屋根置き太陽光の問い合わせが272%増、セブとダバオへ
KEY POINTS
- ニュースの要点
- AboitizPower傘下のスタートアップ Solviva Energy が、屋根置き太陽光の事業を首都圏の外へ広げます。最初の対象はセブとダバオです。家庭向けの問い合わせは2026年3〜8月で前年同期比272%増えました。
- この動きの意味
- 売り方は、頭金ゼロと「借りて買い取る」方式です。最長5年の定額払いで、支払いは設置の30日後から始まります。
- 今後の注目点
- 追い風はエネルギー省の8月の通達です。小規模な自家消費型の太陽光について、証明書の一部と許可の取得、配電事業者への事前手数料が不要になりました。
AboitizPower傘下のスタートアップ Solviva Energy が、屋根置き太陽光の事業を首都圏の外へ広げます。
数字
前年同期比272%増を指数化したもの。件数は公表されていない。
| 問い合わせの増加 | 272%(2026年3〜8月、前年同期比) |
| 最初の対象 | セブ、ダバオ |
| 設立 | 2023年 |
| 親 | AboitizPower の 1882 Energy Ventures(新規事業部門) |
問い合わせが3.7倍になっているのが今回の起点です。
売り方
- 頭金ゼロ
- 「借りて買い取る」方式(rent-to-own)
- 最長5年の定額払い
- 支払いは設置の30日後から
- 現地調査、設置、保守まで一括
屋根置き太陽光は、初期費用の大きさが普及の壁になってきました。それを毎月の定額に分解するのがこの商品の狙いです。
規制が変わった
後押しになったのは、エネルギー省(DOE)の2026年8月の通達です。
対象は2種類の小規模な設備です。
- 自家消費型のゼロ逆潮流システム(SGF ZESS。発電した電気を系統に流さない設備)
- 家庭用の超小型太陽光(MSS)
変わった点は3つです。
- 一部の適合証明書が不要に
- 許可の取得が不要に
- 配電事業者への設置前の手数料が廃止
売電しないなら、手続きを大幅に省くという整理です。系統に電気を流さない以上、系統側の安全審査を重くかける理由が薄いからです。
経営側の言い方
最高経営責任者の Coby Cobankiat 氏は、こう述べています。
この2年ほどは試す段階だった。いまの目標は、できるかぎり賢いやり方で広げることだ
需要が伸びた理由については、世界のエネルギー市場の変動を挙げました。「それが我々にとっての転換点になった。屋根置き太陽光の需要をこちらから作りにいくのではなく、向こうから来てくれるようになった」
もう一つ、同社が観察したことがあります。設置後に電気の使用量が増えるという現象です。Cobankiat氏は、太陽光が家計の費用の管理を助けている証拠だと解釈しています。
日系企業にとっての読みどころ
見どころは、制度が小規模側に開いたことです。
これまでフィリピンの太陽光の議論は、大規模な発電所と売電の話が中心でした。8月の通達は、売電しない自家消費だけを切り分けて手続きを軽くしています。
工場や事務所の屋根で自家消費する設備なら、同じ考え方が適用されます。ビサヤでは停電警報が続き、卸電力価格は8月に1キロワット時18〜19ペソまで跳ね上がりました。自家消費の設備は、その変動から距離を取る手段になります。
もう一点、セブとダバオが最初の対象という点も示唆的です。首都圏ではなく地方都市。電力の不安定さが強い地域から広がる、という順番になっています。
SOURCES / 出典
- The Philippine StarメディアAboitiz solar startup plots expansion outside Metro Manilaphilstar.com
- Power PhilippinesメディアSolviva eyes solar expansion beyond Metro Manilapowerphilippines.com
同じカテゴリーのNews
RELATEDこの動きを読み解くInsights
INSIGHTS2025年のフィリピン最大の資金調達は5億円。それを超えるお金が国外から来る理由
Forbes Asiaの「100 to Watch」に、フィリピンから2社が入りました。並べてみると、フィリピンで大きな資金を集めた会社には共通点があります。お金を出しているのが、ほぼ全部フィリピンの外の投資家です。理由は起業家の考え方ではなく、国内のベンチャーファンドの大きさにありました。
フィリピンのスタートアップ投資が「過去最高」とも「6年ぶりの低水準」とも報じられる理由
2025年のフィリピンのスタートアップ投資について、「過去最高の15億ドル」と「前年同期比55%減」という正反対の集計が流通しています。どちらも正しく報告された数字です。定義の差を追い、2026年最大級の調達だったSalmonの1億ドルを分解すると、回復とは別の景色が見えてきます。
2021年に注目すべきフィリピンのFinTechスタートアップ5選!
コロナウイルスの大流行により、フィリピンではデジタル金融サービスの導入がさらに進んでいます。国民の平均年齢の若さとモバイル端末の利用率の増加が、フィリピンの金融分野のデジタル革命を起こしているといえる



