債券残高が14.5兆ペソに、ただし新規発行は45%減った
KEY POINTS
- ニュースの要点
- アジア開発銀行(ADB)の集計で、フィリピンの現地通貨建て債券の残高が2026年第2四半期に14兆5,000億ペソ(約36兆1,000億円)となりました。前四半期比3.3%増で、第1四半期の2.8%より速いペースです。
- この動きの意味
- 一方で新規の発行額は4,762億ペソで、前四半期から45%減りました。第1四半期に212%増えた反動です。政府が起債を前倒ししたことの裏返しです。
- 今後の注目点
- 利回りは6月1日から8月31日までに平均21ベーシスポイント下がりました。中央銀行が6月と8月に合計0.5%利上げしたにもかかわらずです。
アジア開発銀行(ADB)の「アジア債券モニター」で、フィリピンの債券市場の状況が示されました。
残高
| 2026年第2四半期 | 前期比 | 第1四半期の伸び | |
|---|---|---|---|
| 全体 | 14兆5,000億ペソ | +3.3% | +2.8% |
| 1年超のみ | 13兆2,000億ペソ | +2.7% | +3.5% |
| うち国債 | — | +2.6% | +3.4% |
| うち社債 | — | +3.2% | +4.4% |
14兆5,000億ペソは約36兆1,000億円、13兆2,000億ペソは約32兆9,000億円にあたります。
全体は加速し、1年超だけを見ると減速している。差は短期債です。満期1年以下の証券が増えたことが、全体の伸びを押し上げています。
発行は急減
第2四半期の4,762億ペソは前期比45%減。第1四半期は前期比212%増だった。
| 第2四半期の発行額 | 4,762億ペソ(約1兆1,900億円) |
| 前期比 | -45% |
| うち国債 | -46% |
| うち社債 | -41% |
ADBは、第1四半期に政府が起債を前倒ししたことによる高い基準の影響だとしています。
利回りは下がった
現地通貨建て国債の利回りは、6月1日から8月31日までに平均 21ベーシスポイント(0.21%)下がりました。下げが大きかったのは満期1年超の年限です。
中央銀行は6月と8月に合計0.5%利上げしたのに、長めの利回りは下がった。ADBが挙げた背景は2つです。
- インフレの鈍化(7月は前年同月比6.2%)
- 成長の鈍化(第2四半期は前年同月比2.3%)
利上げは短期の金利を押し上げますが、先行きの成長とインフレが弱いと見られれば、長期の利回りは下がります。
誰が持っているのか
| 銀行・金融機関の保有 | 61.2%(6月時点、5月は58.1%) |
| 国内投資家の保有 | 96% |
国内で完結している市場です。外国人投資家の比率は低く、海外の資金の出入りに振り回されにくい構造になっています。
日系企業にとっての読みどころ
読みどころは、社債の伸びが国債を上回っていることです。第2四半期は社債が3.2%増、国債が2.6%増でした。
企業が債券で資金を取りにいっているということです。長めの利回りが下がっている局面は、発行する側にとって有利です。
フィリピンで事業を営む企業にとって、実務上の含意は2つあります。
現地通貨建ての資金調達。ペソが1ドル62.86ペソの過去最安値を記録するなか、ドル建ての借入は為替の危険を抱えます。現地の債券市場が厚くなることは、ペソ建てで調達する選択肢が広がることを意味します。
買い手の性格。保有の61.2%が銀行と金融機関で、96%が国内投資家という構成は、起債の相手が国内の銀行に集中していることを示します。調達を考えるなら、まずそこと話すことになります。
1ペソ=2.49円で換算しています(2026年9月4日時点)。
SOURCES / 出典
- The Philippine StarメディアADB: Philippines bond market grows at faster pace in Q2philstar.com
- AsianBondsOnline(アジア開発銀行)政府・規制当局一次情報Philippines: Market Summaryasianbondsonline.adb.org
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