フィリピン、国産石炭を混ぜて使う初のターミナル構想。輸入の95%がインドネシア産
KEY POINTS
- ニュースの要点
- エネルギー省(DOE)が、国産石炭を発電用に加工・混合する国内初のターミナルの設置を検討している。Sharon Garin エネルギー相は民間が主導することを期待し、政府は規制上の監督のために少数株主として関わる形を想定していると述べた。候補地はミンダナオだが、実現可能性調査が残っている。
- この動きの意味
- フィリピンは電源構成の約6割を石炭に依存し、その供給の約95%が輸入、うち約99%がインドネシア産である。国産のSemirara炭は発熱量が低く既存の発電所に合わないため使われてこなかったが、混合すれば使えるという発想である。1国依存の是正が目的にある。
- 今後の注目点
- 実現可能性調査の結果と候補地の確定。民間が主導する組織が実際にできるか。年内に予定される石炭鉱区の入札(Semiraraを含む)の結果。インドネシアの輸出指針改定がフィリピンの調達にどう効くか。
フィリピンのエネルギー省(DOE)が、国産の石炭を発電用に加工・混合する国内初のターミナルの設置を検討している。国内炭と輸入炭を持ち寄り、発熱量の高いものと低いものを混ぜて産業用に仕立てる施設である。
Sharon Garin エネルギー相は、欧州商工会議所が開いたフォーラムの場でこう述べた。「燃料としてインドネシア炭に依存しているのは、フィリピンに混合施設がないからだ」
供給の95%が輸入、そのほぼ全部が1国から
フィリピンの電源構成に占める石炭の割合は約 6割 で、東南アジアでも石炭依存の強い電力網を持つ。そのうえ、石炭供給の約95%が輸入で、輸入のおよそ99%がインドネシア産である。
Garin 氏は別の場(マカティ市で開かれた第15回エネルギー・スマート・フォーラム)で、より率直に述べている。「石炭に関する限り、我々にエネルギー安全保障はない。石炭の95%はインドネシアからの輸入だ。何が起きてもおかしくない」
懸念は具体的である。インドネシアは2027年1月に石炭の輸出指針を改める見通しで、フィリピンへの影響が読めない。
「必要なのはリスクの分散だ。選択肢があるなら別の国から調達する。あるいは最善の選択肢は、自国で調達することだ」と Garin 氏は言う。「我々の石炭の多くは、発電所には品質が足りないと言われる。だがやり方はある。使える何かと混ぜればいい」
国産炭が使われてこなかった理由
フィリピンがインドネシア炭に頼ってきたのは、その品質が国内の石炭火力発電所のボイラーや設備に合うからである。
国内生産の大半を占めるアンティケ州の Semirara 炭鉱 が産出するのは、発熱量が比較的低い低〜中位の亜瀝青炭である。一方で国内の発電所には、より発熱量の高い石炭で効率よく動くよう設計されたものがある。この不一致が、国産炭が使われない理由だった。
ターミナルができれば、その Semirara 炭を最大限使えるようになる、というのが Garin 氏の見立てである。「低品質とされていても、高品質のものもあるのだから、少なくとも使えるようにして、正しい配合を見つけられる」
民間主導、政府は少数株主
注目すべきは進め方である。Garin 氏は民間が主導することを促し、政府は規制上の監督のために少数株主として関わる形を想定している。
「発電会社でも、石炭の採掘業者でも、商社でもいいので、これについて考え始めてほしい。組織を作って取りかかってくれるといい」
候補地としてはミンダナオが挙がっているが、実現可能性調査が残っている。施設がすぐには動かないため、政府はオーストラリアやロシアなどと新たな供給について交渉している。あわせてDOEは、年内に Semirara を含む石炭鉱区の入札を準備している。
フィリピンの電力については、再生可能エネルギーが2年間で990億ペソ(1ペソ=約2.6円で約2,570億円)の電力コストを押し下げたという試算も出ている。石炭依存の是正と再エネの拡大が、同時に議論されている状況である。
SOURCES / 出典
- The Philippine StarメディアPhilippines pursuing first coal-blending terminalphilstar.com
- Philippine Daily InquirerメディアDOE seeks funding for PH’s first coal blending terminalbusiness.inquirer.net
参考(本文の補足)
- Department of EnergyDepartment of Energy(エネルギー省)
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