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フィリピンが生ウベの輸出を無期限停止、種芋が足りない

KEY POINTS

ニュースの要点
フィリピン農業省が植物産業局を通じて、生のウベ(紫芋)と種芋の輸出を無期限で停止しました。消費用・栽培用・研究用のいずれも対象で、植物検疫証明書の発行を止めています。
この動きの意味
理由は国内の種芋の不足と、品種が流出して輸出先の国が競合になることへの警戒です。同じ週にウクライナがフィリピン産ウベへの関心を示しており、需要が出てきた段階で原料の流出を止めた形になります。
今後の注目点
停止がいつ解けるか。加工品の輸出が伸びるか。品種の遺伝子地図づくりが知的財産の保護につながるか。

フィリピン 農業省(DA)が、植物産業局(BPI)を通じて 生のウベと種芋の輸出を無期限で停止しました。

ウベ(ube)は紫色の芋で、フィリピンの菓子やアイスクリームに欠かせない素材です。近年は海外でも「purple yam」として知られるようになっています。

何を止めたのか

対象は広く取られています。

  • 生のウベ(消費用)
  • 種芋・繁殖用の植物材料(栽培用)
  • 研究用の持ち出しも含む

植物産業局のGlenn Panganiban局長が税関に通知し、植物検疫の各所に対して該当する出荷への 植物検疫証明書の発行を止めるよう指示しました。証明書が出なければ輸出はできません。

理由は2つある

農業相の Francisco Tiu Laurel Jr. 氏の説明は、率直なものです。

「我々自身が種芋をひどく不足させている。そして、フィリピンのウベの品種を使って我々と競合しうる国々に、それを輸出したくはない」

第1に国内の供給不足、第2に品種の流出への警戒です。芋類は種芋がそのまま次の作付けになるため、原料を売ることが、そのまま生産能力を売ることになります

政府は関連して、次の手も打っています。

取り組み中身
産業振興の予算3億ペソ(約7億5,000万円)
業界団体の設立United Ube PH Association Inc.。生産者・加工業者・流通を束ねる
遺伝子地図の作成植物産業局とフィリピン大学ロスバニョス校が、品種の遺伝情報を記録。生物資源の無断利用への備え

現在、フィリピン産のウベ製品はカナダ、中東、アジアの一部へ出ています。米国、韓国、欧州への拡大余地があるとされています。

同じ週に、ウクライナが「買いたい」と言っている

タイミングが対照的です。

駐フィリピン・ウクライナ大使の Yuliia Oleksandrivna Fediv 氏が、フィリピン産ウベの輸入に関心を示しました。ドライマンゴー、バナナチップス、乾燥果物、ツナ缶などの加工食品も対象です。

大使は「ウクライナが独立のための戦いを続けるには、経済を支え、輸出を増やすことも必要だ」と述べ、ウベについては「入り込める市場だ」としています。

両国の貿易額は2025年で約 6,000万ドル(約94億円)で、そのうち7割がフィリピンからウクライナへの品物です。2026年には、ウクライナから食肉業界(3月)と農業・乳製品技術(7月)の2つの経済使節団がフィリピンを訪れています。フィリピン商工会議所とウクライナ商工会議所は覚書を交わしました。

生では売らない、という選択

この2つの出来事を並べると、政策の形が見えます。

需要は出てきている。しかし原料のままでは売らない。 加工品なら売る、というのが現在の立て付けです。生のウベの輸出停止は、加工品の輸出を妨げるものではありません。

日本企業にとっての読みどころは、フィリピンが一次産品の扱いで「素材のまま出さない」方向を強めているという点です。重要鉱物についても、掘って輸出するだけでなく国内で加工する方向が大統領令で打ち出されています。鉱物と農産物で、同じ発想が働いています。

原料の調達を前提にした事業を組む場合は、この方向を織り込む必要があります。

換算の基準は1ドル155.9円、1ペソ2.49円(2026年9月4日時点)です。

SOURCES / 出典

  1. PhilSTARメディア
    Government suspends shipments of raw ubephilstar.com
  2. PhilSTARメディア
    Ukraine bets on Philippines ube, other exportsphilstar.com

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#ウベ#農業省#輸出規制#ウクライナ#食品#知的財産

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