オマーンとシンガポールとの租税条約、フィリピンが年内妥結を目指す
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピン財務省が、オマーンおよびシンガポールとの二重課税防止条約の交渉を2026年内にまとめる方針を示しました。シンガポールとは9月下旬に第2回の交渉を予定し、オマーンとは大統領の承認を待って日程を調整しています。
- この動きの意味
- シンガポールとの条約は1977年のもので、ほぼ50年が経っています。国境をまたぐ事業の形が変わったため、どこから現地に課税される拠点とみなすかの線引きが実務上の争点になります。
- 今後の注目点
- 9月下旬のシンガポールとの第2回交渉が1回でまとまるか。ルクセンブルクとの交渉が年内に入るか。改定後の源泉徴収税率がどう動くか。
フィリピン 財務省(DOF)が、オマーンとシンガポールとの二重課税防止条約(DTA)の交渉を、2026年内にまとめる方針を示しました。
二重課税防止条約は、同じ所得に2つの国が課税する状態を避けるための取り決めです。配当・利子・使用料にかかる源泉徴収税の上限や、どこから現地に課税される拠点(恒久的施設)とみなすかを定めます。国境をまたいで事業をする企業の税負担を直接左右する取り決めになります。
フィリピンはすでに 約40か国とこの条約を結んでいます。
進み方はそれぞれ違う
| 相手国 | 状況 |
|---|---|
| シンガポール | 第2回の交渉を 9月下旬に予定 |
| オマーン | 日程調整の段階。交渉に入るための大統領の承認待ち |
| ルクセンブルク | 双方の日程しだいで、暫定的に予定 |
財務次官補の Euvimil Nina Asuncion 氏は「いまのところ、シンガポールとオマーンは確実にやるものだ。ルクセンブルクも1回で済むことを期待している」と述べています。
交渉の進め方についてはこう説明しています。「通常は事前の協議をする。実際の交渉の前に、決められる項目を仕分けしておく。その1回で、すでに合意していた項目を確認できればと考えている」
争点は「どこから拠点とみなすか」
Asuncion氏が挙げた典型的な論点は2つです。事業所得(business profits)の定義と、恒久的施設(permanent establishment)を何とみなすかの線引きです。
恒久的施設とは、企業が相手国に持つ「課税されるだけの実体がある拠点」を指します。支店や工場は分かりやすい例ですが、どこまでの活動があれば拠点とみなすかは条約ごとに違います。この線が動くと、現地に法人を置かずに事業をする形の税務上の扱いが変わります。
Asuncion氏は、オマーンとの条約についてはこの点で大きな争いにはならないだろうとの見方を示しています。
シンガポールとの条約は1977年のもの
シンガポールとの現行条約は 1977年に結ばれたもので、ほぼ50年が経っています。第1回の交渉は2025年9月2〜4日に行われました。
当時、Ralph G. Recto 財務相(当時)は「フィリピンとシンガポールのDTAはほぼ50年続いている。急速に変わる世界経済のいまの現実を映すように、条件を組み直す時期だ」と述べています。駐フィリピン・シンガポール大使の Constance See 氏は、改定が「貿易と投資の流れを増やし、ビジネス界に非常に前向きな合図を送る」としました。
シンガポールからフィリピンへの直接投資は、過去5年で14%増えています。
日系企業にとっての読みどころ
日本との条約は今回の対象ではありません。ただし、シンガポールに地域統括会社を置き、そこからフィリピンの事業を見ている日系企業は少なくありません。その場合、シンガポール・フィリピン間の条約の改定が実務に効きます。
とくに恒久的施設の線引きが動けば、シンガポール法人がフィリピンで行う活動のどこまでが現地課税の対象になるかが変わりえます。改定の中身が固まった段階で、地域の法人構造を点検する必要が出てきます。
SOURCES / 出典
- PhilSTARメディアPhilippines aims to conclude Oman, Singapore tax talks this yearphilstar.com
- フィリピン財務省政府・規制当局一次情報PH and Singapore move to modernize tax pact to deepen economic ties and create more jobs for Filipinosdof.gov.ph
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