証券取引所、黒字実績のない企業を上場させる制度の担い手要件を緩和へ
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピン証券取引所(PSE)が、中小・新興企業向け市場(SME board)のスポンサー制度について規則の緩和案を公開協議にかけた。この制度は、黒字の実績や株主資本の要件を満たさない企業でも、認定スポンサーの推薦があれば上場を申請できるというもの。今回はそのスポンサーの資格要件を下げる。
- この動きの意味
- 緩めるのは上場する企業側ではなく、推薦する側の要件である。現行は法人として3〜5年の実績を求めているが、これを外し、十分な経験を持つ人材がいる会社なら認められるようにする。担い手が足りないために制度が使われていない、という前提が読み取れる。
- 今後の注目点
- 公開協議の結果と最終的な規則。認定スポンサーが何社に増えるか。この制度を使って実際に上場するスタートアップが出るか。SEC側の資本市場の緩和(公募申請のオンライン化、中堅企業の社債枠組み)と合わせて申請が動くか。
フィリピン証券取引所(PSE)が、黒字の実績がない企業でも上場できる制度の使い勝手を上げようとしている。
対象は、中小・新興企業向け市場(SME board)の スポンサーモデル である。この枠組みは、高成長企業やスタートアップに資本市場への道を開くために作られたもので、黒字の実績や株主資本の要件を満たさない企業でも、PSEの認定を受けた「上場スポンサー」の推薦があれば上場を申請できる。
PSEは、この規則の改正案を公開協議にかけた。
緩めるのは、企業ではなく推薦する側
注意したいのは、緩和の対象が上場する企業の要件ではないことである。緩めるのは、その企業を推薦する上場スポンサーになるための条件である。
現行の規則では、認定を受けるには次のどちらかが要る。
- 新規上場(IPO)や重要なコーポレートファイナンス取引で主導的な役割を5年以上務めた経験
- 同じ経験が3年以上あり、かつ主要な人材のうち2人以上が5年以上の経験を持つこと
PSEの提案は、このうち 法人として3年の実績を求める要件を撤廃する というものである。専門職の要件についても撤廃を求めている。
狙いは、PSEの説明によれば「企業としての実績要件は満たさないが、十分に経験のある人材を擁する参加者」にも制度を開くことにある。
つまり、担い手が足りないために制度が使われていない、という前提が置かれている。制度そのものは以前からあるが、推薦できる会社が限られていたということになる。
同じ日に、規制側が3つ動いた
この提案は単独で出てきたものではない。同じ日に、SECは公募の登録申請をオンライン専用システムに一本化し、中堅企業が公募債を出せるようにする枠組みの第2次案も公表した。
背景にあるのは市場の細り方である。フィリピンでは3年で10社が上場廃止になり、新規上場が長く途絶えた状態が続いてきた。PSEとSECはそれぞれ、入口の手続きと、入口に立てる企業の範囲を広げようとしている。
ただし、上場の要件を緩めることと、実際に上場する企業が現れることは別である。この制度が機能するかどうかは、認定スポンサーが増えるかどうかで最初に分かる。
SOURCES / 出典
- The Philippine StarメディアPSE eyes relaxed rules for SME listing sponsorsphilstar.com
- Philippine Stock Exchangeその他一次情報The Philippine Stock Exchange(フィリピン証券取引所)pse.com.ph
参考(本文の補足)
- Philippine Daily InquirerSEC eases capital market entry with online registration
- BusinessWorldSEC proposes broader bond market access for mid-sized firms
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