ABS-CBNが従業員の7%にあたる200人を削減、広告が戻らない
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピンの放送・制作大手ABS-CBNが、従業員の約7%にあたる約200人を削減します。2026年上半期の連結売上は17%減の68億8,000万ペソ、純損失は前年同期の8億5,200万ペソから18億3,000万ペソへ倍増しました。
- この動きの意味
- 会社が挙げた理由は、中東情勢、高いインフレ、低い成長による広告と消費の弱さです。加えて2025年にあった中間選挙の広告がなくなった反動もあります。ロペス家が60億ペソを増資した直後の削減という点に、回復の遠さが出ています。
- 今後の注目点
- 下半期に広告収入が戻るか。増資した資金の使い道。国際的な配信事業がどこまで伸びるか。
フィリピンの放送・制作大手 ABS-CBN が、約200人を削減します。従業員の約 7% にあたります。
数字を並べる
2026年上半期の実績はこうです。
| 2026年上半期 | 前年同期 | |
|---|---|---|
| 連結売上 | 68億8,000万ペソ(約171億円) | 17%減 |
| 連結純損失 | 18億3,000万ペソ(約46億円) | 8億5,200万ペソ(約21億円)から倍増 |
| 連結営業費用 | 84億6,000万ペソ(約211億円) | 5%減(4億8,200万ペソの削減) |
費用は削っているのに、売上の落ちがそれを上回っているという構図です。売上の落ち込みはケーブルテレビとブロードバンドの部門で大きかったとされています。
理由は3つ重なっている
会社が挙げた要因を整理すると、次のようになります。
- 広告市況の悪化。中東での紛争、高いインフレ、低い経済成長が、広告と消費の両方を弱めた
- 選挙広告の反動。2025年には中間選挙があり、その分の広告収入が2026年にはない
- 番組の供給減。映画やライブイベントの本数が減った
会社の説明はこうです。「慎重に検討したうえで、ABS-CBNを強固な財務基盤の上に保つために、人員削減を実施するという難しい決断をした」
そして「これが従業員とその家族に深く影響することは分かっている。我々がいつもそうしてきたように、Kapamilyaへの思いやりをもって進めるつもりだ」としています。Kapamilyaは「家族の一員」を意味する同社の呼称です。
増資の直後という点
タイミングが目を引きます。
ロペス家の3つの法人 —— Crème Investment Corp.、Mantes Corp.、Presta Holdings Co. Inc. —— が、自己資金で 22億ペソ(約55億円)の株式引き受けを約束しています。親会社側からは先月、60億ペソ(約149億円)の資金が入りました。
金を入れた直後に人を減らすという順序です。会社は新規の投資を「会社の将来への信任票であり、回復と新たな成功に向かう道のりを助けるもの」と説明しています。
2020年から続いていること
背景には、2020年の 放送免許の更新拒否があります。当時のドゥテルテ政権下で国会が更新を認めず、約6,000人が職を失いました。
それ以降、同社は地上波放送から、デジタル配信と他局への番組供給へと軸足を移してきました。今回の削減は、その移行がまだ収益の回復に結びついていないことを示しています。
会社は下半期の売上の回復と、国際的な番組展開の継続に期待を示しています。
換算の基準は1ペソ2.49円(2026年9月4日時点)です。
SOURCES / 出典
- PhilSTARメディアABS-CBN cuts 200 jobs as recovery remains elusivephilstar.com
- BusinessMirrorメディアABS-CBN to cut workforce as ad spending nosedivesbusinessmirror.com.ph
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