ペソが初めて1ドル63ペソを超えた、今年27回目の最安値
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピン・ペソは10月15日に1ドル63.06ペソで取引を終え、初めて63ペソを超えました。過去最安値の更新は今年27回目で、年初からの下落率は6.77%です。
- この動きの意味
- ペソ安は輸入品の値段を押し上げ、9月に7.2%まで上がった物価をさらに刺激します。中央銀行は特定の水準を守らない姿勢で、外貨準備も3年ぶりの低さに減っているため、相場を支える手段は限られています。
- 今後の注目点
- 10月22日の中央銀行の金融政策会合で追加の利上げがあるか。10月28日の米国の会合を前に、ペソが63ペソ台にとどまるか戻すか。
フィリピン・ペソは10月15日、1ドル 63.06ペソで取引を終えました。前日の62.87ペソから19センタボ下げ、初めて63ペソを超えています。それまでの最安値は10月8日の62.90ペソでした。
GMAニュースによると、過去最安値の更新は 今年27回目 です。年初からの下落幅は4.27ペソ、率にして6.77%になります(2025年12月29日の58.79ペソとの比較)。取引中には63.15ペソまで下げ、ドルの取引高は前日の9億4,100万ドルから15億ドルに膨らみました。
何がペソを押し下げたのか
きっかけは米国の物価です。9月の米国の物価上昇率が3.7%と予想を上回り、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに動く、あるいは高い金利を長く続けるという見方が強まりました。
フィリピン側の事情も重なっています。エコノミストが挙げた理由は次のとおりです。
- 外貨準備の減少:9月末の外貨準備は約1,000億ドルで、前年同月から8.3%減り、2023年9月以来3年ぶりの低さ(Reyes Tacandong & Co.のJonathan Ravelas氏)
- 原油高と中東・ロシアの情勢:エネルギーの供給が細るおそれ(RCBCのMichael Ricafort氏)
- 国内の物価と投資の流入への不安(フィリピン開発研究所のJohn Paolo Rivera氏)
フィリピンはモノの輸入が輸出を上回る国で、ドルの需要が構造的に強いことも、ペソが戻りにくい理由として挙げられています。
中央銀行は水準を守らない
中央銀行(BSP)のRemolona総裁は、外貨準備を減らすおそれがあるため特定の水準でペソを防衛しないとしています。介入は値動きをならすためだけだという立場です。Ricafort氏は、63.10〜63.15ペソ付近で介入か、値動きをならす動きがあったとみています。
中央銀行は4月から利上げを続け、合計0.75%引き上げて政策金利を5.0%にしています。次の金融政策会合は 10月22日 です。
翌16日、ペソは一時63.23ペソまで下げたあと、62.985ペソで取引を終えました。FRBの議長の発言が想定ほど強気でなかったことで、米国の追加利上げの見方がやや後退したためです。Ricafort氏は翌週の値幅を62.70〜63.20ペソとみています。
ペソは9月にも62.86ペソで最安値を更新しており、1か月で63ペソ台まで下げたことになります。
ペソの対ドル相場そのものが論点のため、円換算はしていません。
SOURCES / 出典
- BusinessWorldメディアPhilippine peso sinks past P63 per dollar for first timebworldonline.com
- GMA NewsメディアPhilippine peso breaches P63:$1, hits 27th record low for yeargmanetwork.com
参考(本文の補足)
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