PHILIPPINES STARTUP

初のごみ発電の入札で9社が落札候補に、合計428メガワットで目標の400を上回る

KEY POINTS

ニュースの要点
エネルギー省は11月3日、初の廃棄物発電の入札で9つの事業者による12件、合計428メガワットを落札候補にしました。目標の400メガワットを上回り、応札価格はすべて上限を下回っています。
この動きの意味
ごみを燃やして発電する事業に、サンミゲル系やラソン系などの財閥と自治体が実際に価格を出して参加しました。容量の約95%はマニラ首都圏のあるルソン島に集まっています。
今後の注目点
30日以内に履行保証金などの書類をそろえ、何件が正式な落札の証書を得るか。そのあと、自治体とのごみの供給契約と資金調達がまとまり、2029年末までに送電を始められるかが次の判断材料です。

フィリピンで初めての、ごみを燃やして発電する事業(廃棄物発電)の入札で、落札候補が決まりました。エネルギー省(DOE)は11月3日、9つの事業者による12件、合計 428メガワット を落札候補として発表しました。政府の導入目標の400メガワットを上回っています。

入札は10月13日に電子方式で行われ、資格を得た9者が12件を応札しました。すべてが審査を通り、応札価格はすべて上限価格を下回りました。各事業は遅くとも2029年12月31日までに送電を始めることを約束しています。

落札候補の顔ぶれ

PhilSTARが落札通知をもとに報じた内訳は次のとおりです。

事業者地域容量
Pan Pacific Renewable Power Phils.(サンミゲル系、2件)ルソン114MW
San Mateo Sanitary Landfill and Developmentルソン84MW
International Solid Waste Integrated Management Specialistルソン84MW
Manila Integrated Environmentルソン76MW
Prime Integrated Waste Solutions(ラソン系)ルソン23MW
LECRA Eco Sustain Philippinesルソン13.8MW
North Maharlika Energyルソン10.2MW
Forza Developmentビサヤ12MW
ダバオ市政府ミンダナオ11MW

容量の約95%にあたる405メガワットがルソン島に集まっています。Pan Pacificは財閥サンミゲルを率いるRamon Ang氏の電力会社San Miguel Global Powerの関連会社、Prime Integrated Waste SolutionsはEnrique Razon Jr.氏の系列です。ミンダナオ島のダバオ市は、自治体みずから事業者として落札候補に入りました。

9月の見込みから顔ぶれが絞られた

9月の時点でエネルギー省は、資格を得た事業者を11者・14件、合計400メガワットと発表していました。実際に応札したのは9者・12件です。9月に名前が挙がっていたパンギリナン系のMetPower Venture Partners Holdingsは、今回の落札候補の一覧にはありません。

まだ最終の落札ではない

エネルギー省は、今回の通知は最終的な落札ではないと強調しています。落札候補は、通知がDOEのサイトに載ってから 延長なしの30日以内 に、送電を約束する誓約書、履行保証金、送電網への影響調査の書類などを出す必要があります。それを満たして初めて落札の証書が出ます。

Sharon Garinエネルギー長官は「入札で枠を得たのは始まりにすぎない。事業者は条件を満たし、実際に供給できることを示さなければならない」と述べています。

エネルギー省自身も、入札の後に越えるべき壁を挙げています。

  • ごみの確保:毎日決まった量のごみを、自治体との取り決めで安定して集められるか
  • 資金:建設の資金を調達できるか
  • 許認可と環境対応:建設と運転の許可を得られるか
  • 送電網への接続:つくった電気を流せるか

同省は、廃棄物発電がエルニーニョ現象で電力の需要が高まる時期の追加の電源になるほか、台風の後に増えるごみの処理や、排水路の詰まりによる洪水を減らす役割も持つとしています。

本記事は金額を扱わないため、為替換算は行っていない。

SOURCES / 出典

  1. フィリピン・エネルギー省(DOE)政府・規制当局一次情報
    DOE Names Nine Potential Winning Bidders in Special Waste-to-Energy Auctiondoe.gov.ph
  2. フィリピン・スター(PhilSTAR)メディア
    RSA, Razon firms among winners in 1st WTE auctionphilstar.com

SHARE

#廃棄物発電#再生可能エネルギー#DOE#入札#San Miguel#Prime Infra#ダバオ

同じカテゴリーのNews

RELATED

この動きを読み解くInsights

INSIGHTS
トレンド

フィリピンの電気代が東南アジアで一番高い、直撃するのは半導体と精密電子の工場

フィリピンの平均電力価格が2026年6月に1キロワット時12.43ペソとなり、シンガポールを抜いて東南アジアで最も高くなりました。この高さが最も重くのしかかる日系企業は、半導体と精密電子の製造業です。単価が原価に乗るうえ、停電が頻発する地域では自家発電を持たされ、製造コストがさらに上がります。しかも影響は、進出をやめた素材・部品産業という形でも現れています。

市場分析

フィリピンの物価は日本の3分の1?牛乳もクルマも日本より高い【2026年9月】

PHILIPPINES STARTUP編集部の私は、マニラに住んでいたことがあります。週2回外食して、プール付きのマンションに住んだら、生活費は東京とほとんど変わりませんでした。むしろ高い月もありました。100品目を東京と比べたら、「日本の3分の1」に当てはまったのは19品目だけ。牛乳もガソリンもクルマも日本より高い。日本人が住むBGCとマカティの家賃、必要な月額、そして物価上昇がいま企業に何を起こしているかまで書きました。

フィリピンの法人税ゼロは、もう大手日本企業の得になっていない

フィリピンの経済特区に入ると数年間は法人税がゼロになります。ところが日本は2024年4月から、税負担の軽い海外子会社の分を親会社に課税し始めました。フィリピンには自国で先に取る制度がないため、免除された分は日本に納めることになります。下院の調査によれば、売上上位1%の法人の実効税率の中央値は5〜6%しかありません。