フィリピン人の信用意識指数が過去最高の75に、家計見通しは調査史上最低
KEY POINTS
- ニュースの要点
- TransUnionの調査で、フィリピン人の信用意識指数が100点満点中75と2023年の調査開始以来の最高値になった。BNPLの保有率は8ポイント増の26%、クレジットカードは7ポイント増の38%。
- この動きの意味
- 指数の上昇は「借りやすくなった」ではなく「使い分けが進んだ」ことを示す。借入理由の首位は緊急費用で、家計改善の見通しは調査史上最低。与信需要は前向きな消費ではなく生活防衛から来ている。
- 今後の注目点
- BNPLの26%が次回の調査でさらに伸びるか。家計債務の伸びが所得を上回る状態が続いた場合に、中央銀行が与信規制に動くかどうか。
米調査会社TransUnionがフィリピンの消費者1,000人を対象に実施した調査で、同国の信用意識指数(Credit Perception Index)が100点満点中75となり、2023年の調査開始以来の最高値を記録した。調査期間は5月6日から26日。前年の73からの上昇だが、TransUnionは誤差の範囲内としている。
指数を押し上げたのは3つの要素だった。与信商品全般への好感度が4ポイント、商品への信頼が3ポイント、消費者自身が申告する商品知識が3ポイント、それぞれ上昇している。
e-walletは80%、BNPLは26%へ
保有率で最も高かったのはe-walletで80%。伸び幅が最も大きかったのはBNPL(後払い決済)で、8ポイント増の26%となった。クレジットカードも7ポイント増の38%に上がっている。
借入の理由は、緊急の出費が59%で最多だった。次いで個人的な支出が50%、家族のための支出が45%と続く。TransUnion Philippinesのピーター・フォールハーバー社長兼CEOは記者会見で、緊急費用が首位に来ていることを「実はよい兆候だ」と述べ、「必ずしも重要でないものを買うためや、単に大きな請求を積み上げるためではなく、目的を絞って戦略的に使っている。信用に対する見方が成熟してきたと見ている」と説明した。
デジタル銀行への借入意向がいちばん伸びた
TransUnionの発表でもう一つ目立つのが、借りる相手の変化である。今後どこから借りたいかを聞くと、デジタル銀行が11ポイント増 で最も伸びた。伝統的な銀行が8ポイント増、クレジットカードが6ポイント増と続く。
反対に減ったのは家族や友人からの借入で、11ポイント減の45%。2023年の調査開始以来もっとも低い。インフォーマルな借り方から、金融機関を通じた借り方へ移っている。
デジタル銀行に対する見方そのものも変わった。
| デジタル銀行への評価 | 2026年 | 前年差 | 伝統的な銀行 |
|---|---|---|---|
| 知っている | 80% | +15pt | 78% |
| 好感を持てる | 79% | +14pt | 76% |
| 安全だと思う | 84% | +11pt | 88% |
知名度と好感度では デジタル銀行が伝統的な銀行を上回った。安全性ではまだ下回る。実際に使ったことがある人は52%で、半数を超えている。
指数の上昇と、過去最低の家計見通し
同じ調査で、今後3か月に家計が改善すると答えた人は64%にとどまり、調査史上で最も低い水準となった。TransUnionはこの弱さの背景に、中央銀行の目標である3%を上回るインフレと、中東情勢に絡む原油価格の上昇を挙げている。
備えの動きも出ている。緊急資金をもっと貯めたいと答えた人は86%で前年の84%から上昇し、家計改善のための教育コンテンツを求める人も5ポイント増の73%になった。
信用意識の指数が上がる一方で、家計の先行き見通しは過去最低という組み合わせは、与信市場の拡大が消費の活発化を意味しないことを示している。フィリピンでは家計債務の伸びが所得の伸びを上回る状態が続いており、規制当局は消費者が経済的な打撃に耐えられるかを注視している。デジタル金融サービスを提供する側にとっては、利用者が増えても返済余力が細っている局面での与信設計が問われることになる。
SOURCES / 出典
- TransUnion Philippines企業公式一次情報TransUnion's 2026 Credit Perception Index Reports a Record-High Score and Growing Momentum for Digital Banksnewsroom.transunion.ph
- Philippine Daily InquirerメディアFilipinos' perception of credit maturing — TransUnionbusiness.inquirer.net
- BusinessWorldメディアImproved knowledge boosts Filipinos' view of creditbworldonline.com
同じカテゴリーのNews
RELATEDこの動きを読み解くInsights
INSIGHTSマニラで見つけた課題を4か国に広げたKitaが、シードで約7億円を集めた理由
新興国の貸し手向けに与信審査を自動化するKitaが、シードで450万ドル(約7億円)を調達しました。創業者はマニラ出身で、フィリピンの貸し手と働くなかで課題を見つけています。ただし会社はサンフランシスコにあり、稼働しているのはフィリピン・インドネシア・メキシコ・米国の4市場。公開されている顧客6社のうち、フィリピンの貸し手は1社です。この設計の違いが、値段の付き方を変えています。
三井住友は、なぜフィリピンの同じ財閥に5年で4回も出資したのか
日本の三井住友グループが、フィリピンで5年に4回、同じ企業グループの会社に出資しています。銀行に3回、そのリース会社、そして風力発電会社。フィリピンでは外国企業が銀行を100%買えるのに、三井住友は4分の1弱で止めています。買い取るつもりがないなら、何を狙っているのか。会社そのものより、その財閥が持つ顧客基盤でした。
600社が使ったSalariumは2023年にサービスを無期限停止、倒産も解散もしていない
フィリピンで勤怠から給与の振り込みまでを1つで担っていたSalariumは、2019年時点で約600社が使い、2021年までに2万社へ広げると語っていた会社でした。2023年8月に利用企業が資金を引き出せなくなり、12月31日にサービスを無期限で停止します。ただし倒産も解散もしていません。法人はいまも登記に残ったままです。何が起きたのかをたどります。



