新規進出を検討するEU企業は8%どまり、東南アジアで最下位
KEY POINTS
- ニュースの要点
- EU・ASEANビジネス協議会の調査で、フィリピンに拠点を持たない欧州企業のうち新規進出を検討しているのは8%でした。ベトナム34%、インドネシア32%、マレーシアとタイ各20%に離され、対象市場で最下位です。調査は欧州企業の幹部148人から4月16日〜7月3日に回答を得たものです。
- この動きの意味
- 一方で、すでにフィリピンで事業を行う企業の43%は今後5年で拡大するとしています。入っている企業は残るが、新しい企業は来ないという構図です。域内で2番目に大きな課題として挙がったのが規制の予見しにくさでした。
- 今後の注目点
- 11月を目標とするEU・フィリピン自由貿易協定の交渉が妥結するか。妥結すれば新規進出の意向が動くか。撤退を考える7%が実行に移すか。次回調査で8%が上がるか。
EU・ASEANビジネス協議会(EU-ABC)が欧州企業に聞いた調査で、フィリピンの位置がはっきり出ました。
まだフィリピンに拠点を持たない企業のうち、新規に進出を考えているのは 8% です。調査した東南アジアの市場のなかで最下位でした。
| 国 | 新規進出を検討する企業の割合 |
|---|---|
| ベトナム | 34% |
| インドネシア | 32% |
| マレーシア | 20% |
| タイ | 20% |
| フィリピン | 8% |
調査は欧州企業の幹部 148人から、4月16日から7月3日にかけて回答を得たものです。
入っている企業は残る。新しい企業が来ない
もうひとつの数字を並べると、構図が見えます。
回答企業の 66%はすでにフィリピンで事業を行っており、そのうち 43%が今後5年で拡大するとしています。41%は投資を変えず、9%は縮小、7%は撤退を考えています。
拡大意向の43%は、東南アジアの11市場のなかで6番目です。最下位ではありません。
つまりこうです。すでに入っている企業は、おおむね残るし広げもする。ところが外から新しく入ってくる企業がほとんどいない。この2つは別の話で、分けて読む必要があります。
これは1〜5月の海外直接投資が33.4%減り、5月単月が11年ぶりの低さだったことと整合します。既存事業の再投資では、新規流入の減少は埋まりません。
障害として挙がったもの
域内全体では、78%の企業が少なくとも1つの市場で事業を広げるとしています。拡大の理由は成長機会と景気回復が66%で最多でした。
課題の側で、2番目に大きいものとして挙がったのが規制の予見しにくさです(最大は非関税障壁)。
これは日本企業の見方とも重なります。ジェトロの調査で、フィリピンに進出した日系企業が経営上の問題に挙げた上位は、税務手続きの煩雑さ62.5%、政策の不透明さ50.0%、許認可の煩雑さ48.8%でした。欧州企業も日本企業も、同じところを見ています。
11月に、2つの通商交渉が重なる
もうひとつ注目すべき数字があります。EU・フィリピン自由貿易協定についてです。
2027年までに妥結すると確信している企業は 30% にとどまりました。調査した3か国のなかで最も低く、悲観的な見方も29%と最も高い水準です。フィリピン政府は 11月の妥結を目標にしています。
そして同じ11月には、日本との経済連携協定(JPEPA)の改定も署名が目指されています。バナナの関税撤廃と引き換えに、小排気量の日本車の関税を下げる案が出ているものです。
2つの通商交渉が同じ月に重なります。どちらも成れば、フィリピンが提示できる条件は変わります。ただし欧州企業の側は、まだそれを織り込んでいません。8%という数字は、交渉が動く前の景色だということになります。
SOURCES / 出典
- Philippine Daily InquirerメディアSurvey: Few EU firms eye foraying into PHbusiness.inquirer.net
- PhilSTARメディアPhilippines lags as investment destination among expanding EU firmsphilstar.com
参考(本文の補足)
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