フィリピンの銀行預金が22兆ペソへ、口座数は1億7,860万に増える
KEY POINTS
- ニュースの要点
- 預金保険公社(PDIC)によると、2026年3月末の銀行預金残高は前年同期比9.8%増の22兆400億ペソ(約57兆円)になった。増加額1兆9,700億ペソのうち、個人が46.4%、民間企業が30.8%を占める。口座数は18%増の1億7,860万で、そのうち98.8%が預金保険で全額保護されている。
- この動きの意味
- 残高と口座数の両方が伸びており、しかも伸び方が違う。金額では定期預金が増加の45.5%を占め、口座数では普通預金が増加分の99%を占めた。まとまった資金は金利を取りにいき、新しく銀行に入ってきた層は普通預金から始めているという、二層の動きが同時に起きている。
- 今後の注目点
- BSPの利上げが続いた場合に定期預金への移動がさらに進むか。口座数の増加がデジタルバンクと電子ウォレット経由でどこまで来ているか。次回のPDIC統計で普通預金の口座増加が続くか。
預金保険公社(PDIC)のデータによると、2026年3月末時点のフィリピンの銀行預金残高は 22兆400億ペソ(約57兆円) になった。前年同期の20兆1,000億ペソから 9.8%の増加 である。
伸びは加速している。1年前の同じ時期は5.3%増(増加額1兆ペソ)だったのに対し、今回の増加額は 1兆9,700億ペソ(約5兆1,200億円) と倍近い。
増加を主導したのは個人と企業である。個人の預金が9,139億ペソ増えて増加額全体の46.4%、民間企業が6,066億ペソ増えて30.8%を占めた。残る22.8%は政府機関、銀行、信託部門などの機関預金者である。合わせて4分の3以上が、家計と企業の手元資金ということになる。
PDICの Roberto Tan 総裁兼CEOはこう述べた。「預金債務の継続的な増加は、銀行システムに対する国民の持続的な信頼を反映している。家計と企業の預金の増加は、個人と企業が銀行を、資金を管理するうえで安全で、利用しやすく、信頼できる機関と見続けていることを示している」
金額は定期預金、口座数は普通預金
この統計の面白いところは、金額の伸びと口座数の伸びで、主役が違う点にある。
| 見る軸 | 増加を主導したもの | 割合 |
|---|---|---|
| 預金残高の増加額 | 定期預金(8,961億ペソ増) | 前年比増加分の45.5% |
| 口座数の増加 | 普通預金(2,690万口座増) | 増加分の99% |
定期預金が最も伸びたことについて、PDICは、預金者がより良い利回りを求め、利下げが予想されるなかで現行の金利を固定しようとした可能性を挙げている。銀行側が競争的な金利や特典を出したことも、期間の定まった預金への移動を後押ししたとみられる。銀行にとっては、定期預金は資金調達の基盤として安定している。
一方で口座数は18%増えて 1億7,860万 になった。増加分のほぼすべてが普通預金である。全額が預金保険で保護される口座も18.2%増えて1億7,650万になり、国内の預金口座の 98.8% が全額保護されている計算になる。
PDICは残高の伸びについて、雇用、海外就労者からの送金、経済活動に支えられた家計と企業の所得増加を反映しているとしたうえで、個人と企業が安全性と利便性のためにより多くの資金を銀行に置くようになった可能性も指摘した。
「利下げを見込んで固定した」という説明の時期
ただしPDICが挙げた「利下げが予想されるなかで金利を固定した」という説明は、統計の時点を踏まえて読む必要がある。このデータは2026年3月末時点のものである。
BSPが利上げに転じたのは4月で、そこから6月、8月と3会合連続で引き上げ、政策金利は5%になった。3月時点の預金者が想定していた金利の方向と、その後に実際に起きたことは逆である。
したがって、この定期預金への移動が利上げ局面でも続くのかどうかは、次回以降の統計を待たないと分からない。金利が上がる局面では、いま固定するより待つほうが有利になり得る。
口座数の側は別の話である。増加分の99%が普通預金という構成は、新しく銀行に入ってきた層が小口から始めていることを示す。フィリピンでは電子ウォレットが最初の金融商品になる利用者が多いという調査もあり、その層が銀行口座へどう接続しているのかは、この統計だけでは分からない。
本記事のペソ建て金額は 1ペソ=約2.6円(2026年8月21日時点のレート)で換算した。内訳の金額は構成比が論点のため換算していない。
SOURCES / 出典
- The Philippine StarメディアBank deposits hit P22 trillionphilstar.com
- Philippine Deposit Insurance Corporation政府・規制当局一次情報Philippine Deposit Insurance Corporation(預金保険公社)pdic.gov.ph
参考(本文の補足)
- Bangko Sentral ng PilipinasBangko Sentral ng Pilipinas(中央銀行)
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