後払い決済のBillEaseが56年の地方銀行を自社名に改称
KEY POINTS
- ニュースの要点
- 後払い決済(BNPL)の BillEase が、2025年11月に過半を取得した地方銀行 Rural Bank of Sta. Maria(イロコス・スル州)を「Billease Bank」に改称しました。中央銀行(BSP)の認可は2026年5月13日、証券取引委員会の承認は9月1日です。
- この動きの意味
- 改称は、地方銀行をBillEaseのデジタルの仕組みに統合する布石です。与信、貯蓄、預金を1つの基盤で扱えるようにする狙いがあります。
- 今後の注目点
- 元BSP副総裁の Eduardo Bobier 氏を社外取締役に迎えます(BSPの承認待ち)。資本は6月に5億ペソを入れ、年内にさらに5億ペソを入れて10億ペソ超にする計画です。
後払い決済(BNPL)の BillEase が、傘下の地方銀行を自社名に改称しました。
手続きの経緯
- 2025年11月BillEaseが Rural Bank of Sta. Maria の過半を取得
イロコス・スル州、創業56年
- 2026年5月13日中央銀行が商号変更を認可
Lyn Javier 副総裁が通達に署名
- 2026年6月5億ペソを資本注入
年内にさらに5億ペソの予定
- 2026年9月1日証券取引委員会が定款変更を承認
- 2026年9月Billease Bank として改称を発表
元BSP副総裁を社外取締役に
銀行の区分は 地方銀行のままで、商号だけをBillEaseのものに揃えた形です。
資本
| 2026年6月の注入 | 5億ペソ(約12億4,500万円) |
| 年内の追加予定 | 5億ペソ |
| 達成後の資本金 | 10億ペソ超(約24億9,000万円) |
誰が入るのか
社外取締役に迎えるのは、元中央銀行副総裁の Eduardo Bobier 氏です(BSPの承認待ち)。
- 中央銀行、財務運営、企業統治で30年超の経験
- 直近はBSPの企業サービス部門の副総裁(統制、予算、管理を担当)
- それ以前は補佐総裁、会計監査担当の統括、財務部門の要職
規制側にいた人を、規制される側の統治に入れるという人事です。リスク管理と会計監査の経験が、取締役会の監督機能を支えるとされています。
何を狙っているのか
最高経営責任者で共同創業者の Georg Steiger 氏は、次のように述べています。
銀行をBillEaseの名前のもとに置くことは、銀行の取引が十分でないフィリピン人に責任ある金融サービスへの道を広げるという我々の使命にとって、自然な次の一歩だ
2025年11月の買収は、消費者金融とBNPLの先にあるデジタル中心の銀行業への進出でした。預金商品を含む、より広い銀行サービスの提供を見据えたものです。
BillEaseの規模
| 2025年の純利益 | 8億4,000万ペソ(約21億円) |
| 連結の売上高 | 93億ペソ超(約232億円、+80%超) |
| 消費者ローン残高 | 119億ペソ超(約296億円) |
| 月間の新規顧客 | 10万人超 |
| 累計の融資実行額 | 1,300億ペソ(約3,237億円) |
日系企業にとっての読みどころ
読みどころは、地方銀行の免許が使われ方を変えていることです。
フィリピンの地方銀行は、農村部の小口金融を担う制度として作られました。数は多く、規模は小さい。その免許を、デジタルの事業者が預金を扱うための入口として買っています。
中央銀行のデジタルバンク免許は発行枠が限られています。地方銀行を買えば、新規免許を待たずに預金を受け入れられる。免許の取得ではなく、免許の買収という経路です。
フィリピンで金融サービスを検討する企業にとって、これは現実的な選択肢の一つを示しています。BillEaseは2026年8月にフィリピン国立銀行から10億ペソの融資枠を確保しており、資金調達の面でも既存の銀行と組んでいます。
1ペソ=2.49円で換算しています(2026年9月4日時点)。
SOURCES / 出典
- Fintech News PhilippinesメディアBillease Rebrands Rural Bank of Sta. Maria as Billease Bankfintechnews.ph
- The Philippine StarメディアRural Bank of Santa Maria renamed Billease Bankphilstar.com
同じカテゴリーのNews
RELATEDこの動きを読み解くInsights
INSIGHTS三井住友は、なぜフィリピンの同じ財閥に5年で4回も出資したのか
日本の三井住友グループが、フィリピンで5年に4回、同じ企業グループの会社に出資しています。銀行に3回、そのリース会社、そして風力発電会社。フィリピンでは外国企業が銀行を100%買えるのに、三井住友は4分の1弱で止めています。買い取るつもりがないなら、何を狙っているのか。会社そのものより、その財閥が持つ顧客基盤でした。
600社が使ったSalariumは2023年にサービスを無期限停止、倒産も解散もしていない
フィリピンで勤怠から給与の振り込みまでを1つで担っていたSalariumは、2019年時点で約600社が使い、2021年までに2万社へ広げると語っていた会社でした。2023年8月に利用企業が資金を引き出せなくなり、12月31日にサービスを無期限で停止します。ただし倒産も解散もしていません。法人はいまも登記に残ったままです。何が起きたのかをたどります。
2025年のフィリピン最大の資金調達は5億円。それを超えるお金が国外から来る理由
Forbes Asiaの「100 to Watch」に、フィリピンから2社が入りました。並べてみると、フィリピンで大きな資金を集めた会社には共通点があります。お金を出しているのが、ほぼ全部フィリピンの外の投資家です。理由は起業家の考え方ではなく、国内のベンチャーファンドの大きさにありました。



