銀行の不良債権比率が9月は3.27%に低下、9か月ぶりの低さ
KEY POINTS
- ニュースの要点
- 中央銀行の速報によると、銀行業界の不良債権比率は9月末に3.27%でした。8月の3.35%、前年同月の3.31%をいずれも下回り、2025年12月の3.07%以来の低さです。
- この動きの意味
- 比率は下がりましたが、不良債権の額は前年より10%増えています。貸出残高が11%増えて分母が大きくなったことが比率を押し下げた形で、返済に困る借り手が減ったとまでは言えません。
- 今後の注目点
- 中央銀行の追加利上げとペソ安、物価高が借り手の返済にどう効くか。延滞が始まった段階の貸出の比率4.26%が前年を上回ったまま推移するかどうか。
フィリピンの銀行業界の不良債権比率は、9月末に 3.27% でした。中央銀行(BSP)が公表した速報値です。8月の3.35%から下がり、前年同月の3.31%も下回りました。2025年12月の3.07%以来、9か月ぶりの低さです。
不良債権とは、返済期日から90日以上たっても支払われていない貸出のことです。
額は増え、比率は下がる
| 項目 | 9月末 | 前月比 | 前年同月比 |
|---|---|---|---|
| 不良債権 | 5,933億ペソ | −0.5% | +10.1% |
| 貸出残高 | 18兆1,330億ペソ | +2.0% | +11.4% |
不良債権の額は約5,933億ペソ(約1兆4,800億円)で、8月よりわずかに減ったものの前年より10%多くなっています。一方で貸出残高は約18兆1,330億ペソ(約45兆円)と前年より11%増えました。分母の貸出が不良債権より速く伸びたことが、比率を押し下げています。
RCBC(大手銀行)のチーフエコノミスト、Michael Ricafort氏は、比率の低下は分母が大きくなった効果に加え、一部の銀行が貸出の審査を慎重にしていることによるとみています。
延滞の入口は前年より悪い
不良債権になる手前の指標には、前年より悪いものもあります。
- 返済が滞り始めた貸出(延滞債権)は7,717億ペソで前年比13.9%増。貸出に占める比率は4.26%で、8月の4.33%より下がったものの前年の4.16%を上回る
- 返済条件を緩めた貸出(条件変更債権)は3,428億ペソで、比率は前年の2.04%から1.89%に低下
- 貸倒れに備えた引当金は5,580億ペソで、不良債権に対する引当率は94.05%と8月の93.17%から上昇
Reyes Tacandong & Co.(会計・コンサルティング会社)のシニアアドバイザー、Jonathan Ravelas氏は、貸出の安定した伸びと経済活動が借り手の返済の悪化を抑えたと述べ、10〜12月も不良債権は抑えられるか改善する可能性があるとしました。ただし物価や借入コスト、成長の速さが返済を左右するとも付け加えています。
Ricafort氏はより慎重です。景気の減速、物価高、10月の0.5ポイント利上げに続く追加利上げは借り手の返済力を弱めうるとし、強いエルニーニョによる干ばつが起きれば農業の借り手が返済に困る可能性も挙げました。
換算の基準は1ペソ2.49円(2026年9月4日時点)です。
SOURCES / 出典
- BusinessWorldメディアPhilippine banks’ NPL ratio slips to 9-month lowbworldonline.com
- PhilSTARメディアBanks’ bad loan ratio drops to 19-month lowphilstar.com
- The Manila TimesメディアBanks’ bad loan ratio eases in Septmanilatimes.net
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