8月の製造業生産が11.8%増、電子機器が32.1%伸びて押し上げ
KEY POINTS
- ニュースの要点
- 統計庁(PSA)によると、8月の製造業の生産量指数(VoPI)は前年同月比11.8%増えました。7月の改定値6.7%増、前年8月の1.3%増から加速し、4年超ぶりの高い伸びです。季節調整後では前月比2.9%増で、7月の2.3%減から転じています。
- この動きの意味
- 押し上げたのはコンピューター・電子・光学機器(32.1%増)、基礎金属(29%増)、輸送機器(11.4%増)です。22の業種区分のうち18で前年を上回りました。平均稼働率は78.7%で、7月の78.8%をわずかに下回りますが前年の77.6%は上回っています。
- 今後の注目点
- 9月以降に鈍化するか。電子機器に偏った伸びがどこまで続くか。稼働率が8割に届くか。半導体の世界需要が反転した場合の影響。
8月の製造業の生産が、4年超ぶりの速さで伸びました。
| 時点 | 生産量指数(VoPI)の前年同月比 |
|---|---|
| 2026年8月 | +11.8% |
| 2026年7月(改定値) | +6.7% |
| 2025年8月 | +1.3% |
季節調整後では前月比2.9%増で、7月の2.3%減から転じました。1〜8月の累計では7.1%増です。
PSAによれば、11.8%は2022年3月以来、4年超ぶりの高い伸びです。
伸びているのは3業種
| 業種 | 8月 | 7月 |
|---|---|---|
| コンピューター・電子・光学機器 | +32.1% | +9.2% |
| 基礎金属 | +29% | +17.4% |
| 輸送機器 | +11.4% | +2.1% |
残る19の業種区分のうち15で前年を上回り、4つで下回りました。全体への寄与が大きかったのは、コンピューター・電子・光学機器、コークス・石油精製品、基礎金属です。
PhilSTARによれば、増えた業種には食品、飲料、電気機器、家具、衣料が含まれます。減ったのは金属製品、その他の非金属鉱物製品、化学・化学製品、機械・装置でした。
稼働率は78.7%
平均稼働率は8月に78.7%。7月の78.8%をわずかに下回りましたが、前年の77.6%は上回っています。
PSAは「当月、すべての業種区分で稼働率が65%を超えた」としています。高いのはたばこ製品(85%)、コークス・石油精製品(83.9%)、コンピューター・電子・光学機器(83.3%)です。
事業所単位で見ると、36%が90〜100%の稼働、約40%が70〜89%、24%が70%未満でした。
「数字をそのまま延ばさない方がいい」
専門家の評価には留保が付いています。
アテネオ経済研究開発センターの上級研究員Ser Percival K. Peña-Reyes氏は、こう述べました。
「おそらく重要な点は、8月が工業生産にとって特に強い月であり、それを大きく引っ張ったのが電子機器だったということだ。輸出志向の製造業の基盤にとっては心強い。ただし加速が少数の業種に集中していることを考えると、11.8%という率をそのまま先に延ばすことには慎重であるべきだ」
同氏はさらに、今後数か月で製造業の伸びが大きく鈍化すると見ています。根拠は景況指数です。
| 月 | S&PグローバルのPMI |
|---|---|
| 2026年7月 | 51.8 |
| 2026年8月 | 54.9(10年近くで最高) |
| 2026年9月 | 49.6 |
8月の54.9は製造業の改善が4か月続いたことを示していましたが、9月は49.6へ落ちて50を割りました。
1か月のずれをどう読むか
今回の数字は8月の実績、PMIの49.6は9月の企業の体感です。
8月の貿易統計でも、輸出が27.8%増えて1991年以来の最高を記録し、半導体が73.5%伸びていました。8月は実際に強かった、というのが3つの統計に共通する結論です。
問題はその後です。9月の物価上昇率は7.2%、原油高とペソ安が操業費を押し上げています。電子機器という一本の柱に支えられた11.8%が、どこまで持つか。東芝がHDD生産を3年かけて広げるようなAI向けの需要が続くかどうかが、その答えを左右します。
本記事は指数と比率を扱い、金額の記載がないため為替換算を行っていない。
SOURCES / 出典
- BusinessWorldメディアPhilippine factory output growth fastest in over 4 yearsbworldonline.com
- PhilSTARメディアFactory output growth accelerates in Augustphilstar.com
同じカテゴリーのNews
RELATEDこの動きを読み解くInsights
INSIGHTSフィリピンの電気代が東南アジアで一番高い、直撃するのは半導体と精密電子の工場
フィリピンの平均電力価格が2026年6月に1キロワット時12.43ペソとなり、シンガポールを抜いて東南アジアで最も高くなりました。この高さが最も重くのしかかる日系企業は、半導体と精密電子の製造業です。単価が原価に乗るうえ、停電が頻発する地域では自家発電を持たされ、製造コストがさらに上がります。しかも影響は、進出をやめた素材・部品産業という形でも現れています。
フィリピンの物価は日本の3分の1?牛乳もクルマも日本より高い【2026年9月】
PHILIPPINES STARTUP編集部の私は、マニラに住んでいたことがあります。週2回外食して、プール付きのマンションに住んだら、生活費は東京とほとんど変わりませんでした。むしろ高い月もありました。100品目を東京と比べたら、「日本の3分の1」に当てはまったのは19品目だけ。牛乳もガソリンもクルマも日本より高い。日本人が住むBGCとマカティの家賃、必要な月額、そして物価上昇がいま企業に何を起こしているかまで書きました。
フィリピンの法人税ゼロは、もう大手日本企業の得になっていない
フィリピンの経済特区に入ると数年間は法人税がゼロになります。ところが日本は2024年4月から、税負担の軽い海外子会社の分を親会社に課税し始めました。フィリピンには自国で先に取る制度がないため、免除された分は日本に納めることになります。下院の調査によれば、売上上位1%の法人の実効税率の中央値は5〜6%しかありません。



