IMFが2026年の成長率見通しを3.9%から3.4%へ引き下げ
KEY POINTS
- ニュースの要点
- 国際通貨基金(IMF)が、フィリピンの2026年の実質GDP成長率見通しを3.9%から3.4%へ引き下げました。政府目標の3.5〜4.5%を下回り、昨年の4.4%からも減速します。2027年も5.5%から5.1%に下げました。
- この動きの意味
- 主因は第2四半期の成長率が2.3%と、コロナ禍を除けば2009年以来の低さになったことです。洪水対策事業をめぐる問題で公共建設が縮み、中東情勢による物価上昇が家計の支出を抑えました。物価は2027年の見通しを3.3%から4.1%へ引き上げています。
- 今後の注目点
- 中央銀行が年内にさらに0.25%利上げするか。米価が見通しどおり25%上がるか。エルニーニョが農業生産をどこまで削るか。公共投資の回復が2027年にずれ込むか。
国際通貨基金(IMF)が、フィリピンの成長率見通しを2年分まとめて引き下げました。4条協議(Article IV Consultation)を終えた声明で示したものです。
| 年 | 従来 | 今回 |
|---|---|---|
| 2026年 | 3.9% | 3.4% |
| 2027年 | 5.5% | 5.1% |
2026年の3.4%は、政府目標の3.5〜4.5%を下回ります。昨年の4.4%からも減速し、この見通しどおりなら コロナ禍以降で最も低い成長です。コロナ禍を除けば、2009年の1.4%以来、17年ぶりの低さになります。
第2四半期がすべてを持っていった
IMFのフィリピン担当ミッションチーフAndrea Pescatori氏は、マニラでの記者説明会で理由をはっきり述べています。
「修正のほとんどは第2四半期のデータによるものだ。GDPは我々が予測していたよりはるかに低かった」
第2四半期の成長率は 2.3% で、コロナ禍以降で最低の水準でした。前年の洪水対策事業をめぐる問題で公共建設への投資が縮み、中東情勢を背景とした物価上昇が家計支出を圧迫しました。GMAの報道では、上半期の公共投資支出は前年同期の6,202億ペソから3,674億ペソへ40.8%減っています。
Pescatori氏は不動産市況にも触れ、「長引く不動産部門の減速が第2四半期の重しに加わった」と述べました。空室率が高止まりしているためです。「正直なところ、不動産市場や住宅市場の悪化が見えているわけではない。ただ、成長への寄与がプラスになっていないというだけだ」。借入コストの上昇が回復を遅らせる可能性があり、減速が長引けば金融の安定にも影響しうるとしています。
2027年は、物価のほうが問題になる
2027年の下方修正について、Pescatori氏は「新たなショックが来年に影響している」と説明しました。中東情勢の再燃、石油と食料価格の上昇、そして公共投資の回復の遅さの組み合わせです。
物価の見通しは、年によって方向が逆になりました。
| 年 | 従来 | 今回 |
|---|---|---|
| 2026年 | 5.7% | 5.6% |
| 2027年 | 3.3% | 4.1% |
2026年は直近2か月の実績が予想より低かったため、わずかに引き下げ。2027年は逆に0.8ポイント引き上げています。
理由は米です。Pescatori氏は「石油と食料の両方だが、食料については本当に米の価格が懸念だ」と述べ、IMFの標準シナリオが 米価の25%上昇を織り込んでいることを明かしました。「米は消費バスケットのおよそ12%を占めるので、これは当然ながら物価全体を押し上げ続ける」。
実際、統計庁のデータでは9月前半の並精米の平均価格が1キロ49.96ペソで前年比23.94%高、上精米が56.52ペソで19.92%高となっています。
迫っているエルニーニョも米の生産にとって懸念材料だとしつつ、Pescatori氏は「付加価値への寄与という点では、米は消費バスケットに占める割合ほど大きくない。だから米の生産が成長やGDPに与える影響は、物価への影響に比べればはるかに心配していない」とも述べました。
利上げがもう一度ありうる
石油価格の上昇が物価に速く波及するため、中央銀行(BSP)が年内にもう0.25ポイント利上げする可能性がある、というのがPescatori氏の見立てです。「現在の石油価格の上昇は、総合指数への波及が鋭く速い。おそらく次の局面、とくに第4四半期に表れるだろう」。
BSPは4月から利上げを始め、8月までに累計0.75ポイント引き上げて5%としています。国内の燃料価格は3週連続で上昇し、ディーゼルが1リットル最大121ペソ、ガソリンが111.60ペソ、灯油が147ペソに達しました。
IMFは、物価が来年後半には落ち着き、2028年にはBSPの目標に近い3.2%まで下がると見ています。
見通しの束が、同じ方向に寄ってきた
今回のIMFの3.4%は、他機関の数字と近い位置に並びました。BMIは3.3%、AMROも3.4%です。
年初には4%台後半の見通しが並んでいたことを踏まえると、この半年で1ポイント以上が削られたことになります。フィリピンを消費市場として見ている企業にとっては、内需の伸びを前提にした計画の置き直しが必要な局面です。物価の見通しが2027年に上振れしたことは、賃金と調達コストの両方に効いてきます。
SOURCES / 出典
- BusinessWorldメディアIMF slashes Philippine growth forecasts for 2026 and 2027bworldonline.com
- GMA NewsメディアIMF downgrades Philippine growth forecasts anew amid economic challengesgmanetwork.com
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