8月の国際収支は5.96億ドルの赤字、1〜8月では59億ドルに
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピン中央銀行(BSP)の集計で、2026年8月の国際収支(BOP)は5億9,600万ドル(約929億円)の赤字。1〜8月の累計は59億ドルで、前年同期の54億ドルから約9.3%広がりました。
- この動きの意味
- 原因はモノの貿易赤字と、海外からの証券投資の流出超です。海外送金、政府の対外借入、役務の収入、直接投資が一部を打ち消しました。
- 今後の注目点
- 単月では6月以来の小ささという点。ただし前年8月は3億5,900万ドルの黒字で、前年同月比では赤字に転じています。
フィリピン中央銀行(BSP)の集計で、2026年8月の国際収支(BOP)が赤字になりました。
数字
| 8月単月 | 5億9,600万ドルの赤字 |
| 2025年8月 | 3億5,900万ドルの黒字 |
| 2026年1〜8月 | 59億ドルの赤字 |
| 2025年1〜8月 | 54億ドルの赤字 |
| 増減(累計) | +9.3% |
5億9,600万ドルは約929億円、59億ドルは約9,200億円にあたります。
国際収支は、国全体の外貨の出入りを示す数字です。赤字は、出ていった外貨が入ってきた外貨を上回ったことを意味します。
二つの読み方が並んでいる
この発表には、単月と累計で違う見え方があります。
- 単月は5億9,600万ドルで、6月以来2か月ぶりの小ささ(RCBCのチーフエコノミスト Michael Ricafort 氏の指摘)
- 累計は59億ドルで、前年同期から9.3%広がっている
月ごとの傾きは落ち着き、年間の積み上がりは悪化している。同じ発表をどちらから見るかで、印象が変わります。
何が赤字にしたのか
原因として挙がっているのは2つです。
- モノの貿易赤字が続いていること
- 海外からの証券投資の流出超
Ricafort氏は、世界的な原油価格の上昇が輸入額を押し上げたこと、8月の地政学的な動きにともなう市場の変動を挙げています。
打ち消した側は次のとおりです。
- 海外で働く人からの送金
- 政府の対外借入
- 役務の輸出による収入
- 対内直接投資
外貨準備は増えている
同じ8月末の外貨準備高は 1,048億ドルで、7月末の1,033億ドルから増えました。金の保有額が174億9,000万ドルから191億1,000万ドルへ膨らんだためです。
外貨の出入りは赤字なのに、準備高は増えている。矛盾ではありません。準備高の増加分は金価格の評価替えであって、稼いで積んだものではないからです。詳しくは8月末の外貨準備は1,048億ドルという既報で扱いました。
BSPは、準備高が輸入と役務の支払いの6.6か月分に相当し、短期対外債務の3.3倍を賄えるとしています。
日系企業にとっての読みどころ
国際収支の赤字は、ペソの下押し要因として残ります。
上期の経常赤字はGDP比6.4%まで広がり、ペソは1ドル62.86ペソの過去最安値を記録しました。8月のBOPが単月で改善したといっても、流れが変わったと読むには早い段階です。
実務上の含意は単純です。日本から部材を入れて現地で売る事業は、仕入れ値が上がる方向に動きます。現地で作って日本へ出す事業は逆です。どちらの側にいるかで、来年度の計画の前提が変わります。
1ドル=155.9円で換算しています(2026年9月4日時点)。
SOURCES / 出典
- Daily TribuneメディアBSP: BOP deficit widens to $5.9B in Augusttribune.net.ph
- Daily GuardianメディアPhilippine reserves rise as August BOP posts deficitdailyguardian.com.ph
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