フィリピンの貧困率が9.7%と初めて1桁に、2年で650万人が貧困線を上回る
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピン統計庁(PSA)の集計で、2025年の貧困率が9.7%となり、統計史上初めて1桁台になった。貧困線を下回る人口は2023年の1,750万人から1,100万人へ、650万人減った。
- この動きの意味
- 名目所得が2023年から2025年にかけて約22%伸びたのに対し、同期間の累積インフレは5%にとどまった。差の分だけ実質購買力が広い層で上がったことになる。消費者向け事業の前提が変わる規模の変化にあたる。
- 今後の注目点
- コメ価格が8月上旬に前年比22%上昇するなど、食料インフレが再燃した場合にこの改善が持続するか。所得の伸びが地域別・階層別にどう分布しているか。次回調査での揺り戻しの有無。
フィリピン統計庁(PSA)の集計で、2025年の貧困率が9.7%となった。1桁台に下がるのは統計史上はじめてになる。
貧困線を下回る人口は1,100万人。2023年は1,750万人だったので、2年で650万人が貧困線を上回った計算になる。フィリピンの人口はおよそ1億1,000万人である。
名目所得22%増、インフレ5%
改善の中身は所得とインフレの差にある。2023年から2025年にかけて名目所得はおよそ22%伸びた。同じ期間の累積インフレは5%にとどまる。物価の上昇分を差し引いても、手元に残る購買力が増えたことになる。
国家経済開発庁(NEDA)の Arsenio Balisacan 長官は「はじめて、貧困線を下回るフィリピン人が10人に1人を切った。予定より早くこの水準に到達したことは、経済機会の拡大と実効性のある社会保障を組み合わせれば人々の生活を実際に変えられることを示している」と述べた。
フィリピン開発計画(PDP)が掲げた目標を3年前倒しで達成した形になる。
消費市場の前提が動く
日本企業が見るべきは率ではなく人数である。650万人という規模は、これまで価格帯の外にいた層が、可処分所得を持つ消費者として市場に加わったことを意味する。
ただし持続性には留保が要る。フィリピンは食料価格の変動が家計に直結する構造にあり、コメの価格は8月上旬に前年同期比で22%上昇したと報じられている。食料インフレが再燃すれば、実質購買力の改善は簡単に削られる。
また、この数字は全国平均である。所得の伸びが地域や階層でどう分布しているかは、今回の発表からは読み取れない。
SOURCES / 出典
- Philippine Daily InquirerメディアPH poverty rate falls to single-digit low of 9.7% in 2025business.inquirer.net
- BusinessWorldメディアPoverty rate falls to single-digit in 2025bworldonline.com
参考(本文の補足)
- Philippine Daily InquirerRice prices surged 22% in early August
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