送電線は電気を作れない、ビサヤの停電は発電が足りていない
KEY POINTS
- ニュースの要点
- 送電会社NGCPの広報担当Cynthia Alabanza氏が、ビサヤ地方の電力逼迫について「送電は供給を作れない」と述べました。今年に入ってからビサヤではレッドアラートが41回、イエローアラートが105回出ています。
- この動きの意味
- ビサヤはルソンとミンダナオからの送電に頼っています。送電網をつないでも、送る側に余力がなければ電気は来ません。必要なのは、点検や故障や再エネの変動を吸収できるだけの発電容量そのものだという主張です。
- 今後の注目点
- エネルギー省が示した2028年135メガワット、2029年270メガワット、2030年150メガワットの新設が予定どおり進むか。ミンドロ・パナイ連系線の進捗。
ビサヤ地方で、停電の警報が続いています。9月は、6日を除くすべての日にレッドアラートが出ました。
送電会社 NGCP の広報担当 Cynthia Alabanza 氏が、この状況について明言しました。
「送電は供給を作れない」
数字を並べる
| 今年のレッドアラート(ビサヤ) | 41回 |
| 今年のイエローアラート(ビサヤ) | 105回 |
| 9月16日に使えなかった容量 | 約 800メガワット |
| その日のレッドアラート | 午後5〜6時 |
9月15日の数字は、さらに厳しいものでした。NGCPはこの日、午後3〜5時と午後7〜8時に黄色警報、午後5〜7時に赤色警報を出しています。
止まっていた発電所は、名前と期間まで公表されています。
| 発電所 | 出力 | 停止の状況 |
|---|---|---|
| Therma Visayas 1号機 | 150メガワット | 5月3日から125日 |
| Therma Visayas 2号機 | 150メガワット | 9月9日から6日(復帰時期は未定) |
| Panay Energy Development 3号機 | 150メガワット | 8月29日から16日(復帰は10月下旬へ後ろ倒し) |
| Cebu Energy Development 1号機 | 82メガワット | 7月24日〜9月3日の42日 |
使えなかった容量は合計 532メガワットです。
1基が125日止まっている。これは一時的な故障ではなく、設備が戻ってこないという状態です。
今年に入ってから9月14日までに、ビサヤでは134日が黄色または赤色の警報の日でした。内訳は黄色94日、赤色40日です。
気候・持続可能都市研究所(ICSC)は、蓄電池が「短期と長期の双方で中核となる解決策だ」と主張しています。エネルギー省の試算では、200メガワットの蓄電池で警報の日数をおよそ半分に減らせるとされます。同研究所のエネルギー転換顧問 Alberto Dalusung III 氏は、こうした設備が短期間で導入できる点を強調しました。
なぜ送電では解決しないのか
ビサヤは島の集まりで、ルソンとミンダナオからの送電に頼っています。
ここが要点です。送電網をつないでも、送る側に余力がなければ電気は来ません。ルソンかミンダナオのどちらかが輸出できない状況になれば、ビサヤは無防備になります。
Alabanza氏は、必要なのは 十分に頼れる発電容量と、その余裕だとしています。予定された点検、突発的な故障、再生可能エネルギーの出力変動 —— これらを吸収できるだけの厚みが要るという主張です。
同氏は「産業全体で取り組む」必要があるとし、発電・送電・配電の各部門が、一貫した政府の政策のもとで計画を揃えるべきだとしました。
何が積み増されるのか
エネルギー省のSharon S. Garin長官が示した対策は、次のとおりです。
| 時期 | 追加されるベースロード容量 |
|---|---|
| 2028年 | 135メガワット |
| 2029年 | 270メガワット |
| 2030年 | 150メガワット |
いちばん早いもので2028年です。足元の不足に対しては間に合いません。
あわせて、ミンドロ・パナイ連系事業がルソンとビサヤの系統をつなぐ環を作るとされています。ただしこれも送電の事業であり、Alabanza氏の指摘がそのまま当てはまります。
日系企業にとっての読みどころ
ビサヤ、とくにセブに製造や業務の拠点を持つ企業にとって、これは操業の前提に関わります。
今年41回のレッドアラートという頻度は、自家発電設備や無停電電源を前提に置く必要がある水準です。加えて8月には卸電力の価格が急騰し、規制当局が価格上限の当て方を地域別に変えたばかりです。
価格と供給の両方が不安定という状態が、少なくとも2028年まで構造的に続くことになります。拠点の新設を検討する場合、この点は立地の判断材料に入ります。
SOURCES / 出典
- PhilSTARメディア'Transmission alone won't fix Visayas power crunch'philstar.com
- Daily TribuneメディアVisayas grid under yellow and red alerts; battery storage proposed to ease crisistribune.net.ph
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