製造業の景況指数が9月に49.6へ急落、5か月ぶりの悪化
KEY POINTS
- ニュースの要点
- S&Pグローバルのフィリピン製造業購買担当者景気指数(PMI)が、9月に49.6へ下がりました。8月の54.9から5.3ポイントの低下で、50を下回るのは4月の48.3以来5か月ぶりです。50を下回ると、前月に比べて事業環境が悪化していることを示します。
- この動きの意味
- 原油高、国際競争の激しさ、需要の弱さが重なりました。生産は9か月ぶりに減少し、下げ幅は2025年11月以来の大きさです。新規受注と輸出向け受注も減り、企業は投入品の購入を減らして在庫を取り崩しています。
- 今後の注目点
- 10月以降も50割れが続くか。原油価格とペソ相場の動き。輸出向け受注の減少が貿易統計にいつ表れるか。在庫の取り崩しが次の生産にどう効くか。
9月の製造業の景況が、ひと月で反転しました。
| 月 | PMI |
|---|---|
| 2026年4月 | 48.3 |
| 2026年8月 | 54.9 |
| 2026年9月 | 49.6 |
| 2025年9月 | 49.9 |
S&PグローバルのPMIは、50を上回れば前月より事業環境が改善、下回れば悪化を示します。9月の49.6は、4月の48.3以来 5か月ぶりの50割れです。
8月は54.9と2016年12月以来の高さでした。そこから1か月で5.3ポイント下げたことになります。
何が起きたか
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスの主任エコノミストSiân Jones氏は、こう説明しています。
「フィリピンの製造業者は、9月に高い原油価格、激しい国際競争、弱い需要から顕著な影響を受けたと報告した。生産、新規受注、雇用がいずれも縮小圏に落ちた」
「企業はまた、投入品の購入が新たに減少し在庫を取り崩すという形で、守りに入る動きを示した」
内訳を見ると、崩れ方が分かります。
- 生産:9か月ぶりの減少。下げ幅は2025年11月以来の大きさ
- 新規受注:わずかな減少だが、4か月続いた拡大からの反転
- 輸出向け受注:減少。価格の上昇が、激しい競争のなかで顧客の購入をためらわせた
- 受注残:4月以来の大きな減少
企業が挙げた理由は、新規受注の流入が減ったことと国際競争です。
原油とペソの両方が効いている
GMAの報道によれば、9月は燃料小売が5週のうち3週で大幅な値上げを実施しました。加えて、ペソがドルに対して下落したことが操業費を押し上げています。ペソは1ドル62ペソ台で推移し、9月14日には62.86ペソの最安値をつけました。
原材料を輸入し、製品を輸出するという構造では、ペソ安は両側に効きます。輸出額は増えますが、投入費も増えるためです。Jones氏は、国際競争のなかで価格決定力をどこまで保てるかに懸念を示しました。
貿易統計との食い違いをどう見るか
ここで注意が要ります。同じ日に出た8月の貿易統計では、輸出が27.8%増えて統計開始以来の最高を記録しました。
矛盾するように見えますが、見ている対象が違います。貿易統計は8月の実績で、PMIは9月の企業の体感です。そして貿易の伸びは半導体という一品目に集中しており、PMIが拾う製造業全体の景況とは別物です。
AI向けの電子部品だけが伸び、それ以外は縮んでいる。この2つの数字を並べると、そう読めます。
企業の景況感は7月の調査ですでに0から-20.3へ急落していました。PMIの9月の反転は、その感覚が実際の受注と生産に表れ始めたということかもしれません。
本記事は指数と比率のみを扱うため為替換算を行っていない。
SOURCES / 出典
- BusinessWorldメディアPhilippines' manufacturing PMI contracts in Septemberbworldonline.com
- GMA NewsメディアPH factory activity contracts for first time in 5 monthsgmanetwork.com
同じカテゴリーのNews
RELATEDこの動きを読み解くInsights
INSIGHTSフィリピンの電気代が東南アジアで一番高い、直撃するのは半導体と精密電子の工場
フィリピンの平均電力価格が2026年6月に1キロワット時12.43ペソとなり、シンガポールを抜いて東南アジアで最も高くなりました。この高さが最も重くのしかかる日系企業は、半導体と精密電子の製造業です。単価が原価に乗るうえ、停電が頻発する地域では自家発電を持たされ、製造コストがさらに上がります。しかも影響は、進出をやめた素材・部品産業という形でも現れています。
フィリピンの物価は日本の3分の1?牛乳もクルマも日本より高い【2026年9月】
PHILIPPINES STARTUP編集部の私は、マニラに住んでいたことがあります。週2回外食して、プール付きのマンションに住んだら、生活費は東京とほとんど変わりませんでした。むしろ高い月もありました。100品目を東京と比べたら、「日本の3分の1」に当てはまったのは19品目だけ。牛乳もガソリンもクルマも日本より高い。日本人が住むBGCとマカティの家賃、必要な月額、そして物価上昇がいま企業に何を起こしているかまで書きました。
フィリピンの法人税ゼロは、もう大手日本企業の得になっていない
フィリピンの経済特区に入ると数年間は法人税がゼロになります。ところが日本は2024年4月から、税負担の軽い海外子会社の分を親会社に課税し始めました。フィリピンには自国で先に取る制度がないため、免除された分は日本に納めることになります。下院の調査によれば、売上上位1%の法人の実効税率の中央値は5〜6%しかありません。



