銀行の不良債権比率が3.35%へ、悪化しているのは個人向けだけ
KEY POINTS
- ニュースの要点
- 銀行の不良債権比率が7月に3.35%となり、6月の3.29%から上がりました。前年同月比では9%の増加です。金額は5,850億ペソ、貸出全体は17兆4,000億ペソにあたります。
- この動きの意味
- 悪化しているのは個人向けに偏っています。個人向けは5.49%、クレジットカードは5.34%、自動車ローンは5.51%へ上がる一方、企業向けは3.27%と6か月ぶりの低さまで下がりました。物価高と生活費の重さが家計の返済力を削っている構図です。
- 今後の注目点
- 7月に6%へ上がった失業率が8月以降の返済にどう出るか。個人向けの比率が6%台に近づくか。引当のカバー率92.45%が下がり続けるか。政策金利5%が据え置かれるか。
フィリピンの銀行の不良債権比率が、7月に 3.35% になりました。6月の3.29%から上がり、前年同月比では9%の増加です。
金額でいうと不良債権は 5,850億ペソ(約1兆4,600億円)。貸出全体は17兆4,000億ペソ(約43兆3,000億円)です。
悪くなっているのは、家計のほうだけ
比率の中身を分けると、方向がはっきり分かれます。
| 区分 | 7月 | 6月 |
|---|---|---|
| 個人向け | 5.49% | 5.44% |
| クレジットカード | 5.34% | 5.28% |
| 自動車ローン | 5.51% | 5.49% |
| 企業向け | 3.27% | 上昇せず、6か月ぶりの低さ |
企業向けは改善し、個人向けだけが悪化しています。
この形は、他の統計とも整合します。7月の銀行貸出は10.4%増と加速し、伸びを牽引したのは企業向けでした。同じ月に個人向けはクレジットカードと自動車ローンの伸びが鈍っています。企業は借りて返せている一方、家計は借りるのも返すのも苦しくなっているという読み方になります。
Reyes Tacandong & Co.のシニアアドバイザーJonathan Ravelas氏は「経済は成長を続けているが、すべての業種と借り手が同じ速さで回復しているわけではない」と述べ、それが返済力に影響しているとしました。
家計に効いているもの
背景として挙げられているのは、高止まりする物価と生活費です。
8月のインフレ率は6.1%で、中央銀行の目標2〜4%を上回ったままです。コメは19.4%高、ディーゼル燃料は55.7%高でした。9月8日からは燃料がさらに1リットル最大5ペソ上がっています。
そして7月の失業率は6%と4年ぶりの高さになりました。この数字が返済に出てくるのは、これからです。7月時点の不良債権はまだ雇用の悪化を織り込んでいません。
銀行側の備え
貸倒れに備えた引当金は 5,410億ペソ(約1兆3,500億円)で、不良債権に対するカバー率は92.45%です。6月の92.52%からわずかに下がりました。
比率としては依然として高く、いまの水準で銀行の健全性が揺らぐ段階ではありません。ただし平均だけを見ていると、差が見えなくなります。
S&Pグローバル・レーティングは、不良債権が2025年の水準から倍増する想定で試算しました。結果はこうです。
| 中核的自己資本比率の低下幅 | |
|---|---|
| 上位5行 | 40〜45ベーシスポイント |
| 中堅5行 | 130〜140ベーシスポイント |
中堅行のほうが3倍前後大きく削られます。理由は、担保のない融資に対する引当の重さです。同社によれば、消費者向け融資は貸出全体の23%を占め、今後2年は年9〜10%の伸びが見込まれます。伸ばしているのは利回りが高い代わりにリスクも高い無担保の商品です。
同社の銀行担当アナリストNikita Anand氏は「審査の規律が信用の結果を左右する主な要因になる」としています。
中央銀行は8月に政策金利を5%へ引き上げました。物価を抑えるための金利が、同時に家計の返済負担も重くするという局面が続いています。
換算は1ペソ=2.49円(2026年9月4日時点)で計算した目安である。
SOURCES / 出典
- Philippine Daily InquirerメディアBad loans up amid continuing consumer strainbusiness.inquirer.net
- PhilSTARメディアBanks' bad loan ratio rises to 3.35% in Julyphilstar.com
- Philippine Daily InquirerメディアPH midsize banks more vulnerable to bad-debt shock, S&P saysbusiness.inquirer.net
参考(本文の補足)
- Bangko Sentral ng PilipinasBangko Sentral ng Pilipinas
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