PEZAとPrimelectricが覚書、経済特区に専用の配電網を建てる検討へ
KEY POINTS
- ニュースの要点
- PEZAとPrimelectric Holdingsが、経済特区内に配電設備を建てられるかを検討する覚書を交わした。PEZAが優先する特区を選び、Primelectricが採算を調べる役割分担で、対象の特区は公表されていない。
- この動きの意味
- PEZAが売ってきたのは土地と税の優遇だが、いま足りないと見ているのは電気の安定である。2025年12月にはMeralcoとも同趣旨の覚書を結んでおり、1社との取り組みというより特区の電力を作り直そうとしている。
- 今後の注目点
- 優先する特区としてどこが指名されるか。調査の結果、実際に建設に進む案件が出るか。既存の地域配電会社との調整がどうなるか。Meralcoとの覚書が先に形になるか。
フィリピン経済区庁(PEZA)と、実業家Enrique Razon Jr.氏が率いる Primelectric Holdings が覚書を交わした。経済特区のなかに配電設備を建てられるかどうかを検討するという内容である。
役割分担は決まっている。PEZAが優先して手をつける経済特区を選び、Primelectricがそこで配電網を建てる採算が合うかを調べる。対象となる特区の名前は、まだ公表されていない。
「電気の信頼性は、いまや投資判断の問題である」
PEZAのTereso Panga長官の言い方が、この覚書の狙いをそのまま表している。
「エネルギーの信頼性は、もはや電力会社だけの問題ではない。投資の問題である。Primelectricのような経験のある配電会社と組むことで、我々は自分たちの特区を守るだけでなく、より強靭で信頼できる国全体の電力システムにも貢献することになる」
さらにPanga長官はこう続けた。「投資家が進出を決める段になったとき、電気が、確認すべき問いのひとつから外れている状態にしたい」
経済特区は、進出企業(ロケーター)が工場や事業所を置く区画である。ロケーターは通常、その地域を担当する配電会社から電気を買う。ここに特区専用の配電網を敷けるなら、停電や電圧の乱れをその区画の中で管理できるようになる。PEZAが売っているのは土地と税の優遇だが、いま足りないと見ているのは電気の安定である。
PEZAは2025年12月にもMeralcoと同じ趣旨の覚書を結んでいる。1社との個別の取り組みというより、特区の電力を作り直そうとしていると読むほうが実態に近い。
港湾とカジノの実業家が持つ、地方の配電会社
Primelectricは、傘下にビサヤ地方の配電会社3社を持つ。More Electric and Power、Negros Electric and Power、Bohol Light Companyである。社長兼最高経営責任者はRoel Castro氏。
Razon氏は港湾運営の ICTSI やカジノ運営で知られる実業家で、電力は近年広げてきた事業領域にあたる。首都圏の巨大配電会社ではなく、地方都市の配電を実際に引き受けてきた会社が、全国の特区を対象に検討に入るという構図になる。
ただし、まだ覚書である
注意しておくべき点がある。今回合意したのは 調べることであって、建てることではない。対象の特区も、投資額も、時期も決まっていない。採算が合わないという結論もありうる。
とはいえ、日本の製造業がフィリピンで工場を置く先の多くはPEZAの経済特区である。入居企業の要望に合わせて建てる方式の産業用不動産が増えているように、特区の中身は建物から電力へと競争の対象が移りつつある。進出を検討している企業は、候補地の特区がこの検討の対象に入るかどうかを見ておく価値がある。
SOURCES / 出典
- Philippine Daily InquirerメディアRazon eyes electrification of ecozonesbusiness.inquirer.net
- Philippine Daily InquirerメディアRazon's Primelectric targets to energize ecozonesbusiness.inquirer.net
参考(本文の補足)
- Primelectric Holdings Inc.Primelectric Holdings
- PEZAPhilippine Economic Zone Authority
- PEZAPEZA and Meralco Forge Strategic Partnership to Power Future-Ready Ecozones
- International Container Terminal Services, Inc.ICTSI
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