GCash運営会社の923億ペソのIPOをSECが承認、10月20日上場
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピンSECがMyntの登録届出書を有効とし、最大923億2,000万ペソ(約2,300億円)のIPOが動き出した。上場は10月20日、銘柄コードGCASH、想定時価総額は6,689億6,000万ペソ(約1兆6,700億円)で史上最大になる。
- この動きの意味
- 注目すべきは金額より規則のほうだ。市場に出す株の比率が通常の15%ではなく12%に緩められ、Myntがその第1号になった。1,000億ペソ規模の株を一度に売れるほど厚くない市場に、大型の上場を着地させるための調整である。
- 今後の注目点
- 10月6日からの申込がどれだけ埋まるか。上場後に株価が10ペソの上限価格を保てるか。12%の緩和を次に使う会社が出てくるか。既存株主の売却制限が切れる時期にGlobeやAntがさらに売るか。
フィリピンの証券取引委員会(SEC)が、電子マネー「GCash」を運営する Mynt の登録届出書を有効とすると決議した。9月4日に明らかにしたもので、最大 923億2,000万ペソ(約2,300億円)を調達する新規株式公開(IPO)の手続きが前に進む。
上場は10月20日、フィリピン証券取引所(PSE)の本則市場に「GCASH」の銘柄コードで予定されている。想定される上場時の時価総額は 6,689億6,000万ペソ(約1兆6,700億円)で、フィリピン史上最大の上場になる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 売出総額 | 最大923億2,000万ペソ(約2,300億円) |
| 1株の上限価格 | 10ペソ |
| 新株 | 最大16億1,000万株 |
| 既存株主の売り出し | 64億2,000万株 |
| 追加の売出枠 | 12億株 |
| 申込期間 | 10月6日〜12日 |
| 上場日 | 10月20日 |
| 銘柄コード | GCASH |
| 想定時価総額 | 6,689億6,000万ペソ(約1兆6,700億円) |
市場に出す株の比率を、規則のほうが下げた
今回の承認でいちばん構造的な意味を持つのは、金額よりも 市場に出す株の比率である。
フィリピンでは、上場する会社は発行済み株式の15%以上を市場に流通させる決まりがある。Myntに適用されたのは 12% で、SECが2026年に出した通達(Memorandum Circular No. 11, Series of 2026)にもとづく大型案件向けの緩和措置である。Myntはこの緩和を使う最初の会社になった。
3ポイントの差は、この規模だと効き方が変わる。時価総額6,690億ペソの15%は約1,003億ペソ(約2,500億円)、12%なら約803億ペソ(約2,000億円)で、市場で買い手を探す株が約200億ペソ(約500億円)分減る。フィリピンの株式市場は主要指数のPSEiが6,000台で推移する規模で、1社がその規模の株を一度に売り出すと買い手が足りなくなりやすい。緩和は、大型の上場を国内市場で成立させるための調整である。
Trading Edgeの最高投資ストラテジスト Ron Acoba氏は「驚きではない。SECが浮動株の要件を引き下げる見直しをすることは、ずっと前から示されていた」と述べています。
株主は4者に集中し、8%を三菱UFJが持つ
Myntの株主構成は、通信大手の Globe Telecom が35%、中国のアリババ系の金融会社 Ant Group が34%、財閥の Ayala Corporation が13%、三菱UFJ銀行 が8%で、残りを Warburg Pincus や Bow Wave といった投資会社が持つ。
- Globe Telecom35%
- Ant Group34%
- Ayala Corporation13%
- 三菱UFJ銀行8%
- その他の投資会社約10%
その他はWarburg Pincus、Bow Waveなど。売り出しに応じる株主としてGlobe、Ayala、Antの名前が報じられている。
三菱UFJがこの8%を取得したのは2025年2月で、払った額は 4億ドル(約620億円)、そのときのMyntの評価額は50億ドル(約7,800億円)だった。今回の想定時価総額6,690億ペソに8%を当てはめると約535億ペソ(約1,330億円)になり、払った額のおよそ2倍にあたる。ただし新株発行による持ち分の薄まりや、上場後の株価の動きは考えていない単純な計算である。
読めた開示のなかで、売り出しに応じる株主として名前が出ているのはGlobe、Ayala、Antの3者で、三菱UFJが売るかどうかは確認できなかった。
会社に入る資金は、調達額の2割に満たない
調達額の内訳は、8月に修正された目論見書の時点ですでに明らかになっている。今回の承認でも構図は変わらない。
手取り額は最大892億5,000万ペソ(約2,220億円)で、このうち 会社に入る新規資金は149億5,000万ペソ(約370億円)である。残りは株を売る既存株主に渡る。会社側は新規資金の使い道を、デジタル金融サービスの成長、商品開発、一般的な運転資金としている。
GCashの規模は、2025年の月間利用者が3,910万人、登録者が約9,000万人。運営するMyntの2025年の業績は、売上798億ペソ(約1,990億円)に対して純利益172億ペソ(約428億円)だった。
引受は国内がBPI CapitalとBDO Capital、海外の共同主幹事がJefferies Singapore、CLSA、HSBC Singapore、グローバル・コーディネーターにMorgan Stanley、J.P. Morgan Securities、UBS AG Singaporeが並ぶ。
換算は1ドル=155.9円、1ペソ=2.49円(2026年9月4日時点)で計算した目安である。
SOURCES / 出典
- Philippine Daily InquirerメディアGCash gets SEC nod for blockbuster P92.3-B IPObusiness.inquirer.net
- PhilSTARメディアSEC clears GCash's P92.3 billion IPOphilstar.com
- RapplerメディアStage set for GCash's record P92.3B IPO, October 20 listing eyedrappler.com
参考(本文の補足)
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