PHILIPPINES STARTUP

通信3社に1日10万ペソの制裁金、首都圏の回線が改善せず

KEY POINTS

ニュースの要点
国家通信委員会(NTC)が、Globe Telecom、Smart Communications、DITO Telecommunityの3社それぞれに対し、1日10万ペソの制裁金を科しました。9月26日に発効し、指摘した不備が是正されるまで続きます。3社には説明を求める命令も出されています。
この動きの意味
NTCは第1四半期と第2四半期に首都圏で品質の低い地点を特定していました。9月の再測定でも状況がほとんど変わらなかったことが今回の処分につながっています。根拠は公共サービス法17条(a)です。
今後の注目点
隔週の再測定で改善が確認されるか。制裁金の累積額がどこまで伸びるか。3社が具体的にどの地点でどう設備投資をするか。判定の基準となる速度が数値で公表されるか。

国家通信委員会(NTC)が、大手通信3社に1日10万ペソ(約24万9,000円)の制裁金を科しました。発効は9月26日で、指摘した不備が是正されるまで続きます。

3社合わせると1日30万ペソ、日本円でおよそ 74万7,000円が積み上がる計算です。

誰が、どこで引っかかったか

NTCが9月の再測定で問題ありとした地点は、各社で分かれています。

事業者指摘された地点
Globe Telecomマカティ、ケソン市
DITO Telecommunityサンフアン、パサイ、ラスピニャス
Smart Communicationsパラニャーケ、マニラ、パシグ

Globeについては、デイリー・トリビューンがマニラも指摘地点に挙げており、媒体のあいだで食い違いがあります。表には両媒体が一致しているマカティとケソン市だけを載せました。

「変わっていなかった」ことが決め手

今回の処分の理由は、単に品質が低かったことではありません。

NTCは第1四半期と第2四半期の測定で、首都圏のモバイルブロードバンドが弱い地点をすでに特定していました。9月に同じ場所を測り直したところ、状況が ほとんど変わっていなかった。改善されなかったことが制裁金につながっています。

根拠となる法令として示されているのは、公共サービス法17条(a)です。NTCはこの条項により、公衆通信事業者が守るべき基準や規則の遵守状況を調査し、執行する権限を持つとしています。

NTCは今後、指摘した地点で 隔週の再測定を行い、必要な設備改善が実際に進んでいるかを確認するとしています。

3社の反応

Globeの最高サステナビリティ・企業広報責任者であるYoly Crisanto氏は懸念を示し、情報通信技術省(DICT)の直近の報告書は同社のサービスが改善していることを示していると述べました。

Smartは「説明を求める書面を受け取っていないため、現時点でコメントできる立場にない」としています。DITOからは、報道の時点で回答が出ていません。

なぜこの話が効くのか

規制当局が通信事業者に金銭的な処分を科すこと自体は珍しくありませんが、未収の負担金が39億ペソ積み上がっていると議会の調査部門が指摘したばかりです。科すことと、回収することは別の話になります。

利用者の側から見ると、今回の名指しは回線品質の地図としても読めます。首都圏に拠点を置く場合、オフィスの所在地によって、どの事業者の回線が現実に使えるかが変わるということです。在宅勤務やBPOの分散配置を前提にしている企業にとっては、モバイル回線を業務の土台にできるかどうかの判断材料になります。

一方で、NTCが判断の基準にした速度や品質の具体的な数値は、いずれの媒体にも記載がありませんでした。何メガビット毎秒を下回ると不合格なのかは、公表されていません。

換算は1ペソ=2.49円(2026年9月4日時点)で計算した目安である。

SOURCES / 出典

  1. GMA Newsメディア
    NTC fines DITO, Globe, Smart P100,000 daily over poor mobile broadband servicesgmanetwork.com
  2. Daily Tribuneメディア
    NTC tightens screws on telcos over poor mobile servicetribune.net.ph

SHARE

#NTC#Globe#Smart#DITO#通信品質#規制

同じカテゴリーのNews

RELATED

この動きを読み解くInsights

INSIGHTS
企業分析

600社が使ったSalariumは2023年にサービスを無期限停止、倒産も解散もしていない

フィリピンで勤怠から給与の振り込みまでを1つで担っていたSalariumは、2019年時点で約600社が使い、2021年までに2万社へ広げると語っていた会社でした。2023年8月に利用企業が資金を引き出せなくなり、12月31日にサービスを無期限で停止します。ただし倒産も解散もしていません。法人はいまも登記に残ったままです。何が起きたのかをたどります。

トレンド

フィリピンの電気代が東南アジアで一番高い、直撃するのは半導体と精密電子の工場

フィリピンの平均電力価格が2026年6月に1キロワット時12.43ペソとなり、シンガポールを抜いて東南アジアで最も高くなりました。この高さが最も重くのしかかる日系企業は、半導体と精密電子の製造業です。単価が原価に乗るうえ、停電が頻発する地域では自家発電を持たされ、製造コストがさらに上がります。しかも影響は、進出をやめた素材・部品産業という形でも現れています。

市場分析

フィリピンの物価は日本の3分の1?牛乳もクルマも日本より高い【2026年9月】

PHILIPPINES STARTUP編集部の私は、マニラに住んでいたことがあります。週2回外食して、プール付きのマンションに住んだら、生活費は東京とほとんど変わりませんでした。むしろ高い月もありました。100品目を東京と比べたら、「日本の3分の1」に当てはまったのは19品目だけ。牛乳もガソリンもクルマも日本より高い。日本人が住むBGCとマカティの家賃、必要な月額、そして物価上昇がいま企業に何を起こしているかまで書きました。