8月末の外貨準備は1,048億ドル、増やしたのは金価格
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピン中央銀行の発表で、2026年8月末の外貨準備高(GIR)は1,048億ドル(約16兆3,400億円)。7月末の1,033億ドルから15億ドル、1.4%増えました。5か月ぶりの高さです。
- この動きの意味
- 増加の主因は金価格の上昇による評価替えです。金の保有額は175億ドルから191億ドルへ。ドルを稼いで積み増したわけではありません。
- 今後の注目点
- 2月の過去最高1,133億ドルからは85億ドル減った水準にとどまる点。政府の対外債務返済による取り崩しが続いています。
フィリピン中央銀行(BSP)の発表で、2026年8月末の外貨準備高(GIR)が前月から増えました。
数字
| 2026年8月末 | 2026年7月末 | |
|---|---|---|
| 外貨準備高 | 1,048億ドル | 1,033億ドル |
| 金 | 191億800万ドル | 174億8,950万ドル |
| 証券 | 640億2,440万ドル | — |
| その他の準備資産 | 154億4,450万ドル | — |
| 特別引出権 | 39億5,760万ドル | — |
| 現金・預金 | 15億4,970万ドル | — |
| IMFリザーブポジション | 7億2,800万ドル | — |
| 輸入の何か月分 | 6.8か月 | 6.7か月 |
| 短期対外債務の何倍 | 3.7倍 | 3.657倍 |
1,048億ドルは約16兆3,400億円にあたります。
増やしたのは金価格
増加は15億ドル、率にして1.4%です。うち金の評価替えが16億ドルを占めます。
量ではなく評価額。金価格の上昇を反映している。
BSPは、国際市場での金価格の上昇による「上方の評価調整」と、海外投資からの純収益を理由に挙げています。一方で、政府が対外債務の返済のために引き出した分が、これを一部打ち消しました。
稼いで積んだのではなく、持っている金が値上がりしたという構図です。
水準としては回復途上
8月末は5か月ぶりの高さですが、長い目で見ると回復途上です。
- 2026年2月過去最高
1,133億ドル
- 2026年7月1年半ぶりの低さ
1,033億ドル
- 2026年8月5か月ぶりの高さ
1,048億ドル
2025年8月の1,071億ドルも下回っています。2月からの6か月で減ったのは、ペソの急変をならすための市場介入と、対外債務の返済が理由とされています。
日系企業にとっての読みどころ
見るべき指標は2つです。
輸入6.8か月分。国際的な目安は3か月とされるので、水準としては厚みがあります。
短期対外債務の3.7倍。1年以内に返す必要のある対外債務に対し、3.7倍の準備があるという意味です。
つまり、すぐに支払いが詰まる話ではありません。ただし、増えた理由が金価格である以上、金相場が反転すれば同じ額だけ戻ります。ペソの下支えに使える原資としては、見た目ほど増えていないと読むのが妥当です。
上期の経常赤字がGDP比6.4%まで広がったことと合わせると、ペソの下押し圧力は残ります。
1ドル=155.9円で換算しています(2026年9月4日時点)。
SOURCES / 出典
- Daily TribuneメディアAugust GIR hits $104.8Btribune.net.ph
- Daily GuardianメディアPhilippine foreign reserves rise to USD 104.8 billiondailyguardian.com.ph
同じカテゴリーのNews
RELATEDこの動きを読み解くInsights
INSIGHTSフィリピンの電気代が東南アジアで一番高い、直撃するのは半導体と精密電子の工場
フィリピンの平均電力価格が2026年6月に1キロワット時12.43ペソとなり、シンガポールを抜いて東南アジアで最も高くなりました。この高さが最も重くのしかかる日系企業は、半導体と精密電子の製造業です。単価が原価に乗るうえ、停電が頻発する地域では自家発電を持たされ、製造コストがさらに上がります。しかも影響は、進出をやめた素材・部品産業という形でも現れています。
フィリピンの物価は日本の3分の1?牛乳もクルマも日本より高い【2026年9月】
PHILIPPINES STARTUP編集部の私は、マニラに住んでいたことがあります。週2回外食して、プール付きのマンションに住んだら、生活費は東京とほとんど変わりませんでした。むしろ高い月もありました。100品目を東京と比べたら、「日本の3分の1」に当てはまったのは19品目だけ。牛乳もガソリンもクルマも日本より高い。日本人が住むBGCとマカティの家賃、必要な月額、そして物価上昇がいま企業に何を起こしているかまで書きました。
フィリピンの法人税ゼロは、もう大手日本企業の得になっていない
フィリピンの経済特区に入ると数年間は法人税がゼロになります。ところが日本は2024年4月から、税負担の軽い海外子会社の分を親会社に課税し始めました。フィリピンには自国で先に取る制度がないため、免除された分は日本に納めることになります。下院の調査によれば、売上上位1%の法人の実効税率の中央値は5〜6%しかありません。



