9月の国際収支は31億4,400万ドルの赤字、外貨準備は3年ぶりに1,000億ドル割れ
KEY POINTS
- ニュースの要点
- 9月の国際収支は31億4,400万ドルの赤字で、8月の5億9,600万ドルの5倍を超えました。1〜9月の累計は90億8,700万ドルの赤字で、前年同期から71%広がっています。9月末の外貨準備は994億9,400万ドルで、2023年9月以来の低さです。
- この動きの意味
- 赤字の大きさに加えて、外貨準備が減った理由に中央銀行自身のドル売りが入っている点が重要です。ペソが最安値を更新するなかで、中央銀行が手持ちのドルを使って値動きをならしており、その分だけ準備が細っています。
- 今後の注目点
- 通年の見通しである92億ドルの赤字を超えるか。10月もペソ安が続くなかで、外貨準備がさらに減るか。10月22日の金融政策会合で中央銀行がどう判断するか。
フィリピン中央銀行(BSP)が10月19日に公表した集計で、9月の 国際収支(BOP)は 31億4,400万ドルの赤字でした。
国際収支は、国全体の外貨の出入りをまとめた数字です。赤字は、出ていった外貨が入ってきた外貨を上回ったことを意味します。
数字
| 金額 | |
|---|---|
| 2026年9月 | 31億4,400万ドルの赤字 |
| 2026年8月 | 5億9,600万ドルの赤字 |
| 2025年9月 | 8,200万ドルの黒字 |
| 2026年1〜9月 | 90億8,700万ドルの赤字 |
| 2025年1〜9月 | 53億1,500万ドルの赤字 |
9月の赤字は8月の5倍を超え、単月では2025年1月(40億7,800万ドルの赤字)以来の大きさです。赤字は3か月続いています。累計は前年同期から71%広がりました。
赤字を広げたもの、打ち消したもの
BSPは1〜9月の赤字の原因を、モノの貿易赤字と、海外からの証券投資の流出超だとしています。打ち消した側に挙げたのは、海外で働く人からの送金、政府の対外借入、サービスの輸出、対内直接投資です。
UnionBankのチーフエコノミストRuben Carlo Asuncion氏は、9月については貿易赤字の拡大、輸入代金と借入の返済の増加、資本の流入の鈍化が重なったとみています。累計がすでに90億ドルを超えたことで、通年で黒字になる見込みは「きわめて低い」とし、焦点は政府の見通しを超えるかどうかに移ったと述べました。
BSPは今月、2026年の国際収支を92億ドルの赤字(GDP比マイナス1.8%)と見込んだばかりです。それ以前の見通しは107億ドルの赤字でした。
外貨準備が1,000億ドルを割った
9月末の外貨準備は 994億9,400万ドルです。
| 外貨準備 | |
|---|---|
| 2026年9月末 | 994億9,400万ドル |
| 2026年8月末 | 1,048億4,600万ドル |
| 2025年9月末 | 1,090億6,000万ドル |
前月から5.1%、前年から8.8%減り、2023年9月以来3年ぶりの低さになりました。速報値の999億9,700万ドルからも下方修正されています。
BSPは減った理由として、まず自身の外貨の売買を挙げています。9月にペソが1ドル62ペソ台へ下げるなか、手持ちのドルを使って値動きをならしたということです。ほかに、金と外貨建て資産の評価額の下落、政府が対外債務の返済のために預金を引き出したことも挙げました。
それでもBSPは、準備高は輸入とサービスの支払いの6.2か月分にあたり、目安の3か月分の2倍以上あるとしています。短期の対外債務の約3.1倍も賄えます。SM InvestmentsのエコノミストRobert Dan Roces氏は「まだ準備が足りるかどうかの問題ではなく、外からの圧力がどれだけ続くかの問題だ」と述べています。
8月は赤字5億9,600万ドルで単月では小さくなっていましたが、9月に再び広がりました。ペソはその後、10月15日に初めて1ドル63ペソを超えています。
ドル建ての国際収支の統計のため、円換算はしていません。
SOURCES / 出典
- ビジネスワールド(BusinessWorld)メディアPhilippines' BoP deficit widens to $3.1B in Septemberbworldonline.com
- フィリピン・スター(The Philippine Star)メディアBOP deficit swells to $3.14 billion in Septemberphilstar.com
同じカテゴリーのNews
RELATEDこの動きを読み解くInsights
INSIGHTSフィリピンの貧困率が9.7%に下がっても、家計の見通しが過去最悪な理由
フィリピンの貧困率が統計史上はじめて1桁の9.7%になりました。同じ8月に、家計の見通しは調査開始以来もっとも暗い水準に落ちています。矛盾ではありません。2つのデータは別の時期を見ています。その差を分けて読まないと、参入判断も売上計画も外れます。
フィリピンの電気代が東南アジアで一番高い、直撃するのは半導体と精密電子の工場
フィリピンの平均電力価格が2026年6月に1キロワット時12.43ペソとなり、シンガポールを抜いて東南アジアで最も高くなりました。この高さが最も重くのしかかる日系企業は、半導体と精密電子の製造業です。単価が原価に乗るうえ、停電が頻発する地域では自家発電を持たされ、製造コストがさらに上がります。しかも影響は、進出をやめた素材・部品産業という形でも現れています。
フィリピンの物価は日本の3分の1?牛乳もクルマも日本より高い【2026年9月】
PHILIPPINES STARTUP編集部の私は、マニラに住んでいたことがあります。週2回外食して、プール付きのマンションに住んだら、生活費は東京とほとんど変わりませんでした。むしろ高い月もありました。100品目を東京と比べたら、「日本の3分の1」に当てはまったのは19品目だけ。牛乳もガソリンもクルマも日本より高い。日本人が住むBGCとマカティの家賃、必要な月額、そして物価上昇がいま企業に何を起こしているかまで書きました。



