- 本人確認(認証)
- 口座の回復
- 登録情報の変更
- 取引の監視
口座開設だけを固めても意味がないという考え方です。実際、口座の乗っ取りは「パスワードを忘れた」からの回復や、登録した電話番号の変更といった経路から起きます。
検知には、リアルタイムの仕組みと AIを使った手法が使われています。
深層偽造が想定に入った
Reyes氏が挙げた新しい脅威が、なりすましと本人確認の突破です。とくに 深層偽造(ディープフェイク)に言及しました。
顔と声で本人確認をする仕組みは、生成技術の進歩によって前提が崩れます。Reyes氏は、金融機関・通信会社・技術基盤の事業者・当局が連携し、層を重ねたリスクに応じた統制を置く必要があるとしています。
「デジタル金融は速くあるべきだが、その速さには健全な判断、明確な歯止め、そして責任が伴わなければならない」
Reyes氏は、世界金融イノベーション会議フィリピン2026で「ガバナンス・リスク・コンプライアンス提唱者」に選ばれました。2024年に続く2度目です。
制度の側も動いている
この取り組みは、制度の動きと歩調を合わせています。
- 金融口座詐欺防止法
- 中央銀行の通達1213号(不正の監視、認証、口座の保護を強化)
加えて中央銀行は、違法なオンラインカジノにつながる加盟店の口座8,000件超を閉鎖し、決済事業者に加盟店の実態確認を求める規則案を示したばかりです。
日系企業にとっての読みどころ
フィリピンで決済や給与の振込にこうした事業者を使う企業にとって、本人確認と取引監視が厳しくなる方向は前提になります。
読みどころは、Mayaが挙げた統制の場面の一覧です。口座開設だけでなく、回復と登録情報の変更が並んでいます。法人口座の管理者の変更や連絡先の更新といった手続きでも、求められる確認が増える方向に動きます。
SOURCES / 出典
- Daily TribuneメディアMaya strengthens fraud, compliance controls for digital bankingtribune.net.ph
- 2nd OpinionメディアMaya's Risk and Compliance approach earns WFIS recognition2ndopinion.ph
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