GCashが海外での免税還付をペソで即時受け取りできる機能を追加
KEY POINTS
- ニュースの要点
- GCashが、海外で買い物をしたフィリピン人が免税還付金をその場でペソのままウォレットに受け取れる機能を8月20日に始めた。空港の税関で確認を受けたあと、アプリのQRコードを係員に読み取ってもらう仕組みで、対象は16か国である。
- この動きの意味
- 従来は帰国後に使い道のない現地通貨の現金か、1〜4週間かかる送金しか選べなかった。待ち時間と両替の目減りを同時に消す。支えるAlipay+はAnt Groupの国際決済網で、同社はGCash運営会社Myntの株式を34%持つ。
- 今後の注目点
- 対象国が16か国からどこまで広がるか。日本が加わるか。手数料の水準が公表されるか。10月20日の上場後、越境決済がどれだけ収益に寄与すると説明されるか。
電子マネーの GCash が、海外で買い物をしたフィリピン人が受け取る 免税還付金を、その場でペソのままウォレットに入れられる機能を始めた。8月20日に発表し、対象は16か国である。
仕組みは既存の手続きに乗せる形になっている。旅行者は空港でこれまでどおり、パスポート、航空券、還付申請書、レシート、未使用の購入品を税関に見せる。確認が済んだあと、係員に GCashアプリで表示したQRコードを読み取ってもらう。還付金はそこから直接ウォレットに入る。
何が変わるのか
これまで、海外で免税還付を受ける方法は2つしかなかった。どちらにも難点がある。
| 従来の方法 | 難点 |
|---|---|
| 現地通貨の現金で受け取る | 帰国後に使い道がなく、両替すると目減りする |
| 銀行口座やカードへの送金 | 1〜4週間、場合によってはそれ以上かかる |
新しい機能は、待ち時間と両替の2つを同時に消す。空港で数分のうちにペソで受け取れる。
金額そのものが大きく変わるわけではない。変わるのは、還付金が「あとで届くかもしれない外貨」から「いま手元にあるペソ」になることである。
対象16か国に日本は入っていない
現時点で使えるのは次の16か国である。
| 地域 | 国 |
|---|---|
| 西欧 | フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、オーストリア、ポルトガル、ギリシャ、スイス |
| 北欧・バルト | デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、エストニア、ラトビア |
| その他 | サウジアラビア、アルゼンチン |
欧州に大きく偏っている。日本は外国人旅行者向けの免税制度を持つが、この16か国には含まれていない。今後拡大するとしているので、日本の小売業にとっては、対象に入るかどうかが実務的な論点になる。フィリピン人旅行者にとって日本は近く、買い物を伴う渡航先でもある。
組んだ相手に、資本関係が透けている
この機能を支えているのは2社である。
ひとつが Alipay+。中国の Ant Group が運営する国際決済網で、各国の電子マネーを相互につなぐ。Ant GroupはGCashを運営するMyntの株式を34%持つ。
もうひとつがスイスの Global Blue で、世界の免税還付手続きを請け負う会社である。空港のカウンターや加盟店の手続きは、実務上この会社の仕組みに乗っていることが多い。
GCashの国際決済担当バイスプレジデントCarlos Bauza氏は「フィリピン人旅行者が、受け取る権利のあるお金をペソで直接、より速く便利に受け取れるようにする」と述べています。
上場を控えた時期に出てきたこと
MyntのIPOは10月20日に上場を予定し、SECの承認も下りている。想定時価総額は6,689億6,000万ペソ(約1兆6,700億円)である。
その直前に出てきたのが、国内の決済ではなく国境をまたぐ手数料収入につながる機能だという点は見ておく価値がある。国内の電子マネー市場は競争が激しく、成長の余地を国外に求める必要がある。株主のAnt Groupが持つ国際決済網は、そのための資産にあたる。
上場企業としてのGCashが、どこで稼ぐと説明するのか。今回の機能は、その説明の一部になる。
換算は1ペソ=2.49円(2026年9月4日時点)で計算した目安である。
SOURCES / 出典
- PhilSTARメディアGCash enters tax refund marketphilstar.com
- Fintech News PhilippinesメディアGCash Partners With Alipay+, Global Blue for Digital Tax Refuntsfintechnews.ph
- GCash Help Center企業公式一次情報How to claim a Digital Tax Refundhelp.gcash.com
参考(本文の補足)
- Ant InternationalAlipay+
- Global Blue GroupGlobal Blue
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