PHILIPPINES STARTUP

エネルギー規制委員会、電力市場での支配力の乱用に監視を強める

KEY POINTS

ニュースの要点
フィリピンのエネルギー規制委員会(ERC)の Francis Saturnino Juan 委員長が、電力市場での市場支配力の乱用に対する監視を強める方針を示した。少数の事業者に力が集中し、競争を妨げる行為や価格の押し上げにつながる懸念があるとしている。
この動きの意味
電力コストは製造業の立地判断に直結する。監督側が集中の問題を公に認め、公正取引委員会と組んでデータを共有する体制に踏み込んだ点が要になる。
今後の注目点
実際に調査や処分が出るか。委員長が掲げた「規制の滞留を4年で解消する」という目標が守られるか。審査の遅さは投資判断の速度に直接効く。

フィリピンのエネルギー規制委員会(ERC)の Francis Saturnino Juan 委員長が、卸電力スポット市場(WESM)での市場支配力の乱用に対して監視を強める方針を示した。業界会議「Electricity Market Exchanges 2026」での発言による。

問題としているのは、少数の事業者に市場の力が集中している状態である。競争を妨げる行為につながり、電気料金が本来より高くなる恐れがあるとした。

「市場支配力を持つ者が、それを乱用したり、競争を妨げる行為に走ったりしないようにする必要がある」「監視の努力において、私たちはもっと警戒的であるべきだ。競争が起き続けるようにするために」(Juan委員長)

公正取引委員会と組む

体制としては、2024年に結んだフィリピン公正取引委員会(PCC)との連携を使う。競争を妨げる行為の調査で協力し、業界のデータを両機関で共有する。

Juan委員長は2025年8月に就任した。あわせて、規制上の滞留を 4年以内に解消する 目標も掲げている。審査に何年もかかる状態を改め、投資の速度に合った意思決定にすると述べた。

背景には価格の高止まりがある。WESMのスポット価格はビサヤとミンダナオで1キロワット時あたり10ペソ(約26円)を超える水準が続いており、供給の逼迫と需要の圧力が理由とされる。ERCは中東のエネルギー危機の際にWESMの取引を1か月以上停止し、再生可能エネルギーや石炭など安価な電源を優先的に給電させる措置も取った。

進行中の調査の件数は示されていない。

電力コストはフィリピンで事業を営むうえでの主要な変数になる。とくに製造業では立地の判断に直接効く。監督側が集中の問題を公に認めた点は、今後の料金と投資環境を見るうえでの材料になる。


円換算は2026年8月21日時点のレート(1ペソ=2.6円)による目安です。

SOURCES / 出典

  1. Philippine Daily Inquirerメディア
    ERC chief vows tighter monitoring amid market abuse threatbusiness.inquirer.net
  2. The Philippine Starメディア
    ERC moves to curb power spot market abusephilstar.com
#電力#規制#ERC#競争政策

同じカテゴリーのNews

RELATED

この動きを読み解くInsights

INSIGHTS

フィリピンのスタートアップ投資が「過去最高」とも「6年ぶりの低水準」とも報じられる理由

2025年のフィリピンのスタートアップ投資について、「過去最高の15億ドル」と「前年同期比55%減」という正反対の集計が流通しています。どちらも正しく報告された数字です。定義の差を追い、2026年最大級の調達だったSalmonの1億ドルを分解すると、回復とは別の景色が見えてきます。