中央銀行が予想外の0.5ポイント利上げ、政策金利は5.5%に
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピン中央銀行は10月22日、政策金利(翌日物リバースレポ金利)を0.5ポイント上げて5.5%にしました。4会合連続の利上げで、4月からの上げ幅は合計1.25ポイントです。
- この動きの意味
- アナリスト22人中20人は0.25ポイントを予想しており、市場の想定を超える引き締めでした。総裁は「後手に回っていなければ0.5ポイントにはしない」と述べ、中東情勢による燃料高とエルニーニョによる食料高への警戒を前に出しました。
- 今後の注目点
- 12月17日の今年最後の会合で追加の利上げがあるか。エルニーニョでコメの生産がどこまで落ちるか。1ドル63.52ペソまで下げたペソが、利上げのあとで下げ止まるか。
フィリピン中央銀行(BSP)は10月22日、政策金利である翌日物リバースレポ金利を 0.5ポイント 引き上げ、5.5% にしました。翌日物の預金金利は5%、貸出金利は6%へ、それぞれ同じ幅で上がっています。
0.5ポイント幅の利上げは2023年2月以来、約3年8か月ぶりです。5.5%は2025年2月の5.75%以来の高さになります。BSPは2026年4月に引き締めに転じ、これで 4会合連続 の利上げ、4月からの上げ幅は合計1.25ポイントになりました。前回8月の会合では0.25ポイント上げて5%にしていました。
市場の予想を超えた理由
BusinessWorldが事前に聞いたアナリスト22人のうち、0.5ポイントを予想していたのは2人だけで、残る20人は0.25ポイントとみていました。
Eli Remolona総裁は記者会見で、決定は理事会の「強い多数」によるものだったと説明しました。BusinessWorldによると、総裁は「後手に回っていると考えていなければ0.5ポイントにはしない。幸い、今のところは0.5ポイントで足りる」と述べています。定例会合を待たない臨時の利上げも話し合ったものの、経済がそこまで深刻だという合図を市場に送るのを避けて見送ったといいます。
背景にあるのは物価です。9月の物価上昇率は7.2%まで上がり、目標の3%を上回るのは7か月連続になりました。値動きの大きい食料と燃料を除いた基調的な物価も4.7%と、約3年ぶりの高さです。
| 物価見通し | 8月時点 | 今回 |
|---|---|---|
| 2026年 | 6.1% | 6.1%(据え置き) |
| 2027年 | 5.4% | 6.0% |
| 2028年 | 3.3% | 3.3%(据え置き) |
BSPは押し上げ要因として、中東情勢の再燃による原油高、最近の交通運賃の値上げ、エルニーニョ(太平洋の海水温の異常で、フィリピンでは雨が減り干ばつになりやすい)による農業への打撃を挙げています。気象庁にあたるPAGASAは、強い〜非常に強いエルニーニョがすでに発生しており、2027年1〜3月まで続くとみています。GMA Newsによると、総裁は2027年の物価上昇率が最高で8%、所得の低い3割の世帯では9%に達しうると述べました。
ペソは4日続けて最安値
利上げの当日、ペソは1ドル 63.52ペソ まで下げ、4営業日続けて終値の最安値を更新しました。10月中旬に初めて63ペソを超えてから、下げが止まっていません。
総裁はペソ安が物価を押し上げることを懸念しつつも、利上げはペソを支えるためではないと説明しています。為替市場への介入は、物価に響く急な変動をならす範囲にとどめるとしています。
株式市場では、主要指数のPSEiが0.72%下げて5,779.73で引け、5日続いた上昇が止まりました。PhilSTARによると、市場関係者は利上げによる借入コストの上昇と、ペソ安を下げの理由に挙げています。
12月に追加利上げはあるか
総裁は「さらなる利上げに対して開かれている。0.5ポイントか0.25ポイントか、それ以上かは言えない」としつつ、2022年のような大幅な利上げを重ねる事態は避けたいとも述べました。景気は政府の支出に支えられて2027年1〜3月に持ち直すとみており、それが引き締めの余地になっているという説明です。
今年最後の会合は12月17日です。民間のエコノミストの見方は分かれています。
- BPIのEmilio Neri氏(0.5ポイントを的中させた1人):12月に少なくとも0.25ポイント。エルニーニョの影響次第で2027年前半まで続く可能性
- BMIのBrandon Ong氏:12月に0.25ポイント上げて5.75%。早ければ2月の追加もありうる
- Capital EconomicsのJason Tuvey氏:エネルギー価格が来年初めから落ち着けば、追加の引き締めは起きにくい
- Pantheon MacroeconomicsのMiguel Chanco氏:12月の追加は決まりではなく、2027年半ばには利下げに転じるとみる
BMIは2027年の成長率見通しを4.9%から4.5%へ下げました。物価高が家計の支出を抑え、引き締めが景気の重荷になるという見立てです。
SOURCES / 出典
- ビジネスワールド(BusinessWorld)メディアBSP surprises with jumbo rate hike, signals further tighteningbworldonline.com
- GMAニュース(GMA News)メディアBSP hikes rates by 50 basis points amid expected inflation, El Niño effectsgmanetwork.com
参考(本文の補足)
- フィリピン・スター(PhilSTAR)BSP rate hike, peso fall snap 5-day stock rally
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