フィリピンのBPO業界が米国依存を下げにいく、日本も狙う4市場に
KEY POINTS
- ニュースの要点
- IT-BPM業界団体のIBPAPが、助言会社・不動産開発会社・銀行・投資誘致機関を集めた連合を立ち上げました。オーストラリア、日本、中東、英国の4市場を対象に、投資家向け説明会や現地視察を通じて企業の進出を誘致します。
- この動きの意味
- 背景にあるのは米国の法案です。業務を米国内へ戻すことを求める2つの法案が動いており、売上の多くを米国に頼る構造そのものが政治的なリスクになっています。狙う顧客を銀行・保険・医療の中堅企業に定めた点も、価格ではなく専門性で選ばれる方向への転換を示します。
- 今後の注目点
- 米国の2法案が成立するか。日本市場での誘致がどれだけ形になるか。2028年の売上505億ドル・雇用214万人という目標に近づくか。多国籍企業の自社拠点をどれだけ呼び込めるか。
フィリピンのIT-BPM業界団体 IBPAP が、米国以外の市場から企業を誘致するための連合を立ち上げました。
連合に加わるのは、助言会社、不動産開発会社、銀行、そして投資誘致機関です。業界団体だけでなく、受け皿となる建物と資金と手続きを揃えた形になっています。
狙う市場は4つ。オーストラリア、日本、中東、英国です。
動機は、米国の法案にある
なぜいま分散なのか。理由ははっきりしています。
米国で、外部に出した業務を国内へ戻すことを求める法案が2つ動いています。「Keep Call Centers in America Act」と「Halting International Relocation of Employment Act」です。
フィリピンのIT-BPM産業は、売上の多くを米国の顧客に頼ってきました。その集中そのものが、いまや政治的なリスクになっているという認識です。加えてAIの影響で2028年の目標を下方修正したばかりでもあります。市場と技術の両方から圧力がかかっている局面です。
「もはや、コストだけで選ばれない」
IBPAPのJack Madrid会長兼CEOの言い方に、方針の転換が出ています。
「企業はもはや、コストだけで拠点を選ばない。強靭さ、能力、人材の厚みを届けられる場所を選ぶ」
これに沿って、狙う顧客も定めています。銀行・金融サービス・保険・医療の中堅企業です。売り込む強みは、顧客対応、医療、IT、財務・経理、人事の各サービス。大量の電話対応ではなく、専門知識が要る業務に寄せる方向になります。
不動産の参加企業は、多国籍企業が自社の拠点を置ける仕様の物件を用意します。この形の雇用はすでに28万9,000人規模まで育っています。
日本市場をどう見るか
4市場のひとつに日本が入っている点は、日本の企業にとって直接の話です。
売り込まれる側から見ると、フィリピンが提示しようとしているのは「安いから」ではないということになります。英語での対応、金融と医療の業務経験、そして多国籍企業の拠点を受け入れてきた実績。この3つを束ねた提案が来ることになります。
一方で、フィリピン側の課題も残ります。7月の失業率は6%と4年ぶりの高さで人材は集めやすい局面ですが、人材の定着の難しさは、ジェトロの調査で日系企業の40.0%が経営上の問題に挙げています。
目標の水準
連合が掲げるのは、2028年に売上 505億ドル(約7兆9,000億円)、雇用 214万人です。2025年の実績は売上403億ドル(約6兆3,000億円)、雇用190万人でした。
活動の中身は、投資家向けの説明会、現地視察の受け入れ、業界の講演、そして重点市場での営業活動です。足で稼ぐ誘致であり、成果が見えるまでには時間がかかります。
換算は1ドル=155.9円(2026年9月4日時点)で計算した目安である。
SOURCES / 出典
- PhilSTARメディアIBPAP-led alliance courts global firms to locate in Philippinesphilstar.com
- Philippine Daily InquirerメディアPhilippine BPOs court new markets to cut US reliancebusiness.inquirer.net
参考(本文の補足)
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