Nickel Asiaがカザフスタンの銅鉱山に3,000万ドル、20%取得を完了
KEY POINTS
- ニュースの要点
- Nickel Asiaのシンガポール子会社NAC Global Investmentsが、カザフスタンのEast Copper Production LLPの持分20%の取得を完了しました。総額3,000万ドルで、9月12日に最終決済を終えています。
- この動きの意味
- フィリピン最大のニッケル生産者が、初めて国外の銅に資金を入れました。自前で鉱山を開発するのではなく、稼働中の事業の一部を買う形です。ニッケル一本足の収益構造を分散する動きにあたります。
- 今後の注目点
- 残る80%の持分に対して追加取得の権利があるか。銅価格が下がったときの持分法損益への影響。フィリピン国内の鉱山開発とのあいだで資金配分がどう動くか。
フィリピン最大のニッケル生産者 Nickel Asia(NAC)が、カザフスタンの銅事業 East Copper Production LLP の持分20%の取得を完了しました。総額は 3,000万ドル(約47億円)です。
支払いは2段階に分かれていました。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年4月22日 | 取得契約に署名 |
| 2026年前半 | デューデリジェンス完了後に 1,000万ドル(約16億円)を支払い |
| 2026年9月12日 | クロージング条件を満たし、残る 2,000万ドル(約31億円)を支払って完了 |
買い手はNACのシンガポール子会社 NAC Global Investments Pte. Ltd.、売り手はアスタナ国際金融センターに拠点を置く Silk Road Resources Ltd. です。
何を買ったのか
権利の構造は2段になっています。
East Copper Production LLP が GRK MLD LLP を100%保有し、そのGRKが東カザフスタン州クルチュム地区にある Karchiga銅鉱山の地下資源使用権を持っています。NACはEast Copperの20%を取得したので、Karchiga鉱山に対しては間接的な持分になります。
鉱山の生産能力は次のとおりです。
| 製品 | 年間の生産能力 | 平均品位 |
|---|---|---|
| 銅硫化精鉱 | 8,500トン | 1.8% |
| 電気銅 | 2,000トン | 1% |
2026年上期の実績は、売上が7,000万ドル(約109億円)、銅の生産量が5,240トンでした。
掘るのではなく、買う
NACの説明で核になっているのは、開発リスクを取らないという点です。同社は「この取引によって、NACはグリーンフィールド開発のリスクを負わずに、高い水準にある銅価格へのエクスポージャーを直ちに得る」としています。
グリーンフィールド開発とは、何もない土地から鉱山を作ることです。探鉱から生産までに10年単位の時間と巨額の資金がかかり、途中で計画が崩れることもあります。すでに掘っている鉱山の一部を買えば、その時間とリスクを飛ばせます。
銅価格については、同社は「AIデータセンターの拡大、電気自動車、送電網の更新によって、世界の銅価格が過去最高圏にある」と述べています。
ニッケル一本足からの分散
NACの本業は、フィリピン国内の6鉱山で採るニッケル鉱石です。2026年上期はニッケル鉱石を865万湿トン販売し、帰属純利益は 40億6,000万ペソ(約101億円)で前年同期比93%増でした。
ニッケルはステンレスと電池向けで、需要の波が大きい資源です。銅は電力インフラとデータセンターに直結します。同じ「金属」でも需要の出どころが違うので、片方が落ちたときにもう片方が支えるという組み立てになります。
フィリピン政府は重要鉱物に関する大統領令122号で、掘って輸出するだけでなく国内で加工する方向を打ち出しています。その流れのなかで、NACは国内の加工ではなく 国外の稼働中の鉱山に資金を向けました。方向が違うわけではありませんが、優先順位の置き方としては読み取れる動きです。
日本の商社や非鉄金属メーカーにとっては、フィリピンのニッケル供給者が中央アジアの銅に入ってきたという構図になります。
換算の基準は1ドル155.9円、1ペソ2.49円(2026年9月4日時点)です。
SOURCES / 出典
- Philippine Daily InquirerメディアNickel Asia seals $30-M Kazakhstan dealbusiness.inquirer.net
- PhilSTARメディアNickel Asia unit buys 20 percent of Kazakhstan copper minephilstar.com
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