PHILIPPINES STARTUP

2,000億ペソの太陽光と蓄電池、第1期が商業運転へ。全体では世界最大級

KEY POINTS

ニュースの要点
メラルコの発電子会社MGENが、2,000億ペソを投じるMTerra Solarの第1期で8月26日付の商業運転を開始した。国家送電網会社が、950メガワットの太陽光と825メガワットの蓄電池を系統に安全につなげると認めたことを受けたものである。
この動きの意味
全体では3,500メガワットピークの太陽光と4,500メガワット時の蓄電池からなり、ヌエバエシハ州とブラカン州の5つの自治体にまたがる約3,500ヘクタールを使う。太陽光に大規模な蓄電池を組み合わせることで、昼しか出ない電気を夕方の需要に回せるようになる。
今後の注目点
第2期が予定どおり来年完成するか。MGENが2027年までの再エネ1,500メガワットの目標を超えるか。メラルコへの850メガワットの供給が始まるか。蓄電池が系統の安定にどう効くか。

マニラ電力(Meralco)の発電子会社 Meralco PowerGen(MGEN)が、2,000億ペソ(約5,120億円)を投じる MTerra Solar の第1期で商業運転を開始した。8月26日付である。

国家送電網会社(NGCP)が、950メガワットの太陽光と825メガワットの蓄電池を国の系統に安全かつ確実につないで動かせると認め、接続の最終承認を出したことを受けた。

太陽光に、同じ規模の蓄電池を付ける

この事業の特徴は、太陽光の大きさそのものより 蓄電池を組み合わせていることにある。

全体の規模
太陽光3,500メガワットピーク
蓄電池4,500メガワット時
敷地約3,500ヘクタール(ヌエバエシハ州とブラカン州の5自治体)
完成後の供給メラルコへ850メガワット。約240万世帯分の消費に相当

MGEN会長のマニュエル・パンギリナン氏は、狙いをこう述べた。「前例のない規模で太陽光と蓄電池を組み合わせることで、再生可能エネルギーがどのようにエネルギーの安全保障を強め、経済成長を支え、より強靭で持続可能な電力системを築けるかを示している」

太陽光は昼しか発電しない。蓄電池を付けると、昼に作った電気を夕方の需要が高い時間に回せる。同社が「中間帯(ミッドメリット)の再生可能エネルギー」としてメラルコへ供給すると説明しているのは、そういう意味である。

7月時点で、約1,373メガワットの太陽光と825メガワットの蓄電池がすでに通電していた。

第2期は来年

第2期は 来年の完成予定で、これによりMGENは2027年までの再生可能エネルギー1,500メガワットという目標を超える見込みだとしている。完成すれば 世界最大級の統合型太陽光事業になるとしている。

社長兼CEOの Emmanuel Rubio 氏は「商業運転に到達したことは、この画期的な設備を実現させた数千人の決意と規律、そして卓越した仕事を映している」と述べた。

電源が足りない国で、何を建てているか

この案件を、いまの電力事情のなかに置くとこうなる。

ビサヤの系統には赤色警報が繰り返し出てエネルギー省は地熱で2,100メガワットを増やすのに126億ドル(約2兆160億円)が要ると述べたばかりである。Moody'sはデータセンターの制約として、フィリピンの電力事情が対象7市場で最も厳しいと評価している。

MTerraの3,500メガワットピークは、地熱の目標2,100メガワットを上回る規模である。ただし太陽光は設備容量に対して実際の発電量が小さく、地熱のように24時間動くわけではない。蓄電池4,500メガワット時は、その差を埋めるための設備にあたる。

同じ日には、セブの上場石油会社が東京のスタートアップとEV充電網で組むことも明らかになった。作る側と使う側の両方で、電気をめぐる投資が動いている

換算は1ペソ=2.56円(2026年9月4日時点)で計算した目安である。

SOURCES / 出典

  1. BusinessWorldメディア
    MGEN starts MTerra Solar Phase 1 commercial operationsbworldonline.com
  2. MGEN企業公式一次情報
    Meralco PowerGen Corporationmgen.com.ph

参考(本文の補足)

  1. NGCPNational Grid Corporation of the Philippines

SHARE

#MGEN#Meralco#MTerra Solar#太陽光#蓄電池#ヌエバエシハ#ブラカン

同じカテゴリーのNews

RELATED

この動きを読み解くInsights

INSIGHTS

フィリピンの法人税ゼロは、もう大手日本企業の得になっていない

フィリピンの経済特区に入ると数年間は法人税がゼロになります。ところが日本は2024年4月から、税負担の軽い海外子会社の分を親会社に課税し始めました。フィリピンには自国で先に取る制度がないため、免除された分は日本に納めることになります。下院の調査によれば、売上上位1%の法人の実効税率の中央値は5〜6%しかありません。

市場分析

英語と安さで選ばれたフィリピンの画面に、世界の口座と診療記録が映っている

フィリピンのコールセンターが選ばれてきた理由は、英語が通じて安いことです。業界団体自身の資料がそう書いています。ところがそこに届いているのは、世界の銀行と医療のユーザーからの問い合わせでした。選ばれた理由と任されている中身が噛み合っていません。2年で2度、オーストラリア企業の顧客情報がマニラを経路に抜かれ、アナリストは「顧客はリスクを拠点の所在地で値付けする」と言います。

三井住友は、なぜフィリピンの同じ財閥に5年で4回も出資したのか

日本の三井住友グループが、フィリピンで5年に4回、同じ企業グループの会社に出資しています。銀行に3回、そのリース会社、そして風力発電会社。フィリピンでは外国企業が銀行を100%買えるのに、三井住友は4分の1弱で止めています。買い取るつもりがないなら、何を狙っているのか。会社そのものより、その財閥が持つ顧客基盤でした。