7月の失業率が6%と4年ぶりの高さ、働く人が130万人減った
KEY POINTS
- ニュースの要点
- 7月の失業率が6%となり、2022年6月の6.03%以来の高さになりました。失業者は314万人で6月の259万人から増えています。就業者は5,055万人から4,921万人へ減りました。
- この動きの意味
- 労働力参加率が65.1%から63.6%へ下がっており、職探しそのものをやめた人が相当数いることを示します。失業率の分母が縮んでいるため、6%という数字は実態を控えめに映している可能性があります。不完全就業率も12.1%から12.9%へ上がりました。
- 今後の注目点
- 8月の数字で参加率が戻るか。就業者数が5,000万人台を回復するか。不完全就業率が下がるか。中央銀行が雇用の弱さを政策判断にどう織り込むか。
フィリピンの7月の失業率が 6% になりました。2022年6月の6.03%以来、4年ぶりの高さです。6月は4.9%でしたから、1か月で1.1ポイント上がったことになります。
| 6月 | 7月 | |
|---|---|---|
| 失業率 | 4.9% | 6.0% |
| 失業者 | 259万人 | 314万人 |
| 就業者 | 5,055万人 | 4,921万人 |
| 労働力人口 | 5,325万人 | 5,236万人 |
| 労働力参加率 | 65.1% | 63.6% |
| 不完全就業率 | 12.1% | 12.9% |
失業者は55万人増えたが、就業者は134万人減った
この2つの数字が合いません。ここが読みどころです。
失業者の増加は55万人。ところが就業者は 134万人減っています。差の約79万人はどこへ行ったのか。労働力人口そのものが89万人減っていることが答えになります。
統計上の「失業者」は、働いていなくて、かつ職を探している人を指します。職探しをやめた人は、失業者ではなく労働力人口の外に出ます。参加率が65.1%から63.6%へ下がったのは、その動きを示しています。
つまり6%という失業率は、分母が縮んだうえでの6%です。職探しをやめた人まで含めれば、雇用の弱さはこの数字より大きい可能性があります。
職に就いていても、足りない人が増えた
もうひとつの指標も悪化しています。不完全就業率です。
これは、働いてはいるものの、もっと働きたい・もっと収入が要ると答えた人の比率です。7月は12.9%で、6月の12.1%から上がりました。人数では611万人から633万人へ増えています。
失業が増え、職探しをやめる人が増え、働いていても足りない人が増えている。3つが同じ方向を向いています。
他の数字とつなげて読む
この雇用の弱さは、単独で出てきたものではありません。
アジア開発銀行は2026年の成長率3.8%について「下期の公共事業の執行と個人消費の回復しだい」とし、4〜6月期の個人消費が2.8%と前年同期の5.2%から鈍っていることを挙げました。働く人が減れば、消費も鈍ります。
一方で銀行の貸出は7月に10.4%増と加速しており、企業向けが伸びています。企業がお金を借りているのに雇用が増えていない、という状態です。
日本の企業から見ると、読み方は分かれます。採用する側には人が集めやすい局面ですが、現地で物を売る側には家計の弱さがそのまま効きます。同じ数字が、事業の立ち位置によって逆の意味を持ちます。
SOURCES / 出典
- Philippine Daily InquirerメディアJobless rate rises to 4-year high of 6% in Julybusiness.inquirer.net
- PhilSTARメディアJobless rate hits 4-year high in Julyphilstar.com
参考(本文の補足)
- Philippine Statistics Authorityフィリピン統計庁
同じカテゴリーのNews
RELATEDこの動きを読み解くInsights
INSIGHTSフィリピンの貧困率が9.7%に下がっても、家計の見通しが過去最悪な理由
フィリピンの貧困率が統計史上はじめて1桁の9.7%になりました。同じ8月に、家計の見通しは調査開始以来もっとも暗い水準に落ちています。矛盾ではありません。2つのデータは別の時期を見ています。その差を分けて読まないと、参入判断も売上計画も外れます。
フィリピンの電気代が東南アジアで一番高い、直撃するのは半導体と精密電子の工場
フィリピンの平均電力価格が2026年6月に1キロワット時12.43ペソとなり、シンガポールを抜いて東南アジアで最も高くなりました。この高さが最も重くのしかかる日系企業は、半導体と精密電子の製造業です。単価が原価に乗るうえ、停電が頻発する地域では自家発電を持たされ、製造コストがさらに上がります。しかも影響は、進出をやめた素材・部品産業という形でも現れています。
フィリピンの物価は日本の3分の1?牛乳もクルマも日本より高い【2026年9月】
PHILIPPINES STARTUP編集部の私は、マニラに住んでいたことがあります。週2回外食して、プール付きのマンションに住んだら、生活費は東京とほとんど変わりませんでした。むしろ高い月もありました。100品目を東京と比べたら、「日本の3分の1」に当てはまったのは19品目だけ。牛乳もガソリンもクルマも日本より高い。日本人が住むBGCとマカティの家賃、必要な月額、そして物価上昇がいま企業に何を起こしているかまで書きました。



