PHILIPPINES STARTUP

ASEAN共同石油備蓄に5か国が賛同、報告書は11月に出る

KEY POINTS

ニュースの要点
フィリピンが提案したASEANの共同石油備蓄に、インドネシア・シンガポール・マレーシア・タイ・ベトナムの5か国が関心を示しました。研究機関ERIAが進める報告書は2026年11月に出る予定です。
この動きの意味
ASEANには石油の純輸入国が多く、中東の情勢が価格と供給に直接響きます。各国が個別に備蓄する現在の形に、共同の仕組みを重ねられるかを検討する段階に入りました。
今後の注目点
11月の報告書がどの方式を推すか。小規模な試行が始まるか。フィリピンのASEAN議長国としての任期中にどこまで形になるか。

フィリピンが提案したASEANの 共同石油備蓄の構想に、5か国が関心を示しました。インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナムです。

構想を検討しているのは ERIA(東アジア・ASEAN経済研究センター)で、ASEAN石油備蓄戦略の報告書を2026年11月に出す予定です。貿易産業省(DTI)の Ma. Cristina Roque 大臣が明らかにしました。

何を検討しているのか

報告書が扱うのは、備蓄のやり方そのものです。

方式中身
国別備蓄各国が自国で持つ。いまの形であり、引き続き土台に置かれる
共同備蓄参加国が共同で在庫を持ち、危機のときに融通する
チケット方式他国にある在庫を使う権利をあらかじめ買っておく

あわせて、小規模な試行(サンドボックス)を先に走らせる案も検討されています。

8月にはジャカルタで域内の検証会合が開かれ、戦略の詰めが進みました。

なぜいま出てきたのか

きっかけは中東情勢です。米国とイランの衝突による石油危機で、石油の純輸入国であるフィリピンやタイが、供給の途絶と価格の急騰に弱いことがあらわになりました。マルコス大統領がこれを受けて提案し、フィリピンが2026年のASEAN議長国として優先課題に掲げています。

Roque大臣は、全会一致を待たない姿勢を示しています。「ASEANのすべての国が賛成しなくても、少なくともすでに賛成している国から始められる」

もうひとつ動いているのが UAE(アラブ首長国連邦)です。備蓄の設備を持とうとする国に対して、石油を供給する意向を示しています。

日系企業にとっての読みどころ

直接の効き方はまだ見えません。備蓄は価格を下げる仕組みではなく、途絶えたときに耐える時間を買う仕組みだからです。

ただし、フィリピンに製造や物流の拠点を持つ企業にとって、供給の途絶は操業の停止に直結します。いまフィリピンでは燃料価格の値上げが続き電気代も東南アジアで最も高い水準にあります価格の問題と供給の問題が同時に出ているのが現状です。

11月の報告書は、後者に対する域内の答えの形を示すことになります。

SOURCES / 出典

  1. PhilSTARメディア
    ASEAN oil stockpile plan gains tractionphilstar.com
  2. BusinessMirrorメディア
    5 Asean states line up for regional oil stockpiling planbusinessmirror.com.ph

SHARE

#ASEAN#石油備蓄#ERIA#エネルギー安全保障#DTI#原油

同じカテゴリーのNews

RELATED

この動きを読み解くInsights

INSIGHTS
トレンド

フィリピンの電気代が東南アジアで一番高い、直撃するのは半導体と精密電子の工場

フィリピンの平均電力価格が2026年6月に1キロワット時12.43ペソとなり、シンガポールを抜いて東南アジアで最も高くなりました。この高さが最も重くのしかかる日系企業は、半導体と精密電子の製造業です。単価が原価に乗るうえ、停電が頻発する地域では自家発電を持たされ、製造コストがさらに上がります。しかも影響は、進出をやめた素材・部品産業という形でも現れています。

市場分析

フィリピンの物価は日本の3分の1?牛乳もクルマも日本より高い【2026年9月】

PHILIPPINES STARTUP編集部の私は、マニラに住んでいたことがあります。週2回外食して、プール付きのマンションに住んだら、生活費は東京とほとんど変わりませんでした。むしろ高い月もありました。100品目を東京と比べたら、「日本の3分の1」に当てはまったのは19品目だけ。牛乳もガソリンもクルマも日本より高い。日本人が住むBGCとマカティの家賃、必要な月額、そして物価上昇がいま企業に何を起こしているかまで書きました。

フィリピンの法人税ゼロは、もう大手日本企業の得になっていない

フィリピンの経済特区に入ると数年間は法人税がゼロになります。ところが日本は2024年4月から、税負担の軽い海外子会社の分を親会社に課税し始めました。フィリピンには自国で先に取る制度がないため、免除された分は日本に納めることになります。下院の調査によれば、売上上位1%の法人の実効税率の中央値は5〜6%しかありません。