財務省、越境ECの少額輸入免税の見直しでIMFに税収の試算を依頼
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピン財務省(DOF)のKarlo Adriano次官が、1万ペソ以下の輸入品を関税と付加価値税から外すde minimisルールの見直しで、撤廃した場合の税収を国際通貨基金(IMF)に試算してもらっていると明かしました。
- この動きの意味
- 海外のECサイトから届く安い荷物は無税で、国内で買うと付加価値税がかかるという不公平を、政府も「大きな税収の漏れ」と認めています。小売業界の撤廃要求に、財務省が検討の段階で応えている形です。
- 今後の注目点
- 次官は「今の状況では時期が合わないかもしれない」と述べ、撤廃には関税近代化法の改正が要ります。IMFの試算が出るか、財務長官が議会に改正を求めるかが次の判断材料です。
フィリピンの財務省(DOF)が、越境ECの荷物にかかわる少額輸入の免税ルールの見直しを続けています。Karlo Fermin Adriano次官が記者団に語ったもので、BusinessWorldとPhilSTARが報じました。
対象は「de minimis(デミニミス)」と呼ばれるルールです。価格が 1万ペソ(約2万5,000円)以下の輸入品には、関税も付加価値税(VAT)もかかりません。 2016年の関税近代化法(CMTA)で定められました。
試算ができない理由は「申告額」
財務省は、免税をなくした場合にどれだけ税収が増えるかの試算を、国際通貨基金(IMF)に頼んでいます。自前で計算できないのは、輸入品の申告額があてにならないからです。
「関税は価格を基に決まり、VATも価格を基に決まる。だから正しい税収見積もりが出せない。そこに苦労している」とAdriano次官は説明しました。実際には1万ペソを超える荷物まで de minimis として申告されることがあり、関税局(BOC)も一部の業者がこの抜け道を悪用していると指摘してきました。
国内の店で買えばVATがかかる
次官が見直しの理由に挙げたのが、国内の生産者・販売者との不公平です。
| 国内で買う | 海外ECから取り寄せる(1万ペソ以下) | |
|---|---|---|
| 関税 | ― | かからない |
| VAT | 1万ペソ以下でもかかる | かからない |
次官は海外の売り手について「関税もVATも何もかからないので、競争で有利になっている」と述べ、PhilSTARには「de minimisは大きな税収の漏れだ」と語っています。
この点は小売業界がかねて訴えてきたものです。フィリピン小売業協会(PRA)は9月、de minimis の完全撤廃を政府に求めていました。同じ時期には、越境ECが実店舗より速く伸び、この免税枠が効いているという分析も出ています。
撤廃には法改正、次官は「今は時期でないかも」
ただ、撤廃がすぐに進むわけではありません。Adriano次官は「ずっと検討しているが、今の状況では時期が合わないかもしれない」と述べました。何が時期に合わないのかは、両紙とも詳しく伝えていません。
免税枠は法律で決まっているため、なくすには関税近代化法を改正する必要があり、議会の判断になります。次官は「提案しても、議員が棚上げするかどうかは議員次第だ」とし、「機会があれば、我々か次の政権の財務省が推し進めるかもしれない」と語りました。
財務省はあわせて、オンライン賭博への物品税も引き続き検討しています。PhilSTARによると、この案はFrederick Go財務長官の承認を経てから大統領に上がります。フィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)によると、合法のオンライン賭博サイトを使う成人は約1,000万人にのぼります。
1万ペソ以下の商品を直送している事業者は、無税を前提に値付けしている可能性があります。今回の発言は「検討は続けるが、すぐには撤廃しない」というもので、制度が変わるには議会での法改正が要ります。いますぐ価格を見直す段階ではありませんが、政府も業界も「税収の漏れ」「不公平」と見ている点は変わっていません。
換算は1ペソ=2.49円(2026年9月4日時点)で計算した目安です。
SOURCES / 出典
- ビジネスワールド(BusinessWorld)メディアFinance dep't still reviewing 'de minimis' rulebworldonline.com
- フィリピン・スター(PhilSTAR)メディアOnline gaming tax still on DOF's radarphilstar.com
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